どこに行くつもりかな？我が魔王…

トイレ？トイレなら反対側にあるけど。

…見苦しい言い訳はやめた方がいい。脱走しようとしていたのは分かっている。

わたしたちとしたことがぬかったよ。

まさか君が本気で脱走を決行するとは思わなかった。

周りを魔族の綺麗な女性で固めていれば大丈夫と思っていたんだけどね…

一応理由くらいは聞いてあげようか。どうして脱走を？

ふふっ…ははは！自由がほしい、か。そうかそうか…

ふふふ…くだらない。バカなこと考えてないで早く城に戻りたまえ。

君の居場所は外にはない。君はそれをきちんと自覚すべきだ。

いいかい？外は君の敵だらけ。いわば危険地帯。

少しでも人間たちに姿を見られようものなら、即座に命を狙われるだろう。

わたしたち臣下としても、君をそんなところにホイホイ放り出すわけにはいかないね。

あぁ、なんとでも言いたまえ。わたしたちは君を守るためなら手段は選ばないつもりだ。

それとも何かな？まさか人間の女を好きになったというわけでもあるまい。

…え、その反応は予想外だな。まさか本当に…？

ふーん…そうか、そういうことか…

いいよ、大体わかった。君はおそらく、あの女勇者のことを考えてるね。

図星かな？やっぱり…

君は彼女と戦ってる時が一番生き生きしていたというか、とても嬉しそうな顔をしていたね。

彼女の何がよかったんだい？明るくて正義感が強くて、一途で健気そうなところかな？

うん、もういい。わかった。これ以上の説明は不要だ。

我が魔王の心を奪ったあの女は、逆さ吊りの刑にでも処してやらないとね…ふふふ…

さ、まずは魔王、君からだ。

脱走罪および浮気罪で牢屋行きは確定だね。

浮気に決まってるだろ？わたしたち魔族に好かれておきながら、堂々と人間の女の所に走っていこうとしたんだから。

許さないよ…わたしの気持ちを踏み躙った罪もついでにここで贖ってもらおうか。

あぁ、わたしも君が好きさ。今すぐ抱きしめてやりたいくらいには。

わたしの戦士としての力量を認め、女としての容姿も褒めてくれた。

我ながら単純だとは思うけど、惚れた理由がそれさ。

戦士として忠誠を尽くそうと思っていたのに、君ときたら…

言っておくが、わたしはメイド長や子犬ちゃんのように甘くはないよ。

手加減は苦手なんでね…というか、君相手に手加減は不要だろう？

ふふふ…そう遠慮するな。わたしの愛を心置きなく受け取ってくれ、我が魔王…はははっ！




ん…少しやりすぎたかな？

あまり派手に暴れると人間どもに勘付かれてしまうな…って今さらか。

あ、メイド長。すまないね。少しやりすぎたけど、魔王は捕まえたよ。

あはは…戦闘に入るとなかなか自分を抑えられなくてね。少しは反省してる。

あぁ、大丈夫。魔王なんだし死んではいないさ。多分ね。

そうだね、帰ろうか。

わたしたちの愛の巣に、ね？ふふふ…

・台本（ゆるボイ！）
ボーイッシュでイケメン龍戦士のお姉さんが容赦なく愛を伝えてきた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎