入院中の貴方は夜中、トイレに行きたくて目が覚めた。そっと病室を抜け出し、廊下に出ると、いきなり知らないお姉さんと出くわして…？

わっ！びっくりした～…お化けかと思った…


あ、ううん。こっちこそ驚かせてごめんね？トイレ行きたくなったからさ。君もでしょ？


だよね。夜中に病室抜け出す用事なんて、トイレくらいしかないもんね。一緒に行く？


ふふ、オッケー。じゃあ手ェ繋いでいこっか？ほら、お姉さんが握っててあげる。


もぅ、そんな意地張らなくていいのに…仕方ないなぁ…


(暗い廊下を二人で歩く)


そういえば、君って何で入院してるの？見た感じ、怪我っぽいけど…


へ～、そうなんだ。交通事故かぁ。痛そ～…


…あ、そうなの？もうすぐ退院なんだ。よかったじゃん。


あ～、あたし？あたしはねぇ～…まぁ、ちょっとした病気かな？別に大したことないよ。


ん…まぁ、検査入院っていうか、そんな感じ。


それよりさ～、なんか怖いよね。夜の病院って。


ほら、あそこの角から髪の長い女とか現れそうじゃない？


あはは…君、けっこうビビりなんだ。可愛いね。


ごめんごめん。久々に人と話すから、楽しくてつい…


久々だよ～？誰もお見舞いに来てくれないしさぁ…話しかけてももらえないし…


そういう意味では、病室を抜け出してよかった。君みたいな素敵な子に出会えたから。


素敵だよ？あたしと会話してくれるっていう時点で、素敵。ほんと最高の友達。恋人にしてあげてもいいよ？


え〜？大げさかな～？これでも寂しがりなんだぞ～、あたし。


あ、話してたらトイレ通り過ぎちゃった。入ってきたら？


うん。あたしもちょっとお花摘みに行ってくるから。終わったら、トイレ前集合ね。それじゃ。


(少年がトイレから出てくると、後ろから肩をたたかれる)


わっ！お化けだぞ～！んふふ♪


あはは！予想通りの反応！君ってやっぱり面白いね！


はいはい、そんなに怒らないの。お姉さんが悪かったから～。


じゃあ、お詫びに手ェ繋いであげる。貸して？


いいからいいから！君のことはお姉さんが守ってあげる！ほらっ！


ん？どうしたの？顔色、良くないよ？急に体調悪くなった？看護師さん呼ぶ？


……ふふっ、あは、あはは…！


君、怖がりなのに、周りよく見てるんだ。すごいすごい。


そうだね。お姉さんの影、見当たらないね。こんなに月が明るいのに…


…手、冷たい？ごめんね。お姉さん、冷え性だから…


あっためてよ、君がさ…まだ生きてるんだから。ね？


(少年は手を振りほどこうともがくが、一向に離れない)


こらこら。そんなに暴れないの。歩きにくいでしょ？


それより、聞いて？あそこ、見えるでしょ？あれがあたしの病室。


いるよ？ちゃんと…今でも入院してる。誰にも気づかれない状態で…ね？


あたし、身寄りがなかったからさぁ…友達もいなくて、ずーっと一人だったの…


君は一人の寂しさってわかる？わかるなら、お姉さんの相手してほしいんだけどな〜…


へぇ～、そうなんだ。それは初耳。


あの病室、お化けなんて出るんだぁ…怖い怖い。あたしは見たことないけど。


まぁ、お化けなんてどうでもいいからさ、お姉さんとちょっとだけ遊ばない？


あたし今、すご～く暇してるの。だから付き合ってよ。ねっ？


いいじゃん、夜中でも。どーせ誰にもバレないって。


知ってる？バレなきゃ、何したって許されるんだよ？


君が誰からも気づかれず、お姉さんにお持ち帰りされたとしても…ね？


さ、行こ！お化けなんて迷信迷信！『あたし以外に』そんなのいないから！


君も入院生活、暇でしょ？お姉さんとたくさん暇つぶししようね♡ ふふふっ♪

・台本（ゆるボイ！）
【ホラー】病室の外で会った明るいお姉さんは、いたずら好きの寂しがり屋
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎