へぇ、これが他の世界に行く為の門ねぇ……
意外と普通なんだな。
なんつぅかこう、もっとスゲェのを想像してたんだけど、正直期待ハズレだわ。
そんじゃ、目的の物も見つけたしさっさと帰ろう──って、は？
お前それ、なにしてんだ……？
「今すぐ使う」って……おい、嘘だろ？
お前それ、今すぐ使う気なのか？

いやまぁ確かに、お前の旅の目的は元の世界に帰るって事だったけどさぁ……
だからって、今すぐ帰らなくたっていいんじゃねぇか？
ほ、ほら、まだこっちでやる事だって残ってるだろ？
それにアタシだって、まだお前と一緒に……は？

いや、だって……おい、待てよ……待って！
ダメだ……ダメだってそんなの……！
だってお前が、お前がいなくなるなんて……
そ、そんなの……そんなの絶対ダメに決まってるだろ！

だってよぉ、お……お前が居なくなったら、アタシはどうなんだよ？
アタシにはお前しか居ないんだ、それなのにお前が居なくなったら……
ダメだ、そんなの絶対にダメだ！

お前だって言ってたじゃねぇか！
「こっちの方が色々と面白い」って……それなのに、元いた場所に帰んのかよ？
「故郷に帰りたい」……？
え、あ……そ、そんな……
頼む……行かないで！
アタシを置いていかないで！

アタシはお前がいなきゃ、生きていけないんだ……！
だから……だから頼む！
このままこの世界に、私の傍に残ってくれよ！


あー……その、ごめん。
お前の気持ちも考えないで、自分の気持ちばっか、好き勝手に言って……
そうだよな！お前、元の世界に帰る為に今まで頑張ってきたんだもんな！
悪いな、最後の最後にこんな……
向こうでも元気にしてろよな……そんじゃ、さよなら。





よぉ……久しぶり。
こっちの時間だと……そうだなぁ、一年ぶりか？
おいおいなんだよ、そんな信じらんねぇモノを見るような顔して。
アタシがこっちに居るの、そんな驚くようなことか？
お前がアタシの世界に来れたんだ、その逆だってやろうと思えば出来んだろ。
（溜め息）
しっかしまぁ、お前の世界って本当にすげぇのな。
魔物もいなけりゃ魔法もなしに色々と便利なことができちまうとか……
こりゃ確かに、お前が私を置いて帰りたがるのも納得だわ。

「どうやって来たんだ」って……はは。
やっぱそれ、気になるか？
お前が消えたあと、死に物狂いになってアレコレ勉強したんだ。
そうやってどうにか世界の壁を越える方法を見つけて、お前を追いかけてここまで来た……
ま、だいたいそんな感じかな。

にしてもお前さぁ、意外と薄情な奴だったんだな。
アタシ、お前なら向こうに残ってくれるって、割とマジでそう思ってたんだぜ？
それなのによぉ、こっちに通じてる門を見つけた途端、迷いなく帰りやがって。
本当、マジでさぁ──

なんで……なんでアタシを選んでくんなかったんだよッ！

アタシ、お前になら自分の全部を差し出せるって、本気手でそう思ってたんだよ。
なのに……なのに……！
お前はアタシを捨てて、一人で消えやがった！
なぁ、どうしてアタシを選んでくんなかったんだよ!?
お前はアタシの事を仲間って呼んでくれたのに……
なんで……なんでなんでなんで！
なんでアタシを独りにしたんだよッ！
なぁ、なんで黙ってんだよ……？
黙ってないで、さっさと答えろよッ！

あー……わりぃ。
これでもけっこう手加減したつもりだったんだけどな……
つうかお前、流石に吹っ飛び過ぎじゃね。
さてはこっちに帰ってきてから、マトモに鍛えてなかっただろ？
アタシが「何があってもいいように鍛えとけ」って言ったの、忘れちまったのか？

まぁいいや、とりあえず帰るぞ。
ここじゃ誰かに見られちまうかもしんねぇしなぁ……
お前だって、せっかくの再会を邪魔されたくねぇだろ？
「何処に行くんだ」って……んなの、アタシの家に決まってんだろ？
アタシはもう向こうに帰れねぇからな、今はこっちで身分用意して暮らしてんだよ。
つーかさぁ……そんなこと、今はどうだっていいだろ。
お前は私にもう一回会えて嬉しい〜って、それだけ考えとけば良いんだよ。

それじゃあ行くぞ……って、その状態じゃ流石に歩けねぇよな。
ほらよ……っと。
お前の事は担いでいってやるから、しばらく寝とけ。
なんたって今日は、再会を祝して──

寝る間も惜しんで、いっぱい楽しむんだからな♪

そんじゃ、こらからもよろしくな。
アタシの相棒♪

・台本（ゆるボイ！）
【ヤンデレ/異世界】異世界で一緒に冒険していたヤンデレな相棒が元居た世界まで追いかけてきた
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹