やぁ隊長さん、こんな時間まで何してるんだい？
他の皆はとっくに寝てるけど……その様子、さては昼間に言われた事を根に持ってる感じかな？
「隊を任せるには若すぎる、どうせ単なるお飾りだ」
幼すぎるって、流石にあれは酷いよねぇ……確かに隊長さんは若く見えるけど、それでも立派な軍人な訳だし。
そもそも君をこの隊に押し込んだのだってアイツらな訳だし、あの役立たずどもってば本当に好き勝手し放題……なんだけど。
でもまぁ、あのいけ好かないお偉方（えらがた）の言いたいことも分からんくもないのよねぇ……君、まだお酒も飲めないし煙草（たばこ）も吸えないでしょ？
「半年後にはどっちも行ける」……それなら、半年後もまだ死んでなかったら、皆でお誕生日会でもする？
ともかく、そんな若人にまで武器握らせて、全く……この国もそろそろおしまいかね。
っと、隊長さんはこういうの嫌いだったかな？
私達が煙たがられてる理由、分かったでしょ。
この部隊って君をトップに置いてるだけの見せかけ、本当な単なる雇われ兵士だし──え、なにその顔、もしかして私達の事なんにも聞いてなかった感じ？
嘘でしょ……本当にさぁ、ここの重役ってどういう神経してる訳！？
使いやすそうなガキ拾って軍人に仕立て上げて、なにも知らせないまま傭兵のお守（も）りさせるとか……あぁもう本当にイライラする！
傷心（しょうしん）して夜更かししてる坊やに色々聞こうと思ってたんだけど……予定変更、悪いけど今日は付き合って。


あはは……君、こういうところに来るのは初めてだったかな？
そりゃまぁ、お酒が飲みたいな～って思わない限りはこんな所に来ることもないもんね。
この国ってお酒だけは妙に美味しいのよねぇ……肴（つまみ）のセンスも良いし。
でも、それ以外は全然ダメかな。
はいコレ、一応は隊長さんなんだし、こういうのも見たって損はないと思うよ。
どう……ビックリした？
私達を雇いたいって依頼書、もちろんこの国の外から。
私としてはこの依頼、受けるつもりだよ。
だってほらここ……今貰ってる金額より多いし、何かしらお土産を渡せば追加で支払ってもらえるんだもん。
こんないつ崩れるか分からないところに居るより、向こう十年は安定してるところに居た方がよっぽどマシだと思わない？
さてと……おふざけムードは一旦おしまい、今からはちょっとだけ真面目なお話。

君、私達と一緒に来る気はない？

個人的な感情だけど、私は君の事を気に入ってるし、出来る事ならこんなところから引き抜きたいとも思ってる……将来の事だけを考えるなら、とっても良い話だと思うけどね。
へぇ、快諾してくれるんだ。ちょっと意外だったな……君、ぱっと見は忠誠心とか凄そうに見えたんだけど、その辺りは見込み違いだったかも。
でも、そのおかげで「コレ」使わなくて済んだよ……自分で始めた賭けとはいえ、君みたいな若い子を撃つのは気が引けるからね。
もちろん、これって立派な契約違反になるからね。交渉が決裂した時には君を始末しようと思って忍ばせてたの……ってあぁもうそんな顔しないで、私が悪かったから。
それじゃあ──よし、こういうのはどう？
次の依頼者が三十分後に私達を迎えに来るから、君はデスクの書類をかたっぱしから集めておいて。
それを引き渡した分の報酬は全額君の物にして良いから。
それでも足りないって言うなら、向こうに落ち着いたら私の所に来て──

君の事、私が大人にしてあげる。

時間は気にしなくて良いわ、どうせ私は暇になるだろうし……ひょっとして今の君には、もしかしてお金よりもそっちの方がご褒美になるのかな？
私の事をそういう目で見てくれてたのは嬉しいけど、部下をそういう風に見てるのって上官として──って、君は本当にこういうノリに弱いのね。
はいはい、そういう目で見てたのは私の方です！隙あらば上司に色目を使って、さっさと食べちゃおうって意気込んでました！
……とにかく、いまはさっさと準備して。
多少のドンパチもあると思うから、外で待ってる奴らと一緒に必要な物をかき集めて。
私の方は準備も終わってるから、あんまりレディを待たせないでよね？
ここを生きて出られたら、その後は休暇を楽しみましょう……とっても可愛い上官（じょうかん）様♪

・台本（ゆるボイ！）
年上部下と真夜中の密談
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・台本制作者
霜月鷹