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縁側の月明かり、あなたと過ごす静かな夜
written by ねむりはり
  • 友情
  • 寝かしつけ
  • 癒し
公開日2026年05月09日 02:52 更新日2026年05月13日 00:17
文字数
3341文字(約 11分9秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
和風の女性
視聴者役柄
友人
場所
古民家の庭
あらすじ
秋の夜、縁側へ招かれる――。風鈴の音、虫の声、そして柔らかな月明かりの下で、彼女はあなたのためにそっとお茶を淹れてくれる。
祖母から受け継いだ柚子茶(ゆずちゃ)の香り、幼い頃に一緒に植えた梅の木、雲越しに滲(にじ)む満月……。
静かな景色の中で、彼女はぽつりぽつりと、胸の奥にしまっていた言葉をあなたに打ち明けていく。
本編
■ 導入
(縁側に座る音、風鈴の音、遠くで虫の声)
……あ。
来てくれたんですね。
(少し嬉しそうに、でも静かに)
ふふ……よかった。もしかしたら、来てくれないかもしれないって、少し心配していたんです。
どうぞ、こちらへ。
(隣に座るよう促す)
ここ、縁側の端のほうが、庭がよく見えるんですよ。
……そう、そこです。
(風の音)
今夜は、いい風が吹いていますね。
ほら、あの南天の葉が、さわさわって揺れて……。
なんだか、葉っぱが息をしているみたいで、私、この景色がとても好きなんです。
(少し間)
……驚きました?
急にこんな夜に、ここへ呼んでしまって。
でも……なんだか今夜はひとりでいると、少し胸がざわざわしていて。
あなたのことが、頭に浮かんだんです。
……だから、連絡してしまいました。
(小さく息をつく)
迷惑だったら、ごめんなさいね。
でも……来てくれて、本当によかった。
(虫の声、風鈴)
さあ、ゆっくりしていってください。
今夜は、どこにも急いで行かなくていいですから。
---
■ 本編前半
(急須でお茶を注ぐ音)
はい、どうぞ。
今夜は少し冷えますから、温かいものを。
これ、祖母が庭で育てていた柚子を干したものを混ぜた、柚子茶なんです。
……飲んでみてください。
(少し待つ)
……どうですか。
(ふふ、と小さく笑う)
よかった。
祖母にも、毎年この季節になると入れてもらっていたんですよ。
この香り、嗅ぐたびに、あの頃を思い出してしまって。
……なんだか、胸がじんわりとしてくるんです。
(庭の方を見ながら)
あの梅の木、見えますか。
ほら、あの左の奥のほう。
……そう。
あれ、私が子どものころに、祖母と一緒に植えたんです。
最初はほんとうに小さくて、ひょろひょろとした苗木だったんですけど……。
今ではこんなに大きくなって。
毎年春になると、白い花を咲かせてくれて。
……うれしいな、っていつも思うんですけど、同時にちょっと切なくもなって。
時間って、流れているんだなって。
(小さく笑う)
ごめんなさい、少し、しんみりとしてしまいましたね。
(間)
……あなたは、こういう夜、好きですか。
静かで、虫の声が聞こえて、お月様がこんなに丸くて。
(月を見上げる)
今夜のお月様、本当にきれいですよね。
薄い雲がかかっているけれど、それがまた……ぼんやりと滲んでいて、幻想的で。
私、お月様を見ていると、不思議と落ち着くんです。
なんでだろう……。
ずっとそこにあるからかな。
どんな夜でも、雲の向こうで、ちゃんと輝いていてくれているから。
(静かに)
……見えない夜でも、消えてなくなったわけじゃないって、思えるから。
(間)
……最近、少し、うまくいかないことが多くて。
あ、暗い話をするつもりじゃなかったんですけど……。
(苦笑い)
ただ、なんでしょう。
一生懸命やっていても、なかなか報われないことって、あるじゃないですか。
……あるんですよね、そういうこと。
ちゃんと向き合って、ちゃんと考えて、ちゃんとやったつもりでも……。
あれ、なんで、っていう結果になることが。
(少し笑う)
でも、今夜はそういうことを、ぐるぐると考えるのをやめにしようと思って。
あなたに来てもらったんです。
……そうしたら、なんか、気持ちが楽になるかなって。
(間)
……ありがとうね。
ここに、いてくれて。
(風の音)
ふふ……風、気持ちいいですね。
こうして縁側に座って、庭を眺めていると……。
なんだか全部、どうでもよくなってくる気がして。
いい意味でですよ。
こんな夜が、ずっと続けばいいのにって。
(お茶を一口飲む音)
……あなた、今日はどんな一日でしたか。
(間)
そうですか。
……ふふ、お疲れ様でした。
じゃあ今夜は、何も考えなくていいですよ。
ここに座って、この庭を眺めて、ただ……息をしていてください。
(風鈴)
---
■ 本編後半
(少し時間が経った雰囲気、より静かに、声のトーンが少し落ち着いてくる)
……ねえ、聞こえますか。
あの音。
(少し間)
……ころろ、ころろ、って。
コオロギですよ。
庭の石の裏のほうで鳴いているんですよね、たぶん。
毎年この季節になると来てくれて。
ひとりで一生懸命、鳴いているんです。
……健気ですよね。
(小さく笑う)
私、コオロギの声、すごく好きなんです。
単調なようでいて、ちゃんとリズムがあって。
なんか……子守唄みたいで。
(静かな声で)
こうして聞いていると、だんだんと、目が重くなってくるんですよね。
あなたは眠くなってきていませんか。
……ふふ。いいんですよ、眠くなったって。
今夜はゆっくりしていってください。
(間)
昔ね、祖母がよく言っていたんです。
夜の庭はね、昼間とは違う顔をしているって。
昼間は人に見せる顔、夜はほんとうの顔、って。
(静かに)
……なんとなく、わかる気がします。
こうして月明かりに照らされていると、木も、石も、草も……みんな、少し別のものに見えてきて。
でも、怖くはないんですよね。
なんというか……やわらかい感じがして。
包まれているみたいな。
(間)
あなたもそう感じますか。
……そうですか。
よかった。
(少し間)
私ね、子どものころ……この縁側で、祖母と並んで夜の庭を見るのが大好きだったんです。
祖母は多くを語らない人で、ただ隣に座って、同じ方向を見ているだけで。
でもそれが、とても心地よくて。
……ただ、一緒にいるだけで、安心できて。
(少しだけ感情がこもる、でも静かに)
今は、もうそれができなくて。
だから余計に、この場所が好きなのかもしれません。
ここに座ると、まだ祖母がそこにいるような気がして。
(間)
……ごめんなさい、しんみりしてしまって。
(ふぅ、と息をつく)
でも……今夜は、あなたがいてくれて。
だから、大丈夫です。
ちゃんと、大丈夫。
(間)
ねえ、少しだけ、こちらに寄ってもいいですか。
……ありがとうございます。
(寄り添う気配)
こうしていると……温かいですね。
ふふ……。
(静かな笑い)
庭、きれいですよね。
月の光が、あの石畳の上に落ちて……白く光っているの、見えますか。
……そう、あれです。
昼間は何でもない石なのに、今夜はまるでお皿みたいに、月の光を受けて。
(小さく)
不思議ですよね。
同じものでも、光の当たり方で、こんなに違って見える。
……人もそうなのかもしれない。
うまくいっていない時は、自分がみすぼらしく見えてしまっても……
ちゃんと、光が当たれば、ちゃんと輝けるんだって。
(間)
……私、そう思うことにしているんです。
あなたのことも、そう思っています。
今日、疲れていても、うまくいかないことがあっても。
あなたはちゃんと、輝いているから。
……ちゃんと見えていますよ、私には。
(風鈴、虫の声)
---
■ クロージング
(声がより柔らかく、ゆっくりと、完全な囁きへ移行していく)
……少し、風が止みましたね。
(囁き)
静かになってきた……。
虫の声だけが、ゆっくりと続いて……。
……ころころ、ころころ……。
(少し間)
眠くなってきましたか。
……いいんですよ。
ここで、このまま……目を閉じていてください。
私、ここにいますから。
(完全な囁き、ゆっくりとしたリズムで)
今夜は、何も考えなくていいですよ。
明日のことも……昨日のことも。
ただ……この声だけを、聞いていてください。
……風の音……。
虫の声……。
お月様の光が、庭に静かに、落ちていて……。
(ゆっくり)
あなたは今、とても安全な場所にいます。
温かくて……静かで……。
何も怖くない……。
(間)
……ここでは、頑張らなくていいですよ。
疲れたままで、いいんです。
そのまま、ゆっくりと……。
(少し間)
……息を吸って……。
……ゆっくり、吐いて……。
……もう一度……。
すう……っと吸って……。
……はあ……っと、そっと、吐いて……。
(間)
……ふふ……。
上手ですよ……。
そのまま……。
(ゆっくり、さらに声を落として)
あなたのこと……ちゃんと、見ていますから。
一生懸命なこと……知っていますよ。
誰も気づかなくても……私には、ちゃんとわかっているから。
……だから、今夜だけは……。
全部、おろしてしまっていいんです。
重いもの……全部……。
ここに、置いていってください……。
(間)
……月が……ゆっくりと……動いていますよ……。
雲が……流れて……。
お月様が……少しだけ顔を出して……。
……きれい……。
(ため息のように)
……ほんとうに……きれいな夜……。
あなたと一緒に見られて……よかった……。
(ゆっくりと、絶え絶えに囁く)
……目を……閉じていてください……。
まぶたが……重くなってきたでしょう……。
……そのまま……。
逆らわなくていいですよ……。
眠気に……そっと……身を委ねて……。
(長い間)
……コオロギが……鳴いている……。
ころころ……ころころ……。
……風鈴が……ひとつ……。
……静かに……。
(ほとんど息のような声で)
……私は……ここにいますから……。
ずっと……そばにいますから……。
……安心して……。
……ゆっくり……眠って……。
……おやすみなさい……。
(間)
……おやすみ……。
(虫の声だけが静かに続く)
---
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
縁側の月明かり、あなたと過ごす静かな夜
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
ねむりはり
ライター情報
はじめまして
趣味でただ私が聞きたいフリー台本を書き投稿しているオタクです。
「こういう台本が欲しかった」
「よかった」
と思ってもらえる作品を書けるように頑張っています。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

◇フリー台本に関して
詳細な言葉遣いや言い回し、台本内のセリフの順番など、読みやすいように改変していただいて構いません。
性別変更及び、大元の流れが変わらない範囲でのアドリブ等も可能です。

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