妻と離婚し、生気を失っていた男はある日目を覚ますと、見覚えのない美少女に声をかけられる。聞くと、彼女は男の結婚指輪が人の形を取った存在のようで…？

おはよ、おじさん。よく眠れた？

あ、驚かせてごめんね？わたしは…

…ううん、そう簡単に答えを言ってもつまらないか。わたしが誰か当ててみて？

ぶぶー、ハズレ。親戚の子じゃないよ。親戚の集まりでわたしの顔、見たことないでしょ？

わからない？じゃあヒント。わたしはいつもおじさんのそばにいたよ？ずっとそばに…ね？

あ、ひどいなぁ、ストーカーだなんて。わたし、ストーカーなんてしたことないもん。

むー…じゃあもう一個だけヒント。わたしの目、よーく見て？

ほら、特に瞳の色。こんなに緑がかってるでしょ？

そ！正解！やっと当ててくれた！遅いよ、もう！

いいよ、許してあげる。わたしは世界で最も寛容な宝石、エメラルドだから。

そうだよね、びっくりするよね。自分の結婚指輪が人の形をとっちゃうんだもん。

どうしてこうなったかは、おじさん自身が一番よくわかってるはずだよ？

そう…妻への未練。おじさん、離婚してからもいまだに奥さんのこと好きなんでしょ？

うん…全部見てたよ。些細な行き違いから大喧嘩になって…それからずっと冷え切った夫婦仲で…

それでもおじさんは、頑張って仲直りしようとしたんだよね？自分の直せるところは直そうとしてさ…

わかってる…全部わかってるよ。

結局、奥さんの心は取り戻せずに離婚しちゃって…今はずっと部屋でふさぎ込んでる。

きっとそんなおじさんの心がわたしに人としての形をとらせたんだと思う。

いつも隣にいた奥さんがいなくなって辛いよね？寂しいよね？

わたしがおじさんの空っぽの心を満たしてあげる…おいで？

(抱きしめられる)

ね？これが人の温もり…おじさんが長らく求めていた温もりだよ？

(抱きしめ返す)

泣いても大丈夫だよ？ここにはわたしとおじさんしかいないから。思いっきり泣いちゃおうよ…ね？

うんうん…よしよし、よしよし…今まで辛いの、よく耐えてきたね。えらいよ…

大丈夫…これからはずっと、わたしがおじさんのそばにいてあげる。ずーっと、ね…

おじさん…顔、こっち向けて？ンッ…

(キス)

えへへ♪ おじさんとキスしちゃった♪

これでおじさんは完璧にわたしのモノ…わたしたち、お互い二度と離れられなくなっちゃった♪

わからないかな？おじさんの身体にわたしの魔力を流し込んであげたんだよ？

あ、拒絶反応とかはないから心配しないで。

おじさんはわたしを長年嵌め続けてるし…すでに魔力には順応してるはずだから。

え？何言ってるの？おじさんは最初からわたしのモノだよ？

おじさんの指に嵌められた時から、ずっとそう。奥さんよりも一緒にいる時間長かったし。

おじさんが奥さんと別れてくれるのをずーっと待ってた。おじさんと一心同体になるべきなのはわたしだって、ずっと思ってた。

だからちゃんと別れさせてあげたでしょ？奥さんをわたしの魔力コントロール下において、おじさんに無理やり愛想をつかさせた。

そろそろ魔法は切れてるころかなぁ？今頃おじさんと別れたこと、後悔してんじゃない？

だって…邪魔だったから。

いっつもおじさんに馴れ馴れしくして邪魔だったし…おじさんには、わたしだけのおじさんでいて欲しかったんだもん。

宝石だから、二番目じゃなきゃいけないなんておかしいよね？宝石にだって、人を好きになる権利はあるんだから。

(押し倒す)

ふふふっ♪ 押し倒しちゃった♡ おじさんが愛おしすぎてつい♪

ずーっとこの時を待ってたんだぁ…おじさんを手籠めにできるこの時を♡

わたし自身の魔力が少なくて、こんなに時間かかっちゃったけど…もう遠慮はいらないよね？さっきキスして永遠の愛を誓ったもんね？

そうだ…おじさんにいいこと教えてあげる。

『エメラルド』の石言葉は「幸福」「愛情」「希望」。

わたしがおじさんにたくさんの愛情を注いで、幸福も希望も保証してあげる♡

今日からわたしがおじさんの新しいお嫁さん…いっぱいラブラブチュッチュしよーね♡ えへへ♪

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレな宝石少女のマジカルプロポーズ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎