同じ大学で違う研究室に所属しているとある女子学生に、貴方は謎の対抗心を抱いていた。彼女の姿を大学内で見かけないということで、もしやと思い、彼女の住まうアパートに行ってみると、案の定彼女は風邪をひいていて…？

(咳き込む)


うぇ…風邪、ひいた…死ぬ…


レポートの締め切り近いのになぁ…これで単位落としたら最悪じゃん…早く、治さないと…


(インターホンが鳴る)


誰…？友達…？誰かお見舞いに来てくれたのかなぁ…


(ドアを開ける)


はい、どちらさｍ……って、ちょ⁉ なんでアンタがここに⁉


(思わず扉を閉める)


や、だって…！アンタが来るとは思わないじゃん⁉ てか、研究室は⁉ 実験は⁉


あ、そう…でも、最近実験で忙しいとか言ってたじゃん？アタシなんかに構ってる暇ないでしょ？さっさと研究室戻れば？


べ、別に頼んでないし…アンタのお見舞いなんか…


そ、そこまで心配されるほどひどい風邪は…それに今は寝ぐせとかヤバいし、おまけにすっぴんだし…


(咳き込む)


うぅ…わかったから…これ以上、玄関で居座られても迷惑だから開ける…


(ドアを開く)


どうぞ…せいぜい、風邪移んないように気を付けてよ…


…ありがと。じゃあちょっと肩借りる…ベッドまで運んで…


(彼に連れられて、ベッドに戻る)


あ～、それは冷蔵庫放り込んどいて…今は食欲ないから…


熱？朝測った時は38℃くらいあったような…


(再び咳き込む)


別に…最近忙しかったし、季節の変わり目だから、ちょっと体調崩しただけ…こんなの寝てれば、すぐ治るから…


…アンタもよくわかったね。アタシが体調崩してるってこと…


あ、はは…何それ…どういう理論？そんなんで、アタシが風邪ひいてるって分かってたまるか…


…一応、心配はしてくれたんだ。ありがと…


いや、いい…特にして欲しいことはないから…


ていうか、こんな情けない姿、アンタにだけは見せたくなかったんだけど…


だって…アタシら、犬猿の仲っていうか、ライバルっていうか、そんな関係だし？所属する研究室違うけど、似たようなテーマ扱ってるし？だから…


…ッ！バカ…アンタそれ、本気で言ってる？本気で言ってるならアタシ、ますますアンタのこと…


…何でもない。今は絶対言わない。アンタから察してくれるまでは、絶対…


…ヒント？どうしても欲しいの？


ん、わかった…じゃあヒント。一回かかったら、なかなか治らない病気。主に精神的な、ね？


ハズレ…そんな重い疾患じゃないから…ちなみによく文学の題材にもなってる…


ふふっ…知ってる。アンタ、文学のことはからっきしだもんね。アホみたいな理系脳してるし…


ん、これ以上は無理。あとは自分で筋道立てるなりして考えて。正解はアンタが自力で答えにたどり着いたら、言ってあげる。


将来は立派な科学者になりたいんでしょ？だったら、少ないヒントでもそれをとっかかりにして、自分なりに仮説立てて検証して…きちんとした結論出してよ。アンタならできるでしょ？


…あ、ちょっと気が変わったから、もう一個ヒントあげる。アタシの手、握って？


そ。これも一応ヒント。アンタだけにあげる、特別なヒント…だからお願い…


(手を握ってもらう)


ありがと…手、意外とおっきいんだ。モヤシみたいな見た目してるから、全然意識したことなかったけど…


ふふ…ごめん。ちょっと思ったこと言ってみたくなった…


分かってる…ちゃんと元気になるから。今は休戦ってことで…


悪いけど…寝付くまで手、握ってて？このままの方が、安心して寝れるから…


バーカ…アンタは知らないかもしれないけど、嫌いじゃない異性に手握ってもらったら、寝付きよくなる実験の研究論文あるんだよ？あとで探してみたら？


ふふ…せいぜい頑張って？アンタの出す結論、楽しみにしてる…おやすみ。


(寝息)

・台本（ゆるボイ！）
【お見舞い】風邪を引いた異性の好敵手が謎の病に罹ったらしい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎