【【】の中は注釈などです、読みません】
【キャラクター：コミュ障の女の子(10代後半ぐらいのイメージです)。暗めのキャラクターですが、声は少し高めのイメージです】
【シチュエーション：すべて病室(もしくは病院内)での出来事で、両親を殺した女の子から先生(視聴者)が話を聞いているシチュエーションで考えています。女の子の台詞は現実と妄想が混ざってる感じです】

【場面①】

あれっ……そうだ埋めなきゃ……。あっ。
こっ……！こんばんは！
あのっ、す、すみません。大きな声を、出してしまって！　ああ……すみませんすみません。こんな夜遅くに。
えっと、その。き、奇遇(きぐう)ですね！
あなたも人殺しですか？
は、はい！　私もです！　あっ……またすみません。し、静かにしなきゃいけないですよね。ご近所さんに迷惑ですから。って言っても、この部屋には私しかいないんですけど。えへへ……。
今日はなんだか暖かくて、気持ちが良かったので。月も綺麗ですし、眺(なが)めてたらつい殺したくなって……。
ち、違います！　か、彼氏なんかじゃないですよ！　違います違います！　彼氏なんてできたこと……。あっ、いえ！　な、なんでもないです……。
それにしても、すごく綺麗に殺されてますね。まるで人形みたい。も、もしかして……プロの方ですか……？　あっ、趣味で。じゃあ私と一緒ですね、えへへ。
殺しても良いですか？
すっ、すみません！　同じ趣味の人とこんな風に会うなんて、その、初めてで！　つい本音が！　し、失礼ですよね！　初めてあった人に、こんなこと言うなんて！
えっ、あなたも私を……？
いや、その……。嬉しいです……。えへへ……。でも、あの、さっきも言いましたけどこういうこと初めてで……。
だからその！　お、お友達から始めませんか！　もし良ければですが！
あっ、ありがとうございます！　えへへ……。それじゃあ、今日からよろしくお願いします。

【場面②】

お、遅れてすみません！　すみません！
服とかどうしよっかなって迷っちゃって、って言っても、あんまりバリエーションはないんですけど。あの、すみません……。それで気づいたらこんな夜中に……。せっかくお誘いいただいたのに、ほんとその……。
すっ、すみません。すみません。謝ってばっかりで……。
ゆ、許してくれるんですか？
えへへ……ありがとうございます。それでその、今日はどこに……？
あっ、映画ですか！
【ぎこちなく】わ、わぁ！　お友達と映画なんて嬉しいなぁ！　嬉しいなぁ！
いっ、いえいえ！　無理なんかしてないです！　大好きですよ、映画！
い、いえ……映画はほんとに好きなんですが……。人混みがちょっと苦手で……。いつもはマイナーな邦画とかを……。
いえいえ！　気にしないで下さい！　見たい映画があるなら、それで！
ど、どちらかと言えばこっちの方が見たいですが……人気もなさそうですし。い、いいんですか……？　えへへ、ありがとうございます……。
え、映画館で殺したりしないですよ！　汚しちゃったら掃除の人が大変じゃないですか！
ああでも、良(い)い映画だと余韻(よいん)に浸(ひた)りながら……。帰り道に……っていうのはありますけど。えへへ……。
あっ、はい！　ポップコーンも食べます食べます。ひっ、1人でも食べてます……。恥ずかしながら……。
いえいえここは私が！　私が作りますので！
な、何(なに)から何(なに)まですみません……じゃなくて。あ、ありがとうございます……。

【場面③】

こ、こんにちは！
今日はその、どこに行きましょうか？
あっ、良(い)いですね。あの公園、ハトさんにエサがあげられるんですよ。ぽっぽー、ぽっぽーって。エサを貰うとハトさんが寄ってきて、可愛いんです。あと人もぜんぜんいなくて、いっつも私1人で。
は、はい！　動物好きです！
いえその、動物から入ったわけじゃなくて。私は最初から人を。動物は好きなんですけど、なんか違うんですよね。可愛い、っていう感情しかなくて。
えっ、初めてですか？　あはは……。なんだか照(て)れくさいんですが……その……。
最初は母でした。とっても大好きなお母さん。お母さんも私が大好きで……。
首をね、ぎゅーっと締(し)めるんですよ。ああいえ、私が母の……じゃなくて。母が私の首を。ぎゅーっと締(し)めながら「愛してる」って、よく言ってました。
だからあの日、私も締め返したんです。お母さんのことが大好きだったから。月がすっごく明るくて、母の首筋がよく見えました。綺麗だったなぁ。
それを見てたら、いつの間にか。その後、横で寝ていた父も絞め殺しました。私と2人は嫌かなって思って。
えっ？　はい、そうです。お母さんから殺して、次にお父さんを……。あれ？　逆だったっけなぁ。
ってなんだか、自白(じはく)してるみたいですね。あはは。
えっ？　ああ、父は抵抗しませんでした。起きてた……と思いますよ。でも父は、あんまり私のことが好きじゃなかったんだと思います。
その後、ここに運ばれてきました。そうですよね？　あれっ……？　ここどこ……？　あっ、そうです！　公園でした！　すみません、すみません。
……あなたはちゃんと私を殺してくれますよね？　なんて、えへへ……。期待してます、ふふ……。
はい。私もあなたのことが……大好きですよ。今すぐ殺したいぐらいに。

【場面④】

こんばん……は！　今日はどうしますか？
……そろそろ、というのはつまりその。
あ、あの！　私を！　殺していただけるということでしょうか！？
【涙声】あっ……。すみません、すみません。嬉しくて、その。だ、大丈夫です。ちゃんと、私もあなたを殺しますから。だって私も、あなたのことが大好きで……。だからその……。すみません、すみません。嬉しくて、ほんと。
え、ええ！　なんでも言って下さい！　あなたが私を殺せるように、私も精一杯がんばりますから！

ここは……？　えっと、ここは私の部屋です。
ああいえ、違います。そうです。ここは病室で、私は。あれ？
アレはお月さまです。ずっと私を照らしてくれてるんですよ。あの日からずっと。
あなたも知ってますよね？　先生。
ああ、すみません。間違えました。あなたは私の好きな人で、私はあなたの好きな人で……。私が死体を埋めてる時に、あなたと出会って……。
あの時の死体、どこに埋めました？
お父さんじゃないです。お母さんです。お母さんだけ、まだ見つかってないんですよ。私も探してます。
いえ、確かに殺しました。だって殺されそうだったから。そう言いましたよね、先生。
先生、先生、早く私を殺してください。お願いします。私のことが好きなら、殺してください。先生。お願いします、先生！　せんせっ――。

【場面⑤】

あれ……ここ……。あっ、そうだ埋めなきゃ……。あっ。
こっ……！こんばんは！
あのっ、す、すみません。大きな声を、出してしまって！ああ……すみませんすみません。こんな夜遅くに。
えっと、その。き、奇遇(きぐう)ですね！
あなたも人殺しですか？

・台本（ゆるボイ！）
病室(仮)
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・台本制作者
さめたろ