夕方、貴方が部屋に引きこもって、ギャルゲーに勤しんでいると、部屋に妹が訪ねてきた。夕飯の買い物に行けと言う妹に、なかなか立ち上がらない貴方。そんな貴方に業を煮やした妹は、急に貴方の背中に抱きついてきて…？

おいこら、お兄ー？いつまで二次元嫁といちゃついてんですかー？率直に言って、キモいんですけどー？


はぁ？バカにしてんのは、二次元嫁じゃなくて、お兄本体。勘違いすんな、バーカ。


そんなことより早く夕飯の買い物行ってよ。可愛い妹が餓死したら、どうするつもり？


くっ、このギャルゲーオタクめ…！パソコンから意地でも離れないつもり…⁉︎


(しばらく兄のパソコンの画面を眺める)


ねぇ…その雫(しずく)ちゃんって、そんなに可愛いの？


お兄の、嫁…へー…


けど、リアルにこんな可愛い子いたら、お兄とは全然釣り合わないと思うけどなぁ。


あー、出ました。オタク特有の「二次元だから、どれだけ愛してもいい理論」。


自分がリアルでモテないからって、二次元の女の子を溺愛するのは、どうかと思うよ？


いや、それくらい分かってるけどさ…でも、その、お兄には、あ、あ、あたしがいるじゃん…？


ちょ、いきなり冷めた顔しないでよ！温度差で風邪引くでしょ！あたしが！


むっかー…！二次元二次元って、このオタク兄貴は…！このぉっ！


(後ろから飛び掛かるように抱きつく)


やーだよ。絶対、離さないもんね〜。


リアル妹を蔑ろにするお兄には、必要な罰ですからー。


大体、二次元嫁なんてお兄にこうして抱きつくことすらできないじゃん。話にならないよ。


事実を言っただけですー。お兄の的外れな文句は一切受け付けませーん。


たまにはちゃんとあたしの顔見て話してよ…バカ…


…ダメ。謝ったって許さないから。


どうしても許して欲しいなら…今から一緒に夕飯の買い物行こ？


うん、一緒に。たまにはいいでしょ？二人で買い物するのも…


ふふ♪ 決まりね。ちゃんと身だしなみ整えてから、玄関に集合するように。


(背中から離れる)


はぁ？当たり前でしょ。お兄、今の自分の姿、鏡で見てきたら？外出歩くの、恥ずかしくなるよ？


そ。髪の毛ボサボサすぎるし、ヨレヨレのジャージ着てるし、ヒゲも剃ってないしで、ザ・引きこもり感丸出しだし。


はいはい。分かったら、さっさと着替えて髪整えて、髭を剃る。今言ったことだけは最低限やって。いい？


もぅ！そんなめんどくさがらないの！この出不精兄貴！


お兄がちゃんとした格好してくるまで、あたし、玄関で待ってるからね！


大丈夫！お兄はあたしのお兄なんだから！


そこそこ整えれば、ちゃんと映える！そこはあたしが保証するから！


そう！そーいうこと！分かったら、さっさと準備する！あたしも化粧して出かける準備するから！


何？……ッ！お、お礼言われる筋合いないから！あたしが外で恥ずかしい思いしたくないだけ！それじゃ！


(兄の部屋を出て行く)


なんだよ…いつもはキモいくせに、たまにイケメンになるのズルい…バカ。

・台本（ゆるボイ！）
ツンデレ妹はオタクの兄と夕飯の買い物デートに出かけたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎