元ヤンである貴方を、先輩女子が肯定するお話。元ヤンで周囲から怖がられ、煙たがられている貴方を、彼女は必死にフォローしようとしてくれて…？

よ、後輩くん。今日も一緒にかーえろっ。


ちょっと何さー、そのめんどくさそうな顔は〜…そんなにあたしと帰るのが嫌？


あ、バレた？いやー、やっぱモテる女は辛いってゆーか？変にナンパとかされない為には、横に男置いとくのが一番手っ取り早いんだよねー。てことで、一緒に帰ろ？


(手を繋がれる)


…！へ、へ〜…君、わかってんじゃん？男たるもの、女の子を守るためには手を繋がないとね、うん…


(手を繋いだまま下校)


あの、さ…もう手、大丈夫だよ…？


(手を放される)


あっ…ホントに放すんだ。そこはもうちょっとさぁ…


…ううん、何でもない。これ以上のわがままは君の迷惑だよね。ごめん…


(無理やり手を握られる)


え、いや、あの、ちょっと⁉︎ さっきはあっさり放したくせに、何でまた握るの⁉︎ って、強く握りすぎ！痛い痛い！


(また手を放される)


も〜…乱暴なんだから。そんなんじゃ、女の子は一生寄り付かないよ？もっとこう、包み込むような優しさ的なオーラを振りまいて…


あはは…だよね〜、知ってた。元ヤンの君にはハードルが高すぎたね。まぁ、君には君の良さがあるし、無理して優しくしなくて大丈夫だよ？


…そんなことないよ。君が何も良いところがないクズだなんて、わたしは思わない。ていうか、そういうふうに自分をおとしめるのはやめてって前に言ったよね？


ん、よろしい。素直にごめんなさいできて、えらい。前までの君だったら、絶対変な意地張ってたし。素直になれるってのも、人間的には大きな進歩だよ？


って、君に偉そうに言ってる割に、あたしはあれから全然進歩してないんだけどねー。あはは…


そんなことあるって…あの日、信頼してた男友達に襲われてさ…君が助けてくれなかったら、人生終わってたかも。未だに君以外の男性不信、直ってないし…


君にはありがとうと同時に、申し訳なさでいっぱいだよ…あたしを変に庇ったせいで、周りから悪者扱いされて…アイツに、男友達に暴力振るったから…


あ、あたしが嫌なの！君は気にしないかもしれないけど、君が悪く言われるのはなんかやだ！君はあたしのヒーローなのに…！


言い過ぎじゃ、ない…！ホントの、ことだもん…！後輩くんは、あたしにとって大切な…！


(嗚咽を漏らしながら、言葉を紡ぐ)


大切な、人だもん…！誰が君のことを悪く言ったって、あたしはそうは思わない…！君は優しくて、カッコよくて、素敵な人だもん…！


美化しすぎじゃ、ないし…！全部、ホントのことだし…！


たしかに君はぶっきらぼうで、口も悪いけど…でも理由もなく、暴力を振るう人じゃない…！それはあたしが一番よく知ってる…！


だ、だからっ…！君もいい加減、自分のことを認めたげてよ…！そうじゃなきゃ、あたしが悲しいよっ…！


(ティッシュを渡される)


うぅ…ティッシュ渡すくらいなら、抱きしめてよ…そっちの方が慰められるし…


…要る。鼻水、かみたいし…


(鼻水をかむ)


ハァ…なんかすっごい泣いちゃった…みっともないところ見せてごめんね？


ひ、ひどっ…仮にもさっきまで泣いてた女の子に対する言葉がそれ？ガチめにデリカシーない…これだから、元ヤンは…


…ふふっ♪ けど、そんな君でもあたしは好きだよ？あ、もちろん、後輩としてね？


(彼の手を握りにいく)


えへへっ…手、また握っちゃった♪ 言っとくけど、今度は放してあげないよ？


ふふっ、じゃあ勝手にしまーす……


(小声で) 今度はあたしが、君の心を守るから…絶対、守るもん…

・台本（ゆるボイ！）
【シリアス/青春】心に傷を負った先輩の信じる気持ち
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎