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世話焼きな女の子が俺の力を奪って魔女となった
written by 松平蒼太郎
  • 告白
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  • 少女
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  • 世話焼き
公開日2021年11月16日 05:53 更新日2021年11月16日 05:53
文字数
2790文字(約 9分18秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
少女
視聴者役柄
魔法使い
場所
少女の家
本編
あ、魔法使いさん!

今日も来てくれたんですね!

はい!どうぞ、こちらに!

すぐお茶をお出ししますね!



ど、どうでしょうか…?

わぁ…!よかったぁ…!

魔法使いさんのお口に合ってよかったです♪

え、えへへ♪そんなに褒めても何も出ませんよ♪

あ、はい!もちろんです!

書斎、ご自由に使っていただいて構いません!

どうぞ、ごゆっくり!



(ノック)

失礼しまーす…あれ、寝てる…

毛布かけてあげよ…よいしょっと…

それにしても…いつもはキリッとしてるのに、寝てるときは可愛いなぁ…

こんな寝顔見てると、この人が世界最強の魔法使いだなんて信じられない…

また旅に出るのかなぁ…

ずっとここにいてくれればいいのに…

そういえば、魔法使いさんはいつもどんな本読んでるんだろ…

う〜…全然読めない。なんて書いてあるの、これ…

あっ…なんだ、ちょっと動いただけか。

これ以上長居してると起きそうだし、この辺で失礼しよ…

お邪魔しました〜…



おはようございます、魔法使いさん。

朝食どうぞ!腕によりをかけて作りました!

あ、本当ですか⁉︎

お茶だけじゃなくって、ご飯も喜んでもらえてよかったです!

いえいえ、そんな!負担だなんて全然思いません!

わたしは魔法使いさんがうちに来てくれるだけで嬉しいですから!

はい、そうです!だから遠慮することなんか全くありません!

あ、おかわりもありますよ。いります?

そうですか。わかりました。

では、食器は下げさせていただきますね。

魔法使いさん、今日のご予定は?

ちょっと遠出してくる?

えっと、次に帰ってくるのはいつぐらいになりそうですか?

一か月後……わかりました!どうかお気をつけて!



ふぅ…魔法使いさんが帰ってくるまで、書斎の掃除をしとかないと…

元々はパパの書斎なんだけど…魔法使いさんが使ってくれてよかった。

パパが亡くなってからは、誰も使う人がいなくなっちゃってどうしようかと思ってたけど…

ここに魔法使いさんのお気に入りの本でもあるのかな?

魔法の研究?みたいなことはしてるって言ってたけど…

パパ、魔法に興味なんてあったかなぁ…?

ま、いいや。とにかく掃除掃除っと。



ん?あれ、なんだろ、これ…

魔法使いさんの忘れ物かな?

書斎の本じゃないっぽい………え、何これ…

魔法使いさんが旅してる理由ってもしかして…

や、やだ…こんなの認めたくない…

だって…魔法使いさんは絶対ここに帰ってきてくれるって…!

助けなきゃ…わたしが魔法使いさんを…!



おかえりなさい、魔法使いさん!

長旅お疲れ様でした!

あ、マント預かりますよ!

お風呂も沸いてますから、ゆっくり浸かってきてください!



魔法使いさん、お茶です。どうぞ。

相変わらず美味しい?

ふふっ、ありがとうございます♪

あ、そういえば魔法使いさん。

これ、魔法使いさんの物じゃないですか?

あ、いえ。中身は見ていません。

魔法使いさんの物だと思って、大事に保管してました。

いえ!当然のことをしたまでですので、気になさらないでください!

そういえば、前から気になってたんですけど…

魔法使いさんが旅をしてる理由ってなんなんですか?

えー、ちょっとでいいから教えてくださいよぉ。

気になるじゃないですかぁ。

へー…やっぱりそうだったんですね。

えぇ。やっぱり、ですよ。

あ、眠くなってきました?

ふふっ、別に大したことはしてません。

眠り薬をお茶にほんの少し混ぜただけです。

長旅で疲れたでしょうから、ゆっくり寝ていてください♪



あ、お目覚めですか?

ちょうどいいタイミングのおはようですね。

これからちょうど儀式を始めようとしていたところなんです。

はい、儀式です。

魔法使いさんが魔法使いさんじゃなくなるための、ね。

あ、分かっちゃいました?

流石、魔法使いさんです。

そうです。この術式、魔法使いさんの魔力を奪い取るためのものです。

魔力を失ってしまえば、魔法使いさんはただの人間になりますよね?

はい。魔法使いさんの魔力は全部わたしがいただきます。

この術式で、わたしに魔法使いさんの魔力を流し込みます。

そんなことしたらお前の体がタダじゃ済まないって?

知ってますよ、そんなこと。調べましたから。

けど…これでいいんです。

魔法使いさんを救えるならそれで。

はい、さっきは嘘をついてすみませんでした。

魔法使いさんの持ってた手帳の中身、見ちゃいました。

魔法使いさんの本当の目的は…最愛の人の封印を解くこと、なんですよね?

各地を旅してたのも、わたしの父の書斎で魔法を研究していたのも、すべてその女の人を救うためなんですよね?

そして魔法使いさんはその封印を解く方法を見つけた。それもつい最近。

自分の命と引き換えに封印の鍵を解き、女の人を完全な状態で解放する。

ただし、封印を解かれた女の人は、魔法使いさんのことを忘れてしまう…そうですよね?

なんでそんな悲しいことしようとするんですか…

わたしは嫌です。魔法使いさんがいなくなるなんて。

それしか方法がないからって…

そう、ですよね。魔法使いさんならそう言うと思ってました。

だから魔法使いさんから奪ってあげるんです。

魔法使いさんのアイデンティティである魔法そのものを。

わたしにとって大事なのは、見知らぬ女よりも魔法使いさんですから。

ふふ、心配しなくても大丈夫ですよ。

わたしも…大魔導師である父の血を引いてますから。

父も娘のわたしには上手いこと隠してたみたいですけど。

お話はこれくらいにして…儀式、始めましょうか。



はぁはぁ…死ぬかと思いましたけど、なんとか成功しました…

魔法使いさん…わたし、やりましたよ…

そんな顔しないでください…

魔法使いさんは魔法使いさんじゃなくなりましたけど…

これで自分の身を賭けるなんてこと、しなくてよくなりましたよね?

まぁ正確にはできなくなった、の方が正しいですけど。

ふふふ…あははっ!

これが…この全身に溢れる力が魔力ってやつなんですね…!

すごい…!今ならなんでも出来そうな気がする…!

ん?……あぁ、これが魔女の刻印ってやつですか…

決めました。わたし、魔法使いさんを守る魔女になります。

安心してください。魔法使いさんの最愛の人も解放してあげますから。

もっともわたしの駒として、ですけど。

はい。魔法使いさんにはわたしを一番に見てほしいですから。

だから勘違いはしないでくださいね?

その女を解放するのは、一方的に魔法使いさんの魔力を奪った贖罪(しょくざい)みたいなものですから。

あくまでわたしの温情、ということを忘れないでください。

もし、その女ばかり見るようなら、さっさと切って捨てますからね?

今のわたしにはそれだけの力があるんですから。

魔法使いさん…いいえ、元魔法使いさん。

わたしは貴方のことがずっと前から好きでした。

わたしの淹れるお茶を美味しいと言ってくれた顔も、魔法の研究で疲れて寝ていた顔も、全部好きでした。

その優しさをこれからもわたしに向け続けてください。

力関係は逆転しちゃいましたけど…わたしの貴方への愛は変わりませんから。

わたしも貴方のことを守り続けます。

貴方からもらったこの力で。

ずっと、ずーっと一緒に居ましょうね…

うふふ…あははっ…!
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
世話焼きな女の子が俺の力を奪って魔女となった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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