おい…何泣いてんだよ、こんなとこで。

いや、ほっとけねーよ。

てか、なかなか帰ってこないから、わざわざ迎えに来たんだろ？

(ため息)

まぁたしかに頼まれてないけどな…

でも俺、お前の彼氏だから。

帰ってこない彼女を心配して迎えに行くのは、当たり前だろ？

あ？動けない？足でも捻ったか？

ふーん…精神的に、か。

じゃあ立ち直るまで待ってやるよ。

うん。もう暗いけどな。けどそんなの関係ねぇ。

お前が自分の足で立ち上がるまで待つ。

無理やり引っ張り上げて欲しかったら、それでもいいけど？

分かった。じゃあ待つ。

帰りたくなったら言えよ？俺も一緒に帰るから。

そうそう。せっかくここまで来たんだから、おいてくなよって話。

ん？……あー、そういう…

そりゃ辛かったな。お疲れさん…くらいしか言えねーわ、俺。

はいはい…気の利いたアドバイス言えなくてすみませんねー。

だって俺、当事者じゃねーし。

そんな詳しく事情も知らねえのに、無責任なこと言えねえだろ？

だから…彼氏としてお前にできることっつったら、こんくらい。

(抱きしめる)

んー…まぁそうだな。そばに寄り添うことくらい？

いや、むしろこれくらいできねえと彼氏失格だろ？

普段はその…照れ臭くて言えねえけどさ、いつもお前が俺のこと支えてくれてるように、俺だってお前のこと支えたいの。

じゃなきゃ、恋人になった意味ねーじゃん？だろ？

うん。そーいうこと。持ちつ持たれつって感じ。

にしても雨、止まねーな。お前が泣き止まないからじゃね？

ははっ…冗談だよ。テキトー言い過ぎたのは謝るって。

(頭を撫でる)

あーあ…こんなに濡れちゃって…帰ったら即シャワーだな。

え？……いいけど。今さらお前の裸見るの、恥ずかしくねーし。

頭も身体も、隅々まで洗ってやるよ。

ははっ、そっか。隅々まではいいか。じゃあ頭と背中だけな。

ま、そこまで減らず口叩けるようになったんなら、もう大丈夫だな。

ほら…帰ろーぜ。俺、腹減ったし。お前もだろ？

あぁ。とびっきり美味い飯、作ってやるよ。

お？雨止んだじゃん。なんかドンピシャだな。

いや、だってお前が泣き止んだ瞬間、止んだじゃん？だからドンピシャだなって。

そーだな。なんかドラマみたいだな。

さしずめ俺は、晴れ男って感じ？

はははっ！真顔で否定すんなって！傷つくだろ？

ほれ……いや、何って手、繋いでやるよ。

それとも一人で歩くか？

はいはい…仰せのままに、お姫様……なーんてな。

キモい言うな。本気で傷つくわ。

ははっ…やっぱお前、俺にそうやって悪態吐いてる方が似合ってるわ。

まぁな。悲劇のヒロインみたく、雨ん中で落ち込んでるのは似合わねーなーって。

あーあー、悪かったって。雨も滴るいい女ですねー。

(キスされる)

へ？なんだよ、急に…ドキドキすんじゃん…

お礼、か……ったく、いきなり可愛くなんのやめろよなー。

あーあ！今日は散々お前に手ェ焼かされたし！家でたっぷり可愛がってやらねーと、割に合わねーな！

ん、そーいうこと。今日は俺が甘やかす番だから、楽しみにしてろよ。

・台本（ゆるボイ！）
ぶっきらぼうな同棲彼氏が雨の中泣いてるわたしを迎えに来てくれた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎