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公開日2021年11月22日 10:59
更新日2021年11月22日 10:59
文字数
2263文字(約 7分33秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
家臣/クノイチ
視聴者役柄
一国一城の主
場所
お屋敷
本編
…報告は以上になります。
はっ。引き続き、東国境付近の情勢は監視を続けます。
…?はい、なんなりとお尋ねください。
はっ…?
先代から仕えてるわたしから見て、今の御館(おやかた)様はどのようであるか、ですか…?
そうですね…たしかに、先代と比べると今ひとつ、頼りない部分があるのは否定しようがございません。
しかし、御館様には御館様にしかない強み、というものがございます。
はっ。先代が優れた統率力で軍団を率いていたのに対し、御館様はその温厚なお人柄で内政を充実させております。
はい。国内の税を安くして物資を流通させやすくするなどの政策のおかげで、民の暮らしはより豊かになっております。
以前偵察に行った隣国の民も口々に「あちらの国に移住したい」とボヤいておりました。
はっ。すべて紛れもない事実にございます。
はっ?お酒、ですか?
いえ…たしかに任務はひと通り終えましたが、また次の任務が控えていますので…
…承知しました。ではお隣、失礼致します。
お酒、お注ぎいたしますね…どうぞ。
はっ。ありがたきお言葉。
御館様…?もしかして酔っておいでですか?
左様でございますか…
しかし、あまり呑みすぎるとお体に差し障ります。
どうかご自愛ください。
いえ、そのようなことは…
わたしは御館様の家臣として、当然のことをしたまでですので。
む、昔のように、ですか?
承知いたしました。
では今よりこの場だけ、若と呼ばせていただきます。
た、態度も?分かりました…
若。あまりお酒を呑みすぎるものではありません。
日々、節制倹約に励んでいたお父上を見習ってください。
ふふ…懐かしいですね。
昔はこうして小言を言って、御館様の教育係を務めていたものです。
いえ。今や御館様は一国の主ですので、そのようなことは言えません。
あぁ、失礼しました。今は若、でしたね。
そうです、若。
昔で思い出したのですが、最近耳掃除はされていますか?
少しお耳を拝借いたします。
ふむ…これはできていませんね。
というか、やってもらってすらいないでしょう。
昔からあれほど口酸っぱく、耳垢は溜めないようにと言っていましたのに…
耳掃除されるのが苦手なのは相変わらずのようですね。
では、これからわたしが耳掃除をして差し上げます。
いいえ、なりません。
耳垢のせいで、家臣の諫言(かんげん)を聞き逃すことは許しません。
さ、わたしの膝に頭を乗せてください。
ご心配なさらず。
若のお耳を傷つけないよう、丁寧にやっていきますので。
動くと危ないので、じっとしていてください。
それでは参ります。
(耳かき)
若、耳掃除は怖いものではございません。
本来は耳の中の汚れをとるのみならず、精神を癒やす効果もございますので。
まったく…一国の主が耳掃除を恐れていてどうするのですか。
それでは家臣や民に示しがつきませんよ。
はい。分かればよろしいのです。
む……これは大きい、ですね…
これから大物を取りますので、そのままでいてくださいね…
はい、取れました。
大まかに汚れを落とした後は、こちらの梵天で細かい汚れを落としていきます。
(梵天)
くすぐったい?我慢してください。
若はお耳が滅法弱いんですから…
はい、それでは最後の仕上げに、耳に息を吹きかけますね。失礼致します…
(耳ふー)
片耳はこれで終了です。
さ、それでは反対を向いてください。
なりません。反対も汚れているに決まっていますので。
早くしないと、わたしが強制的に若の頭の向きを変えることになりますが、よろしいでしょうか?
はい、よくできました。
それでは早速始めていきますね。
(耳かき)
やはり思った通りです。
こちらも耳掃除をサボった跡が見受けられます。
口撃(こうげき)が容赦がなさすぎるって…
二人きりの時くらい、昔の態度で接してくれと頼んだのは若の方でしょう?
耳掃除までされるとは思わなかったって…
いえ、こういう機会でもないと、若のお耳を綺麗にすることはできませんので。
ご自分でやられるか、奥方様にやってもらうというのであれば、わたしも何も言いませんが。
あぁ…左様でございましたか。
奥方様に棒を耳の奥まで突っ込まれて、危うく鼓膜を失いそうになったと…
それはいけませんね。
今度、奥方様にも耳掃除の心得をお教えしなくては…
よし…こちらはそこまでの大物はいませんでした。
このまま梵天に移りますね。
(梵天)
若…いい加減、梵天にも慣れてください。
どうやらこれは、この弱すぎるお耳を鍛える必要がありそうですね。
任務?心配ございません。
こちらに戻ってきた時に、わたしとの鍛錬の時間はとっていただきますので。
これも若が一国の主として成長するためです。
どうかお覚悟を。
…と、若に小言を言っているうちに終わってしまいましたね。
では、最後の仕上げ、いきますよ。
(耳ふー)
お疲れ様でした。
本日はこれ以上の飲酒はやめて、早急にお休みになってください。
…やめないようであれば、わたしがおそばで寝かしつけて差し上げますが?
はい。それではこれにて下がらせていただきます……若?
言ってるそばからお眠りになっていらっしゃる…
本当に仕方のない方ですね…
お布団に運んで、と……
ずいぶん軽い……これでは敵方の間者(かんじゃ)にあっさりさらわれてしまいます。
やはり当分は、わたしが若をお守りしなければ…
…よく成長されましたね、若。
調子に乗られても困るので、起きてる時には言いませんが……若は一国の主として立派になられました。
若…いいえ、御館様ならきっとこの国をもっと良くしていけると信じています。
今はしっかり英気を養って、また明日からご公務に励んでください。
わたしはまた遠国(おんごく)に任務で出かけますが…
どれだけ遠く離れていようと、心はいつも御館様と共にあります。
おやすみなさい、御館様。良い夢を…
はっ。引き続き、東国境付近の情勢は監視を続けます。
…?はい、なんなりとお尋ねください。
はっ…?
先代から仕えてるわたしから見て、今の御館(おやかた)様はどのようであるか、ですか…?
そうですね…たしかに、先代と比べると今ひとつ、頼りない部分があるのは否定しようがございません。
しかし、御館様には御館様にしかない強み、というものがございます。
はっ。先代が優れた統率力で軍団を率いていたのに対し、御館様はその温厚なお人柄で内政を充実させております。
はい。国内の税を安くして物資を流通させやすくするなどの政策のおかげで、民の暮らしはより豊かになっております。
以前偵察に行った隣国の民も口々に「あちらの国に移住したい」とボヤいておりました。
はっ。すべて紛れもない事実にございます。
はっ?お酒、ですか?
いえ…たしかに任務はひと通り終えましたが、また次の任務が控えていますので…
…承知しました。ではお隣、失礼致します。
お酒、お注ぎいたしますね…どうぞ。
はっ。ありがたきお言葉。
御館様…?もしかして酔っておいでですか?
左様でございますか…
しかし、あまり呑みすぎるとお体に差し障ります。
どうかご自愛ください。
いえ、そのようなことは…
わたしは御館様の家臣として、当然のことをしたまでですので。
む、昔のように、ですか?
承知いたしました。
では今よりこの場だけ、若と呼ばせていただきます。
た、態度も?分かりました…
若。あまりお酒を呑みすぎるものではありません。
日々、節制倹約に励んでいたお父上を見習ってください。
ふふ…懐かしいですね。
昔はこうして小言を言って、御館様の教育係を務めていたものです。
いえ。今や御館様は一国の主ですので、そのようなことは言えません。
あぁ、失礼しました。今は若、でしたね。
そうです、若。
昔で思い出したのですが、最近耳掃除はされていますか?
少しお耳を拝借いたします。
ふむ…これはできていませんね。
というか、やってもらってすらいないでしょう。
昔からあれほど口酸っぱく、耳垢は溜めないようにと言っていましたのに…
耳掃除されるのが苦手なのは相変わらずのようですね。
では、これからわたしが耳掃除をして差し上げます。
いいえ、なりません。
耳垢のせいで、家臣の諫言(かんげん)を聞き逃すことは許しません。
さ、わたしの膝に頭を乗せてください。
ご心配なさらず。
若のお耳を傷つけないよう、丁寧にやっていきますので。
動くと危ないので、じっとしていてください。
それでは参ります。
(耳かき)
若、耳掃除は怖いものではございません。
本来は耳の中の汚れをとるのみならず、精神を癒やす効果もございますので。
まったく…一国の主が耳掃除を恐れていてどうするのですか。
それでは家臣や民に示しがつきませんよ。
はい。分かればよろしいのです。
む……これは大きい、ですね…
これから大物を取りますので、そのままでいてくださいね…
はい、取れました。
大まかに汚れを落とした後は、こちらの梵天で細かい汚れを落としていきます。
(梵天)
くすぐったい?我慢してください。
若はお耳が滅法弱いんですから…
はい、それでは最後の仕上げに、耳に息を吹きかけますね。失礼致します…
(耳ふー)
片耳はこれで終了です。
さ、それでは反対を向いてください。
なりません。反対も汚れているに決まっていますので。
早くしないと、わたしが強制的に若の頭の向きを変えることになりますが、よろしいでしょうか?
はい、よくできました。
それでは早速始めていきますね。
(耳かき)
やはり思った通りです。
こちらも耳掃除をサボった跡が見受けられます。
口撃(こうげき)が容赦がなさすぎるって…
二人きりの時くらい、昔の態度で接してくれと頼んだのは若の方でしょう?
耳掃除までされるとは思わなかったって…
いえ、こういう機会でもないと、若のお耳を綺麗にすることはできませんので。
ご自分でやられるか、奥方様にやってもらうというのであれば、わたしも何も言いませんが。
あぁ…左様でございましたか。
奥方様に棒を耳の奥まで突っ込まれて、危うく鼓膜を失いそうになったと…
それはいけませんね。
今度、奥方様にも耳掃除の心得をお教えしなくては…
よし…こちらはそこまでの大物はいませんでした。
このまま梵天に移りますね。
(梵天)
若…いい加減、梵天にも慣れてください。
どうやらこれは、この弱すぎるお耳を鍛える必要がありそうですね。
任務?心配ございません。
こちらに戻ってきた時に、わたしとの鍛錬の時間はとっていただきますので。
これも若が一国の主として成長するためです。
どうかお覚悟を。
…と、若に小言を言っているうちに終わってしまいましたね。
では、最後の仕上げ、いきますよ。
(耳ふー)
お疲れ様でした。
本日はこれ以上の飲酒はやめて、早急にお休みになってください。
…やめないようであれば、わたしがおそばで寝かしつけて差し上げますが?
はい。それではこれにて下がらせていただきます……若?
言ってるそばからお眠りになっていらっしゃる…
本当に仕方のない方ですね…
お布団に運んで、と……
ずいぶん軽い……これでは敵方の間者(かんじゃ)にあっさりさらわれてしまいます。
やはり当分は、わたしが若をお守りしなければ…
…よく成長されましたね、若。
調子に乗られても困るので、起きてる時には言いませんが……若は一国の主として立派になられました。
若…いいえ、御館様ならきっとこの国をもっと良くしていけると信じています。
今はしっかり英気を養って、また明日からご公務に励んでください。
わたしはまた遠国(おんごく)に任務で出かけますが…
どれだけ遠く離れていようと、心はいつも御館様と共にあります。
おやすみなさい、御館様。良い夢を…
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