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父親の専属メイドを奪ったら
written by ガーナマン
  • メイド
  • お姉さん
公開日2022年05月28日 01:39 更新日2022年05月28日 01:39
文字数
3078文字(約 10分16秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
おはようございます、ぼっちゃま。

はい、どうされましたか?
朝食、、、でしょうか?

ええ、本日も貴方の担当のものが用意しておりますが...何か気になることでも?

私に作って欲しい、、、ですか?
ぼっちゃま、そう言ってもらえるのは、この家に仕えるメイドとして、とても嬉しゅうございます。
しかし以前も伝えましたように私は貴方のお父様、つまりはご主人様専属のメイドでございます。

私の流す汗や時間は全て、ご主人様のためのものでなくてはなりません。
もちろん私もぼっちゃまのためにできるのな
ら、
食事作りにお部屋の清掃、それら全般の事を
して差し上げたいと思っています。

しかし私、ひどくご主人様に気に入られているようで、ぼっちゃまであろうと、時間を割くことを許されていないのです。
どうか、ご理解していただきますようお願いします。

、、、はい、ありがとうございます。
昔のぼっちゃまなら、きっと泣いて地団駄を踏んでいたところでしたね。
ふふっ、身体だけでなく心も成長されているようで私も感激しております。
それでは私、ご主人様に呼ばれているので失礼します。

(夜)
こんばんは、ぼっちゃま。
私ですか?
これからご主人様にお茶を届けに行くところですが、、、

ぼっちゃまが運んでくださるのですか?
しかしご主人様のご命令で、睡眠前のお茶は私がお運びするよう言われています。
お気持ちは嬉しいのですが、、、って、あれ?
お茶っ葉が切れてしまっているようで、、、
ぼっちゃま、申し訳ないのですが私、倉庫へ
お茶っ葉を取りに行かなくてはなりません。

はい、、ぼっちゃまのご主人様を労う気持ちは、私が責任を持って伝えさせていただきます。

(間)
(ノック音)
ご主人様、おはようございます。
...あら?いつもこの時間には起きられているはず、、、
ご主人様、失礼します
(ドア開)

気分が優れないようでしたらお薬を、、、
ご、ご主人様?
だっ、誰か!
お医者様を呼んで!
ご主人様が、、、ご主人様がっ!

(間)
お疲れ様でした、ぼっちゃま。
ご主人様のご葬儀を見事に取りまとめられ、
無事に終わらせることができましたね。
ご主人様もきっと、当家の今後について安心されていると思います。

...どうされましたか?
顔色があまりよろしくないように見えます。
ここ数日まともに睡眠もとれていないのですから仕方のないことです。
本日はもうお休みください。
はい、、、何かあればすぐにお呼びください。

(間)

失礼します、ぼっちゃま。
もう休息は十分でしょうか?
かしこまりました、今お飲み物を、、、
いらないから話がしたい、ですか?

そういうことなら、私からもぼっちゃまに伝えなければならないことがございます。

まず、当家の主の地位はぼっちゃまが継ぐことになります。
それはもちろん、ご主人様の血が流れているお方が、ぼっちゃまただ一人であるためです。
おそらく近くに行われる式にて、正式な段取りを踏んでいただき、その後にという流れになるはずです。
ここまでは大丈夫でしょうか?

それでは本題に入らせていただきます。
ご主人様について、、、のお話です。
ご主人様は心臓に病を抱えられていました。
そのため今回のことも、持病の悪化と言ってしまえばそこまででしょう。

しかし私は疑問に思いました。
お医者様が言うには、お薬を飲んでいればそう簡単に悪化する病ではないと、、、
そのためご主人様も毎日お薬を欠かさず飲まれていました。
そんなご主人様がお薬を飲み忘れたのでしょうか?
いえ、確認したところご主人様が亡くなられた日のお薬は無くなっていました。
それでは何故ご主人様は前触れもなく、亡くなられてしまったのでしょうか。

私が調べたところ、ぼっちゃまの寝室のゴミ箱からこのようなものが見つかりました。
、、、これは、当家が以前から利用している除草剤のゴミ。
当然人間にとっては強い毒物です。
そのゴミが何故貴方の部屋から出てくるのでしょうか?
納得のいく説明を...お願いします。

、、、言えないのですね。
ご主人様の命を奪うため、あの時私がキッチンから離れた際、ティーポットに除草剤を混ぜた。
そうですね?ぼっちゃま。
沈黙は肯定と捉えますが。

皆にこのことを伝えるのか、、、ですか? 

(メイドの笑い声)

いえ、まさか。
このことは私の胸の中に、、、ですよ。
ぼっちゃま、そんな不思議そうな顔をしないでください。

そうですね、それにはまず私の生い立ちを話さないといけませんね。
私はこの屋敷に来る前、他の屋敷で見習いのメイドをやっていました。
その屋敷のご主人様はとても優しく、親に捨てられた私を拾い、名を付け、娘のように育てていただき、私も本当の父親のように思っていました。

私はそんなご主人様を尊敬し、早く一流のメイドとなり、恩を返したいと考えていました。
そんな時、あの男が屋敷にやってきました。
そう、ぼっちゃまが命を奪ったあの男です。

あの男は私を一目見て、ご主人様に大量の財と引き換えに私を譲って欲しいと頭を下げました。
しかしご主人様は大事な娘だと言い、何度も拒否していました。
最初は腰の低かったあの男も、次第にイラつきを隠せないようになり、幾度かの交渉の後
あの男は、、、ご主人様を、、私の父を、、
事故に見せかけ、、、殺害しました...。
私はそれを陰から見ていることしかできませんでした、、、

あの時の私はその事を周囲に伝えても、信じてもらえず、あの男に殺されると思い、ただ黙っていました。
その後私は半ば無理矢理この屋敷に連れてこられ、メイドとして働くこととなりました。

それからのことはぼっちゃまも知っての通りです。
あの男は私を専属のメイドとし、他者との関わりを絶たせ、貴重な宝石のように扱いました。
幾度も奴の命を奪う機会を伺っていましたが、
奴が最も苦しみ、助からないことを悟り、絶望の中で息絶える。
そんなチャンスはなかなか見つかりませんでした。

しかし私はある時気付いたのです。
私と共にいるあの男のことを見るぼっちゃまの目が、言葉では言い表せないほど狂っていることに。
私は前から分かっていました。
貴方は私を愛していることを。
そんな私の身体を独占しているあの男を憎み、怒り、妬んでいたことを。

私はその感情を利用しました。
何年もかけて、貴方の中の殺意が増すように、私の心も身体も全て貴方の父親のものということを、脳内で溢れさせるように行動していました。
そうして貴方は私を得るために、邪魔となる自らの父を手にかけた。
貴方はやはりあの男の血をひくお方です。
己の愛のために邪魔となるものは命であろうと踏み躙る。

実は私、あの男が毒の入ったお茶を飲み苦しんでいるのを見ていたのです。
お茶を飲み、いつものように私に劣情をぶつけようと服を脱がせていた際にいきなり苦しみだし、私に医者を呼ぶように命令しました。
耳元で私の父の命を奪ったことを知っていると伝えた時のあの男の顔は、、、まるで死にかけの魚のようでした。

あぁっ、、、私の父を殺した男が、、
自らの息子の手によって命を奪われる、、
あの瞬間の、、高揚感、、、
私の身体を、、名状しがたい快感が襲いましたっ、、、

その後私は何食わぬ顔で部屋を出て、第一発見者となったわけです。
ですから私はぼっちゃまにとても感謝しているのです。
奴を苦しませながら命を奪うという私の悲願。
それを完璧にやってのけた。
貴方は私の新たな主人に相応しいお方。
貴方が望むなら私の心も身体も全てを貴方に捧げましょう。

...かしこまりました。
私はぼっちゃまの...
いえ、貴方はもうぼっちゃまではありません。
私はご主人様の専属のメイドとして一生この身を捧げることを誓います。

私を誰かに奪われないようにしてくださいね、ご主人様。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
父親の専属メイドを奪ったら
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ガーナマン
ライター情報
フリー台本を書いているガーナマンです。
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