お兄ちゃん！
起きて、お兄ちゃん！
ほら、特撮始まっちゃうよ。
一緒に見るんでしょ？

えー、眠い？
でも「見るなら一緒に見よう」って言ったのお兄ちゃんでしょ？
ほーら、起きて。

え、膝枕してほしい？
お兄ちゃん、流石にそれはシスコンが過ぎるでしょ。
……あ、ホントだ。
ベッドから見やすい位置にテレビあるんだ。
いつもは寝転がって肘ついてテレビ見てるんだね。
今日は寝起きで肘ついてると崩れ落ちそうだから膝枕なのね。

まあ、私は全然かまわないけどさ。
絶対途中で寝ちゃうでしょ。
大丈夫？ ホントに？
じゃあ、仕方ない。
ほらおいで。

（頭が膝の上に移動）

位置大丈夫？
……そ。なら良かった。
お、始まるよ。
前回の続きからだから―――
（できればフェードアウト）

（時間経過のための少しの間）

おーい、お兄ちゃん。
やっぱり寝てるんじゃないの？
お、やっと反応した。
起きてた？
あんまり信用ならないなぁ。

まあ、今はいいや。
お兄ちゃん、ひとつ気になって仕方ないんだけど。
耳掃除したのいつよ。
めっちゃ汚いんだけど！

もう！
お兄ちゃんズボラすぎ！
もー、仕方ないなぁ。
私が耳かきしてあげるからしばらく寝てて！

えーっと耳かきは……あった。
なんか身の回りのもの全部ベッドの近くにあるね。
はい、それじゃあ耳かき始めますよー。

（耳かき開始）

おー、面白いくらい取れていくね。
自分以外の耳かきなんてしないからさ、ちょっと面白いかも。

む。これに味をしめちゃダメだよお兄ちゃん。
ホントは自分でやらなきゃなんだから。
こうやって私にばかり頼ってると、私なしじゃ生活できなくなっちゃうんだから。
そんなんじゃ、彼女できたり結婚したりできないよ！

……あー、言い過ぎだったね。
ごめんって。そんな顔しないで。
私と結婚するって？
もう、 お兄ちゃんはまったく。
私がいないとホントにダメなんだから。

ふふっ、昔と立場逆になっちゃってる。
昔は私のほうが「お兄ちゃんと結婚する」って言ってたのに。

うん、わかった！
こんなお兄ちゃんでも良いってひとが見つかるまで、私がお世話してあげるから。
ちゃんといい人見つけるんだよ？ お兄ちゃん。

見つからなかったら？
ふふっ、その時はずっと一緒だね。お兄ちゃん。

（耳かき終了）

うん、そろそろいいかな。
え？梵天？
ああ、反対のふわふわね。
じゃあ、入れるよ―。

（梵天）

ふわふわー。気持ちよさそうだね。
結構細かい汚れも巻き込んで取れるんだね。
今度自分でもやってみよ。

（梵天終了）

はい、こっち終了ー。
反対向いて。
はい、よくできました。
それじゃ始めるね。

（耳かき開始）

どう？ お兄ちゃん気持ちいい？
ふふっ、聞かなくてもわかっちゃうね。
全部顔に出てるもん。

え？
急に特撮見始めた理由？
うーん。前々からお兄ちゃん見てたの気になってたんだよね。
普通にドラマとして面白いのあるし。
何よりも有名になる前の若手俳優が見れるし。
だから私ぐらいの世代が見るのもおかしくないんだよー？

（小声の独り言くらいの音量で）
……それに久しぶりにお兄ちゃんとそういう話題で盛り上がるのも楽しいかもって思ったし。

うんうん、なんでもない。
ほら、耳かきに集中して。
ココらへんとか気持ちいいでしょ。
カキカキ……カリカリ……。

うーん、最後に奥にある大きいのとったら終わりにしようか。
動かないでよー。危ないから。
………はい、取れました。

（耳かき終了）

あとは細かいのを梵天でとっちゃうね。

（梵天）

ふわふわー。
あれ、お兄ちゃん気持ち良すぎて眠くなってきちゃった？
もー、仕方ないなぁ。
ちょっと我慢しててね？

（梵天終了）

はい、終わり。
ほら、寝るなら枕に戻って。
あと腕貸して。

えへへ、私も眠くなってきちゃったから腕枕してもらうね。
こうやって一緒に寝るのも久々だね。
ちょっと安心しちゃう。

今日はふたり揃って二度寝だね。
それじゃ、おやすみお兄ちゃん。

・台本（ゆるボイ！）
休日の朝の妹の耳かきの話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
魚河岸