あなたの家の近くには
とっても美味しいカフェがあります
そこのマスターは美人で
ちょっとミステリアスな雰囲気の女性です
あなたは彼女に一目惚れし
いつしか毎日そこに通うようになりました
そしてあなたはプロポーズをします

が振られてしまいました

あら、いらっしゃい
今日も来てくれたのね
どうする？
今日はこの前言ってたグアテマラの
豆が届いたんだ
ホントは明日から提供するつもりだったんだけどね…
せっかくだから特別に淹れてあげる

ふふ…見なくてもわかるよ
常連さんたちの声は全員覚えてるし
それに…君は1番の常連さんだからね
ドアを開ける音でわかるし…
ちょっと気持ち悪いかもしれないけど
匂いでわかっちゃうんだよね
まぁ…職業柄…ね？
匂いに敏感になっちゃったんだよね〜

ん？どしたの？
……はぁ、君もこりないねー
無理よ、何度言われたって
君とは付き合わない
それに私は誰とも付き合わないって決めてるの

なんでって…理由なんてないわ
私がそう決めてるからとしか言いようがないじゃない

じゃあなんで悲しそうな顔するんですかって？
…何言ってるの？
私、そんな悲しそうな顔してる？
してないでしょ？
変なこと言わないでちょうだい
は？！泣いてないよ！
ホントに怒るよ？
(少し泣き声で)
だから…泣いてないって…
ほら！ね？泣いてないでしょ？

ほら、そんな悲しそうな顔してないで
座って座って…て、え？ちょ、ちょっと！
(抱きしめられる)
…なんで…なんで君は
いつもいつも優しくしてくれるの？
…好きだからって…そんなの
理由になってないよ…
うぅ…なんでよ…
(と言って抱きしめ、少しの間泣く)
…うん、落ち着いた
ありがと、ごめんね
情けないところ見せちゃって

私…嘘ついてた…
ほんとはね…私だって人並みに他人のことを好きなりたいの…
でも…私は…好きになっちゃいけないの
私…厄病神らしくてさ…
私が好きになった人
みんな死んじゃってるんだ…
事故だったり…病気だったり…
自殺した人もいた…
それがもう何回も続いてるの…
だからね…私、決めたの
一生一人で生きていこうって

だから…お願い…
私を好きにならないで…

嫌だじゃないの！
君が不幸にならないためにも
私を好きにならないで！
だって…そんなことされたら…
私…君を好きになって…
それで…また…大切な人を…
もう嫌なの！

え…あ…ちょっ…(キスされる)
何よ急に！
へ…そんなの付き合ってみてからじゃないと分からない？
そんなことない！私は…私は！
もう…誰も傷つけたくない…
だから…(またキスされる)
なんでそう何回もキスするのよ！
わけわかんないよ！
好きだからって…そんなの…
理由になってないよ…

ねぇ…どうしても私がいいの？
……引いては…くれないんだね
わかった…
後悔しない？
後から言っても遅いからね
ほんとに…私なんかでいいの？
そっか…
(と言って抱きしめる)
じゃあ…後悔しないでね…
こんなに私を泣かせたんだから
地獄の底まで付き合ってもらうからね
覚悟してね…

っていうのが私とお父さんが付き合い始めたい理由よ
ふふ、そうね～、あの時のお父さんはとってもかっこよかったわね～
そんなあの人が私は好きだったんだけどね
…今は廊下でコソコソ盗み聞きしてる不審者行動してるけどね

あなた…何やってるの？
堂々と入ってきたらいいじゃない
まったく…
何を恥ずかしがってるんだか…
あなたがそういうことをしたんでしょ？
仕方がないじゃない、事実なんだから

ん？どうしたの？
うん、そうだよ
「好きだった」の
そりゃそうだよ
(と言って抱きしめる)
今は…愚痴も聞いてくれて
私のことをいつも気にかけてくれて…
私のことを好きでいてくれるあなたが…
だいだいだいだいだーい好きなんだもの

ふふ…やっぱり可愛いなぁ…
私をこんなに幸せにしてくれてありがと
これからも私と娘をよろしくね
かっこよくて可愛い旦那さん

・台本（ゆるボイ！）
嘘と砂糖の使い方
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
零音リオリア