表向き善良、裏では不良なシスターはまごうことなきヤニカスであった。彼女は仕事の報酬として、今日も貴方にタバコを求めてくる…

天におられる我らが主よ、どうかこの儀をもって、かの者の罪をお許しください…アーメン。


…はい、もう大丈夫ですよ。主は貴方の罪を許すと言っておられます。これにて懺悔の儀式は終了です。お疲れさまでした。


(感謝でむせび泣く信者が立ち去ったあと、舌打ち)


バーローめ…なーにが「わたしの罪を聞いてくださり、ありがとうございました」だよ。あの自己満じじぃが…寝言は寝て言いやがれってんだ。


(彼が礼拝堂に入ってくる)


ん？おぅ、神父さんか。懺悔したいっつー、ジジババどもの相手なら全部終わったぞ。これでいいんだろ？


はっ…この程度で衣食住保証してくれんなら、安いもんさ。また乞食・盗賊生活には戻りたくねーからな。この顔面に生んでくれた親に感謝だぜ。もうとっくの昔にくたばっちまってるけどな。


それよりさぁ…ヤニ、吸わせてくれよ。今日もあの量の信者さばききったんだ。ご褒美の一つや二つ、あってもいいだろ？


へへっ、さっすがぁ。物わかりがよくて助かるぜ。じゃあお行儀よく、お外で吸ってきますかぁ…


(教会敷地の裏手に回り込み、彼と共にタバコを吸う)


ふぅ～…これがなきゃやってらんねぇなぁ。神父さんもそう思うだろ？


ははっ…この不良神父が。その凶悪なツラ、信者どもに見せてやりてぇぜ。


うるせーな…外面だけいいのはお互い様だろーが。信者集めのためなら、ポジショントークは常に欠かさねえくせによ。


あぁ？オレはただ笑顔で、信者どもにとってお耳の心地よい言葉を羅列してるだけだぜ？もっとも、それを教えてくれたのは他ならぬ神父さんだけどな。罰当たりな奴…


だよな～…オレら、天の国に迎え入れられることはなさそうだ。死んだら地獄行きかもな。まぁ、死んだ後のことなんて知ったこっちゃねーけど。


…あぁ？ざけんなよ、なんでオレがアンタを看取らなくちゃいけねーんだ。アンタがオレを看取れよ。


けっ…この性悪神父が。そーいうとこだぞ、っとによ…


(一本目を吸い終わり、二本目を吸い始める)


なぁ、極悪神父…もし、オレが番兵どもに捕まったら、どーする？そのまま見捨てる？


…！そう、なんだ…番兵をぶん殴ってでも、助けてくれんのか…なんで？


ははっ…！何だそりゃ…つまりアレか？オレは一生アンタの金儲けの道具でいろってことか？


へぇ〜…悪びれもせず、そーいうこと言えんだ。やっぱアンタ、最低最悪のクソ神父だよ。マジで地獄に落ちた方がいいぞ。


けど…そーいうクソみてえに正直なとこ、嫌いじゃねえぜ？取り繕った笑顔で綺麗事言う偽善者よりは、よっぽど好感持てる。


ヤニ、もう一本吸う？よかったらオレの火、直接使ってもいいけど？


(シガーキス)


ん……やったじゃん。上手いこと火ィついて。なんだかんだ、相性良いのかもな、オレら…キス、上手くいったし♡


はははっ！クソ神父から一本取ってやったぜ、バーローめ！キスっつっても、シガーキスだろーがよ！ははは！


(タバコの火を消して、耳元で囁く)


案外、可愛いとこもあるんだな…そーいう可愛げも大事にしとけよ？女を道具扱いするんなら、尚更な…ふふふっ♪

・台本（ゆるボイ！）
【ヤニ友】ヤニカス不良シスターとの奇妙な同盟生活
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎