紙飛行機を飛ばしにマンションの屋上に出た。すると、不思議なお姉さんがそこにはいて・・・

ん？

どうしたの、君

マンションの屋上は立ち入り禁止だよ

特に君みたいな子供は、ね

アタシ？

アタシはいいの、大人だから

ほら、子供は危ないから帰った帰った

・・・帰らないの？

（深い溜息）

まあいいか

おいで、ちょっとだけお姉さんとお話しよ

ちょっとだけ、ね


（少し間を空ける）


君は何で屋上に来たの？

それは、紙飛行機？

あー、懐かしいなあ

アタシも小さい頃はよく作ったっけ

よく飛ぶ紙飛行機が出来たからそれを屋上から飛ばしてみたくなった、ってところかな

なるほどねえ

でも、ひとりでこんなところに来ちゃダメ

もし君がケガをしたら、お父さんやお母さんが泣いちゃうよ？

それに、落ちたらきっとすごく痛い

君も痛いのは、嫌でしょ？

うん、そうだよね

じゃあお姉さんと約束

絶対に僕ひとりで屋上に行きませんって

よし、素直で良い子だね


ん、何？

「アタシが屋上にいた理由が知りたい？」

あー・・・

そうだなぁ

うーん

君と一緒

私も紙飛行機を飛ばしに来たの

でも、君が来るちょっと前に飛ばしちゃった

ごめんね

「どれくらい飛んだ」？

えーっと

私のは、すぐ落ちちゃったよ

風に吹かれて、ひゅーっとね

折り方が悪かったのかなあ


ん？紙飛行機の折り方教えてくれるの？

でもアタシ今そんな紙なんて・・・

あぁいや、一枚だけ持ってた

それじゃあ、教えてくれる？

あとね、お姉さんすっごく不器用だから

優しく教えてくれると嬉しいな


（少し間を空ける）


おぉ出来た出来た

これがよく飛ぶ紙飛行機なの？

へえ、すごいね

じゃあ、一緒に飛ばしてみよっか

どっちが長く飛べるか競争

行くよ？

せーの！

おぉ・・・

全然落ちないや

風に乗って、どこまでも飛んでいきそう

不思議だなあ・・・

なんでだろうね

君が教えてくれた折り方すごいのかな？

それとも教え方の上手な君がすごいのかな？

え、アタシ？

アタシは別に何にも・・・

まぁ、素直に受け取っておくよ

まさかこの年になって、子供に褒められるなんてね


ごめん、ちょっと嫌な匂いするかも

鼻つまんでおきな

そう、これは煙草

君みたいな子供が吸っちゃいけない物

ま、大人になっても吸っちゃいけないんだけどね・・・

（煙草を吸うような演技　吸って吐く）

「美味しいか」だって？

うーん、秘密

君のお母さんが作るご飯に比べたらすっごくまずいだろうけどね

でも、アタシは吸う

なんでか知りたい？

じゃあ教えてあげる

君も、頑張ったときや疲れた時には美味しいものや甘いものが食べたくなるでしょ？

それと一緒

アタシは、すごく頑張って疲れたから

それのご褒美

（煙草を吸うような演技　吸って吐く)


さ、子供はもうお家に帰る時間だよ

帰った帰った

お母さんやお父さんが心配してるよ

アタシは、もうちょっとだけここにいよっかな

煙草がまだ残ってるから

・・・あのさ

帰る前に、お姉さんともう一個だけ、約束してくれるかな

えっと、さ

また、紙飛行機の折り方教えてくれる？

君、とっても教え方が上手だったから

また教わりたいな

それにお姉さん、忘れっぽいから


そっか、ありがとうね

じゃあ、気を付けて帰るんだよ

またね

[小声で]
/*
・・・ありがとう

・台本（ゆるボイ！）
マンションの屋上に出たら不思議なお姉さんに出会った少年のお話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
羽衣ロロモン