ー設定ー

とても仲の良いカップルだったあなたと彼女。
ある日、前々から計画していたあなたの誕生日記念のデートを、直前でキャンセルされてしまう。
もっともな理由があったため了承した。
しかし当日、少し残念な気持ちを胸に秘めたまま外へ出かけると、偶然知らない男と楽しそうに歩いている彼女を見つけてしまい・・・

ガチャッ(扉が開く音)


おー、おかえりー。
丁度良かった、お腹すいたからなんか作ってー。


『疲れてるからもう少し待って』って？
えー、だるー・・・
そんな疲れるほどの仕事したの？


『あさってのデートのために張り切った』・・・
あー・・・それなんだけどさ。
その日私予定入っちゃったんだよね。
そう、前に言ってた講習会。


それがあさってになってさー。
いやぁ、ごめんね？また今度でもいい？
ん、ありがと。
やっぱ君は最高の彼氏だよ。


(小声で)


ふふっ、チョロいな。


ー２日後ー


(街中で)


確か待ち合わせ場所はここだからー・・・
あっ、いたいた。


おーい、こっちこっちー。
んふふ、おはよ。
じゃ、行こっか。


(しばらくして)


えー？ほんとにー？
それってみんなに言っちゃダメなやつじゃん笑
てかあの時の先輩やばかっ・・・た・・・


(言葉を失って)


あっ・・・


あっ・・・えっ・・・？なんっ・・・なんで、君がここに・・・


たまたま・・・そ、そうなんだ・・・


へっ！？『その人は誰』って・・・え、えぇっとぉ・・・
そ、そうそう！講習会で仲良くなった人だよ！
私と趣味が合うねーって、それで・・・


『浮気したのか』って・・・
違う！違う違う！
浮気なんてしてないよ！


ちょっ！ちょっと待って！
理由ちゃんと話すから！お願い！


(足音が遠のく)


あぁっ・・・あぁぁぁ・・・！
どうしよう・・・！


(その日の夜)


ガチャ・・・(扉が開く)


(恐る恐る)


た、ただいまー・・・
あれ、靴がない・・・まだ帰ってないのかな。


ん？でも電気が着いてる。


(リビングへ向かって)


あれ、この紙なんだろ・・・
これ、アイツの字だ・・・まさか・・・
いやいや、変な事考えるのはやめよ。
なになに・・・


(手紙の内容を読み上げて)


『まず一つだけ謝らせてください。
あなたにふさわしい彼氏になれなくてごめんなさい。
あなたが僕とのデートを断ったり、他の人と遊んだりしていたのは多分、僕があなたを満足に愛せていなくて、あなたにも愛してもらえるような男になれなかったからだと思います。』・・・


(徐々に泣き始めて)


『あなたと過ごした時間、触れ合った体温、喧嘩をした思い出さえ、全てが僕の大切な大切な宝物です。
次の恋にあなたが踏み出せるよう心から願っています。
もし、もし叶うならどうか・・・僕のことを少しでも覚えていてください。
それでは、お元気で。』・・・・・・・・


・・・・・・・


もう・・・ホントのことを伝える手段もなくなっちゃった。
アイツも・・・一生帰ってこないんだ・・・


うぅ・・・


ー１ヶ月後ー


(病院にて)


ガラガラ・・・(扉が開く)


(弱々しく)


あっ、ナースさん・・・って、君・・・！どうして・・・


・・・そっか。
友達から私が入院した事聞いたんだ。


・・・ごめん、こんな私の姿、君に見て欲しくなかった。


あの後、そう・・・君が出ていっちゃった１ヶ月前からね、ほとんど何も食べてないんだ。
というか、食べようと思ってもどうしても喉を通らないの。
だから栄養失調で倒れちゃった。


多分君がいなくなったことに心が耐えられなかったんだと思う。


(弱々しく笑いながら)


・・・おかしいよね。
君が出ていったのは私のせいなのに。


入院してる間ずっと考えてた。
君があの時、あの瞬間に負った心の傷の事とか・・・


私ね、ほんとに浮気なんてしてなかったんだよ？
確かに講習会に行くって嘘はついちゃったけど・・・
そういうやましい関係があったとかじゃなくて、その・・・


君への誕生日プレゼントを内緒で買おうとして、それで私の男友達を誘っただけなの。
誕生日の日のデートを断って、ちょっとがっかりしてるところにとびきりのサプライズを・・・っていう計画だった。


友達を呼んだのは、同じ男の子なら喜ぶプレゼントが何かとか分かるかなって思って・・・
ちゃんと冷静に話せてたらこうはならなかったよね。
ごめん・・・


(泣きながら)


どこまでも自分勝手でごめんね・・・
あの手紙を書いた君の方がずっと辛かったはずなのに・・・
私ばっかり泣いてごめんなさい・・・


あっ、そ、そういえば・・・
なんで今日はここに来てくれたの・・・？
もうてっきり会うことなんて叶わないって思ってたからビックリしちゃったし・・・


え？『渡したいものがある』って・・・何を？


(渡されたものを見て驚く)


こっ、これって・・・


婚約・・・指輪・・・？


えっ！？けっ、けけ結婚・・・！？
今、結婚しようって言った！？
で、でも私・・・君を騙して、裏切った最低な女なんだよ・・・？


『あの時の男友達から本当の事を聞いて、ずっとボクを愛してくれてたことに気付かされたから』・・・？


し、信じて・・・くれるの？
う、うん！嘘じゃない！
嘘なんてつくはずないよ！


・・・！


(抱きつく)


うぅぅ・・・ありがとう・・・！
こんな私を愛してくれて、信じてくれてありがとう・・・！
もう絶対あなたを失望させない・・・
離れたりしないよ・・・


えへっ、えへへへ。
もう君以外を見たりなんかしない。
私の、たった1人の旦那さんだもん・・・ねっ。

・台本（ゆるボイ！）
仲が良かった彼女に浮気されたので家出をしたら・・・
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
USIQUI