学校内でかなり名の知られている不良少女と僕はコッソリ交際をしている。放課後の呼び出しを食らった日、誰にも見られないよういつもの場所に向かうと、辺りを警戒しながら僕を待つ彼女が立っていた。

[出しやすい声も低音ボイス演技もおすすめ]
[『私』の読みは「わたし」「あたし」のどちらでも可]

おい、こっちだこっち

誰にも見られてないだろうな

…...よし

[一安心　胸を撫で下ろす安堵の溜息]
ふぅ

いつもすまないな

本当だったら、ちゃんとした場所で会いたいんだが......

私と一緒にいるせいで、

お前に変な噂が立つのは嫌だからな

「カツアゲ」だとか「いじめ」だとかさ

そんなことするわけねぇってのによ......まったく


[決め台詞っぽく]
最強の不良少女！

売られた喧嘩は必ず買う！

邪魔するやつは全員倒す！

[呆れた感じの声で]
あーあ......

誰が最初に言い出したんだろうな、これ

確かに、私はヤンキーだよ

学校は平気でサボるし、喧嘩もする

でも、無闇に誰かを怖がらせたり傷つけたりはしない

カツアゲなんてしたことないし

いじめは大嫌いだ


前に、お前は「噂されてもいい」って言ってくれたけど

お前が良くても、私が嫌なんだ

だから、その、

ごめんな

私のわがままを聞いてもらって......


[先ほどまでと打って変わって明るい声]
よし、暗い話はこれでおしまいだ！

せっかくお前と一緒に過ごせるんだ

楽しくいかないとな！

[楽しそうに]
さっきコンビニでさ、これ買ってきたんだ

じゃじゃーん！

イチゴとホイップクリームのフルーツサンド

おまえの分も買ってきたから一緒に食べようぜ！

それじゃあ、いただきまーす

はむっ......

んー！　美味しい！

イチゴとクリームの相性が最高！

値段の割にボリュームもあるから大満足！


…...ん？

おい、お前

ほっぺのここ、クリームついてるぞ

そっちじゃない、反対側

そうそう、それでもうちょっと下に......

ああもう


[ややマイクとの距離を近く]
動くなよ

ほれ、とれた

意外と鈍感だよな、お前


ん？　なんだ、こっち見て

今日？

いや、今日学校に来たのはたまたまだ

それに、受けたのは午後の授業だけだし

朝はだるくて学校なんか行く気にならねぇよ

私が学校サボってるのはいつものことだろ

今更なんとも...

「委員長が心配してた」だと？

あの女......どこまでいい子ちゃんなんだよ

へいへい、心配かけてすみませんでしたー

あー…...ちょうどいいか

なあ、お前に訊きたいことがあるんだけど

いいか？


今日の昼休みお前の教室を見に行ったんだ

そしたらさお前、その委員長と話をしてただろ

その時のお前の顔がすごく楽しそうでさ

柄にもなく、モヤモヤしてさ......

「私みたいな女より、やっぱり......」とか

「実は別れたいんじゃないか......」とか色々考えちゃって......


だから！

お前の本当の気持ちが知りたい

私のことが好きなのは本当か？

私よりあの女の方が好きなのか？

私に不満があるなら言ってほしい

お前の言うことなら何でも聞くから

だから、教えてくれ......


えっ

好き？

大好き？

こんな私のことが？

本当か？

…...ありがとう

いやいや、まだ私は信じないぞ！

そんな甘い言葉では騙されない！

…...信じてほしい？


だったら私の言うことをひとつ聞いてくれ......るか？

わかった、じゃあ......

ん

…...ん！

だーかーらー！

あぁもう本当に鈍感だなお前！

手だよ手！

一緒に手を繋いで帰ろうって言ってるんだよ！

私だって、恋人らしいこと一杯したいの！

だから、ほら、手を出せ！


あっ......

ふふっ

お前の手、思ってたより大きいんだな

私の手を簡単に包み込んじゃうくらい

暖かくてすごく落ち着く......

よし！　帰るぞ！

私の家に着くまで手は繋いだまんまな

当たり前だろ

何があっても離してやらないからな！

…...大好きだよ

・台本（ゆるボイ！）
不良少女と過ごす甘い放課後の時間
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
羽衣ロロモン