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ぶっきらぼうなお兄ちゃん。妹が熱を出してしまい……
written by 神塚わひろ
  • ギャグ
  • 同棲
  • 罵倒
  • 看病
  • 寝かしつけ
公開日2021年07月02日 19:00 更新日2021年07月02日 09:22
文字数
2070文字(約 6分54秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ぶっきらぼうな兄。バンド活動をしている。
視聴者役柄
お兄ちゃん大好きな妹。
場所
妹の部屋
あらすじ
普段はぶっきらぼうなお兄ちゃん。妹を溺愛してはいるが、その素振りを見せるのは妹の前でだけ。
ある日、用事があって妹の部屋にいくと、布団で横になっている妹が。
おでこを触れるとかなりの熱があって……

#ぶっきらぼう
本編
〇妹の部屋

SE 乱暴なノック音

兄「おい! いるんだろ!?」

   妹、返事がない。
   兄、ドアを蹴り開ける。

SE 勢いよくドアの開く音

兄「てめぇ返事くらいしろやっ!
 この間オレのアパートから新曲のスコア勝手に持っていきやがって……って、何してんだ?
 布団にもぐりこんで……」

   妹、息遣いが荒く苦しそう。
   兄、妹の様子がおかしいことに気づく。

兄「……おい、どうした?
 ……って、熱っつ!
 お前、熱あんじゃねえか!」

兄・心の声「昨日フラフラしてると思ったら、具合が悪かったのかよ!?」

   妹、もそもそと寝返って兄の方に顔を向ける。

兄「お、おい、無理して動くな!」

   妹、「ごめん、スコアは机の上」と言う

兄「スコアなんざ後回しだ!
 お前、具合悪いのか……?
 いや、んなことより、
 なんか……熱下げるモンは……!」

   妹、せき込む。

兄「クッソ! 咳まで出てんのか。
 おい、お袋は何やってんだ!?」

   妹、「お父さんもお母さんも仕事に行ったよ」と苦しそうに言う。

兄「ああ!?
 子供より仕事ってか!? クソが!」

   妹、「仕方ないよ。ただの風邪だし寝てれば治るから大丈夫」と言う。

兄「ンな状態でどこが大丈夫なんだよ!」
   と、思わず怒鳴る。

   妹、「ごめん、大きい声は頭が痛くなる」とつらそうに頭を抱える。

   兄、妹の様子に落ち着きを取り戻す。
兄「あ……悪い、怒鳴っちまって……
 頭痛もするのか。
 お前、薬は? 飲んだのか?」

   妹、「まだ飲んでない」と言って起き上がろうとするがよろける。

SE 衣擦れ音

   兄、慌てて妹を支える。

兄「おい、寝てろって。
 フラフラしてるくせに動こうとすんなっ」

   妹、風邪がうつるから、と兄に部屋を出るように言う。

兄「何言ってんだ、この程度でうつるわけねぇだろ。
 お前を放ったらかしにするほど人でなしじゃねぇっての」

   妹、「ありがとう」とにっこりする。

兄「薬はどこにあんだ?
 ……あー、その前にメシか。
 なんか食えそうか?」
   妹、兄の看病する様子にポカンとする。

兄「なんだ? ポカンと間抜けな顔しやがって……」

   妹、兄が看病してくれるなんて珍しいと言う。

兄「……はっ!? ざっけんな!
 何でオレがお前の看病なん、か……」

   兄、じっと見つめてくる妹に言葉が消えていく。
   兄、観念したように頭をガシガシと掻く。

兄「……ああクッソ! あとであのバカ親どもに病院連れてってもらうんだぞ!」
   妹、嬉しそうに返事する。

兄「とりあえず、何をすれば……
 ああ、メシと薬か。
 少し待ってろ――っ痛ぇ!」

   兄、慌てて部屋を出ようとして、テーブルの角に足をぶつける。

兄「この……クソテーブル……!」
   妹、心配そうに兄を見る。
   兄、逆ギレ。

兄「ああ!? なんともねーっての!
 ……いいか、お前は寝て待ってろよ。
 さっきみたいに起き上がってきたらぶっ飛ばすからな!」
   妹、苦笑して「うん」と慣れたように返事する。
   兄、部屋を出る。

SE ドアを閉める音

   兄、廊下でしばらく突っ立っていたが、ぶつけた足を抱えて少し涙目。

兄・心の声「クッソ……小指はねぇだろ……」

   しばらく・間

SE ドアを開ける音

兄「おい、できたぞー……
 ……?」
   妹、うとうとしていたが、兄の声で目を覚ます。

兄「寝てたのか? 悪ぃ。
 メシ作ったけど、食えるか?」

   妹、「うん」と、のっそり起き上がる。
   妹、テーブルに置かれたうどんに喜ぶ。
兄「ああ……冷蔵庫ん中、勝手に漁ったらうどんくらいしかなかった。
 お前、好きだろ。
 ネギと生姜の入った卵とじうどん。
 風邪ひいたとき、お袋がいつも作ってたやつ。
 熱いから気ぃ付けて食え」

SE ぐつぐつと煮えたうどんの音

   妹、灼熱の音を立てているうどんを見つめる。

兄「あ? 食わねえのか?」
   妹、「さすがに熱そう……」と言う。

兄「んだよ、こんなもん熱いうちに入んね……あっづぅ!」
   兄、試しに自分が食べて火傷をする。

兄「わり……さすがに熱すぎた」
   妹、食べさせてほしいとねだる。
兄「ああ!? ざっけんな、なんでオレがお前に食べさせなきゃなんねーんだ?」

   妹、じっと兄を見つめる。

   兄、しばらく対抗していたが、やがて観念したように、
兄「……だーもう! わーったよ」

SE 食器の音

   兄、妹のためにフーフーする。
兄「……ほらよ。
 ……なんだよ?
 熱すぎるから冷ましただけだろ?
 さっさと食え」

   妹、おいしそうに食べる。

兄「……よし、ちゃんと食えるな。
 食い終わったら薬も飲めよ」
   妹、もぐもぐしながら頷く。

兄「あと、こんなことすんの、これっきりだかんな。
 二度とさせんじゃねぇぞ!」

   妹、兄が風邪ひいたら自分がやってあげると言う。
兄「ばっ……!
 オレが風邪ひいたときは自分でなんとかする!
 お前の看病なんざ願い下げだ!
 わかったら、さっさと食え!
 んで、薬飲んで寝ろっ!」

SE 食器の音

   妹、自分が寝つくまでいてほしいと、さらにおねだりする。
兄「はあ? 寝つくまでここにいろ?
 何言ってんだバーカ」

   兄、耳元で、
兄「……最初からそのつもりだっつうの……」

SE 軽いリップ音

-END-
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ぶっきらぼうなお兄ちゃん。妹が熱を出してしまい……
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
神塚わひろ
ライター情報
pixiv、ファンティアにて女性向けフリー台本書いています。
台本ご利用の際は言っていただけるとすごく喜びます。
反応は遅めです、申し訳ない。
甘々、R、たまにバイオレンス。
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