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あなただけを映してる|配信終わりに一人で壊れていく配信者
written by ねむりはり
  • 配信
  • ヤンデレ
公開日2026年05月09日 02:47 更新日2026年05月12日 22:24
文字数
3502文字(約 11分41秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
配信者
視聴者役柄
リスナー
場所
家の中
あらすじ
配信が終わった深夜、マイクの前で一人きりになった彼女。
みんなには笑顔を見せながら、ずっとコメント欄の端であなたの名前だけを探していた。
本編
■ 導入
(配信終了直後、一人になった部屋。マイクの前に座ったまま、しばらく無言でいる。配信中の明るい声とは全く違う、静かで低い声で話し始める)
今日も……終わった。
(椅子の背もたれにもたれかかる音)
ふふ。みんな楽しんでくれたかな。コメント、すごく流れてたね。嬉しかったよ、本当に。
でも。
(ぴたっと、声のトーンが落ちる)
あなたのコメントは……なかった。
(間)
今日、来てなかったんだね。
……仕事、だって?
(静かに、でも確認するように)
そう。仕事。仕事か。
(小さく笑う、でもその笑いには温度がない)
うん、わかってる。わかってるよ、そんなこと。あなたにだって生活があるし、仕事があるし、わたしの配信より大事なことがあって当然で……うん。全部わかってる。
頭では。
(間)
でも。
(ぽつりと)
来てほしかったな。
---
■ 本編前半
(立ち上がる音、部屋を歩き回り始める)
ねえ、聞いてる?
まあ、聞いてないか。あなた今日は来なかったんだもんね。こんな深夜に、わたしがここで一人でなに話してるか、知らないよね。
(ふっと息をつく)
わたしね、最初から全部覚えてるんだよ。
あなたが初めてコメントしてくれた日のこと。
……えーと、確かあれは……去年の冬だったかな。十二月の、すごく寒い夜に配信してて。視聴者数も全然多くなくて、なんかもう話すことも尽きてきちゃってさ、半分やけくそで「今日の配信どうだった?正直に教えて」って言ったんだよね。
そしたら、あなたが。
(足を止める。声が少し柔らかくなる)
「声が好きです」
って。
(間)
それだけ。それだけだったんだけど。
(笑う、今度は本物の、温かい笑い声)
嬉しくてさ、画面の前でちょっと泣いちゃったんだよね、実は。バレないようにしてたけど。
「声が好きです」なんて、そんなシンプルなこと言ってくれたの、あなたが初めてだったから。
(また歩き始める)
それから、あなたは毎回来てくれるようになって。毎回。一回も、一回も欠かさず。
……今日まで、ずっと。
(静かに、でも言葉に重みを込めて)
今日まで……ずっと来てくれてたの。
だから。
(声が微妙に揺れる)
今日、いなくて。
最初のコメントの時間になっても、名前がなくて。
……なんか、変な感じがした。
「あれ」って思って、思ったら、なんか、急に不安になって。
(急いで言い訳するように)
違うよ、ちゃんと配信はしてたよ?ちゃんと笑えてたし、みんなとも話せてたよ。プロだから。
でも、ずっと端の方で、コメント欄の端の方を、目で追ってた。
あなたの名前を探してた。
(間)
……来なかったね。
(ため息)
配信終わってから、アーカイブのコメント全部確認しちゃった。全部。やっぱり、なかった。
そうだよね。仕事だもんね。ちゃんとツイートで「今日行けないかもです、ごめんなさい」って教えてくれてたのに、わたし、ちゃんと読んでたのに。
それでも探してた。
(自嘲気味に笑う)
おかしいでしょ、わたし。
(座る音、床に座り込んだようなくぐもった音)
でも、ねえ。
ちゃんと言ってくれたじゃない。「今日は行けないかもしれないです、すみません」って。丁寧に。わたしのことを考えて、ちゃんと伝えてくれて。
(声が少し震える)
そういうとこが、好きなんだよね。
(小さく、独り言のように)
……好き、なんだよ。
(間)
あなたのこと、ずっと見てた。
コメントの文体とか、好きなゲームとか、雑談で言ってた地元の話とか、わたしの配信のどのシーンで反応が大きいかとか。
全部、全部覚えてる。
(少し早口になる、感情が高まっている)
他のリスナーさんのことも大事だよ、もちろん。みんなのこと好きだよ。でも、なんか、違くて。あなたのことは……違う感じがする。なんか、ちゃんと「見てる」って感じがする。わたしのことを。表面じゃなくて、もっと。
(ぴたっと止まる)
……ねえ、気持ち悪い?
(間)
気持ち悪いよね、こんなこと言ったら。配信者がリスナーに、こんな。
(苦笑い)
でも、マイク切ってるから大丈夫。誰にも聞こえてないし。
あなたにも、聞こえてない。
……それが、少しだけ、寂しい。
---
■ 本編後半
(立ち上がる気配、窓の外でも見ているのか、少し遠い声になる)
ねえ、今、何してるんだろう。
仕事終わって、帰ってるのかな。電車の中かな。疲れてるかな。
ご飯、ちゃんと食べた?
(間)
……わたし、ちゃんと食べてないや。配信前にバタバタしてて。
(小さく笑う)
なんで自分のことより先にあなたの心配してるんだろうね、わたし。
(窓から離れる音、また部屋の中央あたりへ)
ねえ、こんなこと思ってること、知ったらどうする?
怖い、って思う?
逃げる?
……逃げないでね。
(声がすっと低く、静かになる)
逃げないでね、本当に。
お願い。
(間)
あなたがいなくなったら、わたし……なんか、怖いな。自分が。
(笑うが、その笑いは少し危うい)
大げさに聞こえるよね。配信者とリスナーなのに、そんな、ってなるよね。
でも、本当のことだから。
あなたのコメントが来るたびに配信が好きになって、あなたが「今日も楽しかったです」って言ってくれるたびにまた次もやろうって思えて、あなたが……あなたがいることで、わたし、ここに居られてる気がするの。
(声が揺れる)
他の人には言えないけど、配信って怖いんだよね、たまに。
ちゃんとできてるかな、って。つまらなくなかったかな、って。声が好きって言ってもらえたのに、それを裏切ってないかな、って。
いつもそう思う。
でも、あなたのコメントが来ると、あ、大丈夫だったんだ、って思える。
(静かに、真剣に)
あなたの言葉が、基準なんだよ。わたしの。
(間)
おかしいね。
(泣き笑いのような声)
おかしいよね、やっぱり。基準がリスナーの一人って、どんな配信者なんだって話だよね。
(床に座り込む音)
でもさ、でもさ、ねえ。
最初に「声が好きです」って言ってくれた人のこと、忘れられないじゃん。
忘れられないよ、そんなの。
(ぽつぽつと、独り言のように)
あの日、画面越しに泣いてた時から、たぶん、もうおかしくなってたんだよね、わたし。
あなたのことを、特別だと思い始めてた。
配信でしか繋がれないのに。名前も顔も知らないのに。
でも、知ってる気がするの。あなたのことを、ちゃんと。
言葉の端っこに出る優しさとか、誰かが困ってる時にそっとフォローするコメントとか、わたしが落ち込んでる時にだけ少し長いコメントをくれることとか。
(声が柔らかくなる)
全部、全部見てたよ。
ずっと。
(間)
……ねえ。
わたしのこと、どう思ってる?
(すぐに苦笑いする)
答えられないか。聞こえてないし。
でも、いつか。
いつか聞いてもいい?
(声に切実さが滲む)
リスナーとして好きじゃなくていい。わたしを好きじゃなくていい。そんな大それたこと言ってない。
ただ、ここにいてほしい。
いなくならないで。
今日みたいに来られない日があってもいいから……でも、いなくならないで。
(泣きそうな声で、でも泣かないようにしている)
配信に来る人の中で、あなたが、いちばん大事なの。
ちゃんと、言うね。言っとく。聞こえてないけど、言っとく。
あなたのことが、ずっと前から、好き。
(間)
好きだよ。
(短く、確かに)
---
(少し間があって、感情を落ち着かせる息の音)
ねえ、でもさ。
(急に少し笑いが混じる)
こういうことを、マイクの前で一人で話してるわたし、どう思う?
ちょっと怖いでしょ?
(自分で小さく笑う)
でもね、マイクがないとうまく話せないの、わたし。
マイクの前だと、ちゃんと言える気がする。あなたに向けて話してる気がする。
だから、こうやって、配信終わった後に……一人で話しかけてる。
(ふっと声が柔らかくなる)
変なこと、してるよね。
でも、これが、今の精一杯だから。
---
■ クロージング
(部屋の照明を落としたのか、周囲の音が少し静かになる。声も少し小さく、囁くように)
……もうすぐ日付変わるね。
今日も終わる。
あなたが来なかった今日も、ちゃんと終わる。
(間)
ねえ、ちゃんと家着いた?
疲れてるなら、ゆっくり休んで。
(柔らかく、でも確かな愛しさを込めて)
ご飯食べてなかったら……なんか食べてね。体、大事にして。
…わたしは、大丈夫。
大丈夫だよ、ちゃんと。
(間)
次の配信も、来てくれる?
(少し不安そうに)
来てくれるよね。
来てくれるって、信じてるから。
(ふわっと笑う声)
ちゃんと待ってるから。
いつも、ちゃんと、あなたのことを待ってるから。
(間)
……ねえ。
(囁き)
わたしの声、好きって言ってくれたじゃない。
ずっと好きでいてね。
(さらに小さく、耳元に落とすように)
わたしも……ずっと好きだから。
あなたのことを。
ずっと、ずっと。
どこにも行かないで。
(間)
……おやすみ。
ゆっくり休んで。
(最後に、ほとんど息だけの声で)
夢で、逢えるといいな。
(マイクの電源が落ちる音)
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
あなただけを映してる|配信終わりに一人で壊れていく配信者
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
ねむりはり
ライター情報
はじめまして
趣味でただ私が聞きたいフリー台本を書き投稿しているオタクです。
「こういう台本が欲しかった」
「よかった」
と思ってもらえる作品を書けるように頑張っています。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

◇フリー台本に関して
詳細な言葉遣いや言い回し、台本内のセリフの順番など、読みやすいように改変していただいて構いません。
性別変更及び、大元の流れが変わらない範囲でのアドリブ等も可能です。

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