一本の薔薇を盗んだ母のかわりに、野獣の城で暮らすことになった息子。
人間に戻る方法を探そうと提案するが
野獣娘はＭ男をはべらせ楽しいケダモノライフを送る気だ…！

いい眺めだねえ

壁にくくりつけられた姿がおまえほど似合う子もいないだろうね

何を怯えているんだい？
私がこの城の主だよ

人は私を野獣などと呼ぶが
……その通りだ

なぜおまえが鎖でつながれたかわからないというのかい？
おまえはまだ自分の立場が理解できないのかね

おまえの礼儀知らずの母親が、私の庭からバラの花を盗んだからだろう
その場で殺してもよかったんだけどね
どうしてもというから、情けをかけて一度家に帰してやったのだよ
戻ってこなければ、身代わりとして息子の一人を私に差し出すと約束したんだ

おまえはずいぶん親孝行だね
自らここへやってくるとは
その覚悟は誉めてやろう

ところがおまえは私を見るなり逃げようとしたね
失礼な話じゃないか


何？襲われそうになったから逃げた？
襲われて当然だろう
何のためにおまえを私の城に住まわせると思ったんだい？
おまえは親の犯した過ちを、その肉体をもって購うのだよ


なぜ私が野獣の姿をしているのか…？
それは話せば長くなるが
私もかつては人間の女だった
だがある魔法使いに呪いをかけられたのだよ


呪いを解く方法を探す？

おまえはおもしろい子だね

勘違いしないでおくれ
私はこの姿が気に入ってるんだよ
音もよく聞こえる　目もよく見える
鋭い爪と牙もある　この力　この俊敏さ
むしろ前よりも良いじゃないか

私が獣であることに何の不都合があるのかね

ああ、おまえにとって不都合なのかい？
だがなぜだ？
人間の女にしか欲情できないから？
それともおまえが今の私に到底勝てないからか？
それはどちらもおまえの側の都合に過ぎないね

考えてみれば私が人間の女であったころ
美しい女であるということに、はたして人が言うほど得があったか？
むしろ厄介ごとの方が多くはなかったか？

人の歴史が始まって以来、
美というものが、この世で権力を握ったためしが一度でもあったか？
美しさとは常に消費されるものでしかないではないか

世の中を動かし人を支配するのはいつでも、
力のある者、知恵のある者、金のある者

今の私はそのどれも不足はない　特に力は

しいて言えば弄んで楽しむ相手がなかったね
だが、今はおまえがいる

これからじっくり味わうことにしよう

……

少し噛んだくらいで騒ぐな
おまえはずいぶん臆病だね
よく見てごらん　血は出ていないだろう？

噛むというのは、獣にとって会話なのだ
人が勝手に忌まわしい行為と決めつけているだけのことなのだよ

お前に歯を立てた瞬間に、私にはあらゆることがわかる
おまえの脂肪と筋肉の量　その下の骨格
肌の弾力と、皮膚の温度、表面に滲んだ塩分の濃度
その汗は今のものか？　あるいはしばらく前の汗が乾いたのか？
お前の体調も感情も、それが恐怖なのか緊張なのか怒りなのかそれとも快楽なのか
すべてが一瞬にして伝わるのだよ
これ以上に濃密な会話など人の言語では到底叶うことはない
つまり獣の会話は人のそれより劣るどころか、むしろ優れているのだ

次はどこを噛もうかな？
腕かな
そのおいしそうな太ももかな
それともここかな

……

そんなに言うなら教えてやろう

私を人間に戻す方法が一つだけある
私が真実の愛を知った時、呪いがとかれ私は人間に戻るそうだ

そうだ、賭けをしようか

これからおまえに教えてやろう
これまでおまえが味わったことすらない痛みと快楽を

ここで暮らすうちに、おまえはやがて悟るだろう
私が獣であることには何の不都合もない
むしろこの姿こそが私にふさわしいのだと

おまえはやがて人間のメスでは物足りなくなり
自ら獣である私を求めるようになるのだ

おまえが堕ちるのが先か？
それとも、おまえが私に真実の愛とやらを私に教えるのが先か？

時間はたっぷりあるんだよ……

・台本（ゆるボイ！）
【ドＳ】ケモノ娘の城に囚われる【シチュエーション台本】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
クリスらびっと