(着信音)
『もしもし、私メリーさん。私いま駅の前にいるの』
　
(着信音)
『もしもし、私メリーさん。私いま大通りにいるの』
　
(着信音)
『もしもし、私メリーさん。私いま公園の前にいるの』
　
(着信音)
『もしもし、私メリーさん。私いま家の前にいるの』
　
(着信音)
『もしもし、私メリーさん。私いま…』
　
………
(布が擦れる音)
　
(耳ふー)
　
(囁き)
「あなたの後ろにいるの…♪」
　
「えへへ、来ちゃった〜」
　
「何回やってもビクってするよね、きみ。そろそろ慣れてもおかしくないかなぁって思ってるんだけど…」
　
「単純に君が驚きやすいのか、それとも…」
　
(囁き)
「お耳が弱いのかな？」
　
「そんなにお耳真っ赤にしちゃってぇ、可愛いなぁもう♪」
　
「え？私の恥ずかしい黒歴史のはなしをするぞって？」
　
「私に黒歴史なんてないもーん。私は無敵なんですー」
　
「なになに？最初に電話かけはじめた時、家の方向とは真逆に進んでて最終的に泣きついて案内頼んだのはどこの誰だったかって？」
　
「ダ、ダレカナー、ソンナ恥ズカシイコトシテタノ…」
　
「ううっ…そうですはい私です…」

「し、仕方ないじゃない！この辺り道が複雑なんだもん！」
　
「スマホのナビがあるだろって…彼氏くん知ってるでしょ？私が電話かけること以外まったくスマホ使いこなせてない機械音痴だって…」
　
「おまけに地図も読めないしなって、そうだけどぉ…」
　
「うえーん…彼氏くんがいじめてくるよぉ…ちらっ？」
　
「もうちょっと優しくしてよぉ…ちらちらっ？」
　
「嘘泣きはやめろ？…ちぇー、つれないのー」
　
「ばーかばーか、彼氏くんのばーか」
　
「なによ…え？そういうおっちょこちょいなとこもかわいくて好きなんだけどって…」
　
「お、おっちょこちょい言うなっ！」
　
「でも…かわいいって言ってくれるのは嬉しい…あ、ありがと…」
　
「うー…なんか君の手のひらの上って感じがして悔しい…」
　
「そんなつもりはない？君がそういう人じゃないのはわかってるけどさぁ」
　
「こうなんか、私ばっかり一喜一憂してる気がするんだもん」
　
(小声で)
「なにかないかなぁ君の弱点…あっ、いいこと思いついちゃった」
　
「なんでもないよー。それより彼氏くん、電話かけるからスマホ耳に当ててね？」
　
「うん、そうしててね〜…」
　
(囁き)
「彼氏くん、大好きだよ？」
　
「彼氏くん顔真っ赤っかだよ？えへへ、仕返し大成功〜」
　
「私がメリーさんだからって油断したでしょ？私の作戦勝ちだね！」
　
「でも…その…仕返ししたくてやったのもあるけどさ…だ、大好きっていうのはホントのことだから…」
　
「キミも？…えへへ」
　
「彼氏くん、大好き。だーいすき」

・台本（ゆるボイ！）
もしもし、私メリーさん。私いま彼氏くんと一緒にいるの♪
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シス=リリシア