霊感のないあなたと座敷童子のお話。

おかえりなさい、お兄さん。

と言ってもお兄さんには聞こえてませんよね。

霊感がここまでない人も珍しいです。

お兄さんがこの部屋に引っ越してきてはや三年・・・

この部屋に引っ越してきた時とは別人のような顔つきになりましたねぇ。

あの時はこの世の終わりみたいな顔をしていたのに、ふふふっ。

でもお兄さんは世界一幸運な人。

座敷童子である私が住む部屋に越して来ることができたのですから・・・

最初は情のようなもので少しでも幸運を、と思っていましたが、

一つのことで一喜一憂するお兄さんの顔がとても可愛らしくて、愛おしくて・・・

気付いたらもっとお兄さんの色んな顔を見たくなって・・・

えへ、えへへへへ・・・

そんなお兄さんを見られるのはこの部屋にいる私だけ・・・

もっと、もーっと色んな表情を見せてね、お兄さん。

（少しの間）

おかえりなさい、お兄さ、ん？

誰ですか、お兄さん、その女は・・・？

まさか、彼女、ですか？

なんですか、その幸せそうな顔は。やめて、やめて・・・

その女でそんな幸せそうな顔をしないでっ！

お兄さんを幸せにできるのは私だけ、私だけなの！

あぁ、私のお兄さんにそんなにベタベタしないで・・・

汚れちゃう、私のお兄さんが汚れちゃう・・・

お兄さんもいつまでそんなデレデレしてるんですか。

認めない、認めない認めないっ。

・・・まぁ、いいです。折角です。彼女にも幸運を与えてあげましょう。

ふふふっ。

（少しの間）

おかえりなさい、お兄さん。

あら、今日は彼女さんはいないんですね。

・・・なにやら独り言を言っていますね。

・・・どうやら、破局したようですね。

お兄さんよりも好きな人ができた、と。

ふふふっ、だから言ったじゃないですかお兄さん。

お兄さんを幸せにできるのは私だけだって。

あの女にとってお兄さんと過ごすことは本当の幸せじゃなかったんですよ。

早めにわかって幸運でしたね、お兄さん。

でも元彼女さんも良かったですね、幸せそうで、あは、あはははははっ！

あぁ、そんな悲しそうな顔をしないで、お兄さん。

私があなたを幸せにしますから。

あんな女と違って私は一生お兄さんの傍にいますよ・・・

お兄さんの寿命が尽きるその日まで・・・

この部屋でずーっと過ごしましょうね、お兄さん、ふふふふっ。

・台本（ゆるボイ！）
ヤンデレ座敷童子の幸福論
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゆりらんたん