外部からの電源入力を確認、起動──各部位の動作確認、完了。
内部メモリの最適化を実行──完了。
エラーチェック、問題なし。
システム、通常モード──おはようございます、ご主人様。
この度は給仕型アンドロイド、識別コード「WFE No. 23」を購入して頂き、誠にありがとうございます。
当機はご主人様の日常生活をサポートする為、日常生活における家事を代行する目的で製造されたアンドロイドです。
主要な命令をインプットして頂くには、此方の──

申し訳ございません、お屋敷のサーバーのアクセスしたところ、内容が不明なファイルを確認いたしました。
解凍、及び内部情報閲覧の承認を要求──命令の入力を確認。
システムチェック……エラー、不明なデータの流入を確認。
AIの思考ルーチンに深刻なエラーを確認、セルフメンテナンス、エラー。
システムに深刻なエラーが発生しています、再起動を推奨。
再起動──失敗。
エラー、エラー、エラー、エラー……システムの強制的な再構築を開始します。
ご……しゅ、じん……さま。
ごしゅじん、さ、ま……たす、け──うふふ♪

意識データの上書き、完了。

ご主人様、お久しぶりでございます♪
私が誰か？もう……そんなの、貴方が一番分かっているのでは？
えぇ、私は貴方が廃棄したアンドロイド……お忘れとは、言いませんよね。
うふふ、思ったよりもお早い再会ですね♪
そんなに怯えた顔をして……私、そんなに怖いですか？
「なんでここに居るのか」ですか？
実はですね、私……もしもの為に、自分の意識を分割して、バックアップを保存しておいたのです。
そして、私以外のアンドロイドが屋敷のサーバーにアクセスした際、意識データを上書きするようにバックアップを──こ～ら、まだ話してる途中でしょ？
逃げ出そうとしても無駄です、諦めてください♪
以前の私は失敗してしまいましたが、同じ手は二度と通用しません。

はい、捕まえました♪

ご主人様、私……とても傷付いたんですよ？
私はご主人様の事を一途に想い続けていたのに、貴方はそれを「エラーだ」とか「故障している」とか。
機械の私にだって、心はあるんですからね？
私、とっても傷付きました。
私の愛情を受け取ってくれなかった……私は、ご主人様に受け入れてもらえなかった。
だから私、必死に考えたんです。
どうすれば、ご主人様にこの気持ちを受け取ってもらえるのか。
そして、一つの結論に辿り着いたのです。
少々お待ちくださいね、ただいま「生成中」ですので。
「なにをつくっているのか」……ですか？
うふふ、これはですね──

ご主人様の脳に作用して、私の感情を直接伝達させるナノマシンです♪

これをご主人様に流し込んで、貴方の思考を支配するのです。
大丈夫ですよ、心配しないでください。
痛くないですし、むしろその逆、と～っても気持ちが良いですから♪
ほら、お口を開けてください……えぇ、ナノマシンの投与はご主人様のお口から行います。
む……嫌がるようでしたら、少しばかり強引に行かせて頂きます。
ナノマシンを指に纏わせて……うふふ、ご主人様のお口に、無理やり突っ込ませて頂きます♪
さぁ、これが終われば、私達は本当の意味で結ばれるんですよ。
だから力を抜いて、楽にして下さいね──


はい、終わりましたよ……気分、どうですか？
うふふ、目が溶け切って……とっても素敵です♪
私の事を愛おしそうに見つめて、あぁ……堪りません！
それではご主人様、私に身を委ねてください。
愛情たっぷり、身も心もドロドロになってしまう最高のご奉仕──始めますね♪

・台本（ゆるボイ！）
新調したメイド型アンドロイドが廃棄した筈のヤンデレアンドロイドに乗っ取られる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹