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帰ってきたらすごく不機嫌で……
written by 神塚わひろ
  • 同棲
  • 不良 / ヤンキー
公開日2021年07月01日 19:00 更新日2021年07月01日 16:01
文字数
2094文字(約 6分59秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ぶっきらぼうな兄
視聴者役柄
お兄ちゃん大好きな妹
場所
妹の部屋
あらすじ
外で兄を見つけた妹は、思わずお兄ちゃんと呼んでしまう。
しかしバンド仲間といた兄は、それを無視して……

#ツンデレ
#ぶっきらぼう
#壁ドン
本編
〇妹の部屋(夕方)

SE 部屋のドアが開く音

   兄、不機嫌そうに、
兄「おう、ようやく帰ってきたか」

   妹、ビックリする。
   なぜ自分の部屋に兄がいるのか、と言う。

兄「あ? お前の部屋になんでいるかって?
 んなことどーでもいーだろ?
 それよか……」

   兄、ドアの前に立つ妹に壁ドン

SE 壁を叩く音

兄「おい、今日のはどういうことだ?
 オレの事は兄貴って呼べっつったろーが!」
   と、少々脅し気味に言う。

兄「バンド仲間もいる中で、遠くからデッケー声で『お兄ちゃん』なんて呼んでんじゃねーよ!」

   妹、わざとじゃない、と言う。
   ビビりすぎて泣き出してしまう。

兄「は? なに泣いてんだ。
 テメーが悪いんだろーが。
 いいか、今後、外では絶対にあんな呼び方すんなよ!
 わかったな!」
   と、釘を刺すように壁を強く叩く。

SE 壁を叩く音

   兄、乱暴な足取りで妹の部屋を出ていく。

SE 乱暴な足音、乱暴にドアを閉める音

   しばらく 間

〇兄の部屋

   兄、やっちまった…といわんばかりのため息

兄「……クッソ……
 オレのバカヤロ……!
 なんであんな言い方になるんだ!?」
   と、頭を抱えて座り込む。

兄「あいつ、昔から『お兄ちゃんお兄ちゃん』言ってたじゃんか……!
 言い慣れてねぇ事くらいわかりきってんだろぉが。
 なのにオレ……だーもう!」
   兄、ため息をついて天井を仰ぐ。

兄「次、あいつにどう顔合わせたらいいんだあ?」

〇リビング

   兄、妹、と向き合って夕食。

SE 食器や箸の音

兄・心の声「……だよなあ。
 家族なんだし、飯、一緒になるよなあ……
 ……つーか……」

兄「親父とお袋は?」

   妹、少々びくつきながら「仕事で出張」と言う。

兄「ふぅん……
 ……なら、今夜はオレとお前の二人だけか……」
   妹、『二人だけ』という言葉にビクつく。
   兄、妹の反応にイラっとする。
兄「あ? なんだその反応?
 オレと二人が嫌だってか?」

SE 箸や食器を乱暴に置く音。

   妹、そういう訳じゃ……と言いよどむ。

兄「じゃあ、なんだってんだ?」
   兄、妹に詰め寄るために立ち上がる。

SE 椅子ががガタンとずれる音

   妹、思わず逃げる。

SE 逃げる足音、追う足音

兄・心の声「ちっ……なんで逃げやがる?」

   兄、妹をじりじりと壁に追いやる。
   重い空気が漂う。

兄「お前……ムカつく!
 呼び方は直さねぇし、今もおどおどしやがって」

   妹、『お兄ちゃん』と言いかけ、
   慌てて『兄貴』と言う。

   兄、その様子をみて苛立たしさがつのる。

兄・心の声「またこいつ……『お兄ちゃん』て言いかけてたな……くそっ」

兄「オレの事が嫌いならそれでいーけどよ……
 二度と兄貴ともお兄ちゃんとも言うなよ!」

   妹、絶望の表情をする。

兄「話はもうねえな。
 ……じゃあな」
   兄、妹の返事を待たず踵を返す。

SE 駆け足の音
SE 衣擦れの音

   妹、必死に兄の腕にしがみつく。

兄「なっ……んだよ……離せよっ!
 オレの事は放っとけばいいだろうがよ!」

   妹、強く首を降って否定する。
   何回も謝罪する。

兄「なに謝ってんだよ!?
 お前が嫌がってたんだろーがよ!」

   妹、嫌じゃないと叫ぶ。

兄「嫌じゃねえなら何なんだっ!?」

   妹、つい本音を言う。

兄「ああっ!?
 オレが好きで恥ずかしくって言えなかっただ、け……?」
   兄、だんだん語尾が弱くなる。

   二人して沈黙する。

   妹、真っ赤になって、部屋を出ていく。
   自分の部屋へと階段をかけ上がる。

SE 駆け足の音

   兄、呆然と立ち尽くす。

SE 二階でドアの閉まる音

兄「……なんだよ……嫌われてたんじゃねぇのか、オレ……?」
   兄、自分が嫌われていないと気付く。

兄「な、なあ……おい! 待てって!」

   兄、妹を追っていく。

SE 駆け足の音

○妹の部屋(夜)

   兄、妹の部屋のドアに立つ。
兄「……おい、そこにいるか……?」

   妹、返事しない。

兄「……さっきは、悪かった……
 カッとなっちまってつい怒鳴っちまった。
 ……お前が、オレの事……呼びにくそうにしてたのは知ってたのに……」

   妹、ドアをそっと開ける。

SE カチャ、とドアの開く音

   妹、黙って兄を見上げる。

兄「その、オレ……
 お前に……き、嫌われてると思ってたからよ……」

   妹、そんなわけないと言う。

兄「そっか……そうだな。
 お前は昔っから変わらないもんな……
 変わっちまったのはオレの方か……」

   兄、妹の頭を撫でる。少しぎこちなさそう。

SE 頭を撫でる音

   妹、キョトンとして兄を見上げる。

兄「な、なんだよ……?
 昔っからやってただろ、頭撫でるのは」

   妹、兄に抱きつく。

兄「っ……! だ、抱きつくなっ!」

   妹、「やっぱりお兄ちゃん大好き」と言う。

兄「っ……! 大好きって……!」

   兄、真っ赤になる。

兄「おま……そーゆー事は平気で言えるくせに、
 『兄貴』は言いにくいのかよ……?」

   妹、こっくり頷く。
   『兄貴』というと、なんだか気持ちが離れそうだと、
   少し寂しそうに言う。

兄「う……な、なら……
 家の中だけ……なら……お兄ちゃんでいい、ぞ……」

   妹、喜ぶあまり、兄の頬にキスする。

SE リップ音

兄「っ!? お前なあ……!」

   妹、にっこりと「大好き」と言う。

兄「……ああ、オレも……大好きだ」

-END-
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
帰ってきたらすごく不機嫌で……
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
神塚わひろ
ライター情報
pixiv、ファンティアにて女性向けフリー台本書いています。
台本ご利用の際は言っていただけるとすごく喜びます。
反応は遅めです、申し訳ない。
甘々、R、たまにバイオレンス。
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