ん？おやおや……
誰かと思えば、今日も来てくれたんだ。
こ〜んな寂れた神社のちっぽけな神様を、よくもまぁ飽きずに毎日詣でてくれてさ……
君、本当に変わってるね。
とりあえず、今日もお賽銭とお祈り、ありがとね。
おかげで、私も色々助かってるからさ。
大したお返しはできないかもだけど、今後ともよろしくってことで。

そうだ……君、このあと予定とかある？
へぇ、予定なし……
やることないなら、ちょっと上がってかない？
日々のお礼を[[rb:兼 > か]]ねて、お茶くらいは出してあげるからさ。
「自分が入って良いのか」って……そんな事気にしてるの？
へーきへーき、だってここ、私の家みたいなもんだし。
君ってば熱心にお参りしてくれるし、たまにはお礼くらいしないとね。
安心して、見てくれはボロボロだけど、中はちゃんと掃除してあるから。
（襖の開閉音）
はい、いらっしゃ〜い。
ん、どうかした？
あぁ……外から見た時と内装が違うの、気になる？
これはまぁ、便利な神様パワーのなせる業ってやつ。
とかなんとか言っちゃうけど、半分は君のおかげなんだよ。
そ、さっき言った「色々助かってる」っていうのはこういう事。
私は信仰心とかにすっごい影響受けちゃうからさ、君が見つけてくれるまでは色々苦労してたの。
その顔……さては信じてないな？
言っとくけど、あの頃は本当に大変だったんだからね？
気を抜いたらそのまま消えちゃいそうだったし、それに──

それに、誰にも気づいてもらえなくて……正直、すっごい辛かった。

だからね、君に見つけてもらった時、すっごい嬉しかったの。
皆から忘れられた、寂れた神社のちっぽけな神様。
そんな私を、君は見つけてくれた。
見つけて、話しかけて、優しくしてくれた。
ずっとずっと、ず～っと独りぼっちだった私にはね、それがとっても嬉しかったの。
だからなのかな──

君のこと、帰したくなくなっちゃった♪

こんなに近くに君が居て、誰にも邪魔される心配もない……絶好のチャンス、逃せるわけないよね♪
大丈夫だよ、取って食う訳じゃないから。
むしろ、食べられちゃうのは私だったり……なんちゃって。
えっとさ、触らぬ神に祟りなしって言葉……知ってる？
危ないものに手出しをしなければ、自分が大変な目に遭うこともないってヤツ。
でもさ……その、今日くらいは、神様に触ってみたって良いんじゃないかな？
祟りなんて絶対に起きないし、むしろその、い、色んな御利益があったり……えっと……その……

ごめん、今のやっぱりナシ！

や、やっぱり私にはこういうの似合わない！
ちょっとだけ背伸びしてみたけど、すっごい恥ずかしい……恥ずかしすぎて消えそう……！
あ、でもね、帰したくないっていうのは本当だよ？
ただまぁ、私にはそこまでの度胸ないって言うか……とにかく！
さっきのはちょっとしたジョークみたいなものだから、その……あんまり本気にしないでね？
とりあえず、今まで通りの気楽な話し相手みたいな関係で、その……よろしく。
さっきみたいなことをするのは、もうちょっと自分に自信が付いたらにするから。

それまで、待っててくれる……？

・台本（ゆるボイ！）
【ダウナー/甘々】寂れた神社のダウナー神様がめちゃくちゃかわいい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹