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男装女領主の抑えきれぬ気持ち
written by 霜月鷹
  • 王子様系
  • 男装女子
  • 女領主
  • 既成事実
  • ラブラブ
公開日2022年07月06日 01:07 更新日2022年07月06日 01:07
文字数
2351文字(約 7分51秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
男装をしている女領主
視聴者役柄
領主の友人であり旅人
場所
領主の屋敷
本編
(ドアの開閉音)
あぁ、来てくれたか……忙しい時に呼び出してしまってすまないな。
要件か?
大したことではないのだが、実はお前に聞きたい事があってな……立ち話というのも風情がない、適当な椅子にでも腰かけてくれ。
そう改まった態度を取らなくても良い、ここには余人も居ない。
こういう時のお前と私の関係は互いに対等な友人……何度も言っているだろう?
そうだ、それで良い。
話といっても大したことではない……ただ、最後にどうしても聞いておきたいことがあったんだ。
この地を離れ、再び放浪の旅を続ける……その意思は変わらないのか?
お前になら領地の一部を任せられるし、私から安定した暮らしを提供する事も約束出来るが……それでも、その意思に変わりはないのか?

……そうか、残念だ。

なら、最後に少し話をしないか?
何処かでまた会えるとも限らない……お前は私にとって無二の友だ。
これが今生の別れになるかもしれないからな……少しでも長く、友であるお前の事を記憶に焼き付けたいんだ。
ありがとう、流石は私の友だ。
無理を言ってすまないな……それならば、少しばかり待っていてくれ。
茶でも淹れてこよう……給仕の者達には劣るかもしれないが、私にも多少は自信があるんだ。
「気を遣わなくても良い」……それは違うな。
この地を立とうとしたお前の事を引き留めたのは私だ。
お前がそれに応じてくれたのなら、せめてもの礼として私がお前をもてなすのが流儀というものだろう?
分かってくれたか……ならば、しばし待っていてくれ。
茶と一緒に、何か菓子でも用意してこよう。

(カップを置く音)

待たせたな……誇れる程の味ではないかもしれないが、ゆっくりと味わっていってくれ。
しかし、お前と顔を合わせる事が出来るのもこれで最後なのか……
お前がこの地を訪れてからの日々は、私にとって実に素晴らしいものだったぞ。
叶うのなら、これからも私の隣に立っていてほしいが……そう暗い顔をするな、お前は自分の意志で再び旅に出ると決めたのだろう?
ならば、私はその旅立ちを祝おう──

だが、その前に少しばかり、私に付き合ってもらうがな。

ふふ……ようやく薬が回ってきたか。
安心しろ、ただの睡眠薬だ。
お前が旅立つ前に一つ、今まで隠していた私の「秘密」を見せてやろうと思ってな……しかし、それにはまだ少しばかり日が高い。
お前に飲ませた薬は夜になったら目が覚めるように調合してある……だからそれまで、安心して眠っていろ。


(布が擦れる音)

あぁ、ようやく目が覚めたか……さっきはすまないな、私も少しばかり焦っていたんだ。
目を離した隙に、お前がどこかへ消えてしまうのではないかと……無論そんな事は、私の杞憂に過ぎないと分かっていたがな。
だが、そのおかげでもう夜だ……屋敷の者達も寝静まっているだろうし、これで心置きなく私の「秘密」を見せる事が出来るな。

どうだ……驚いたか?
普段は衣服や立ち振る舞いで誤魔化していたが……見ての通り、私は女だ♪

男装の理由?
なに、大したことではない……あれは私の、ちょっとした憧れのようなものさ。
先代達のように勇ましく、自ら剣を取りこの地を守る……私はそんな姿に憧れて、お前の知っている「男の私」として振舞っていたんだ。
まぁ、私の本当の姿を知っている者など、この地には数えるほどしか居ないのだがな。
どうだ、本当に大したことではないだろう?
「これで終わりなのか」……まぁ、そうだな。
お前には最後に、本当の私を知っておいてもらいたかっただけだが──

気が変わった……少しばかり力業になるが、お前をこの地に縛らせてもらおう。

お前の前では男として振舞っていたが、私だって心根は女……想いを寄せている男に求めるモノは、他の女と何も変わりはしない。
あぁ、お前に感じていたのは友情だけじゃない……私が苦境に立たされた時にも、お前は傍で私を支えてくれた。
私が悩めば隣で共に悩み、私と喜びを分かち合い、苦楽を共にしてきた。
今でこそ正直に言えるが、お前は私にとって唯一の、安心して心を委ねられる存在なんだ。
だから……すまない。
昼間に私が口にした言葉、あれは取り消させてもらおう。
お前が私の前から居なくなるなんて、私にはとてもじゃないが耐えられない!
お前にはこれから先もずっと、生涯をかけて私の隣に居てもらいたい……二人で幸せな時間を過ごしたい、私はお前と……お前と一生を添い遂げたいんだ!
だから私は、お前を絶対に離さない……例え何があっても、この地の外にはお前を行かせない。
ふふ……その為に、私が今から何をしようとしてるのか、お前は想像できるか?
安心しろ……経験こそまるでないが、お前の事は私がリードしてやる。
だからお前は、私に身を委ねるだけで良い……さぁ、女の私を受け入れておくれ♪






(玄関扉の開閉音)
最後の確認だが、出立の準備は出来たか?
そうか、なら私はここでお前を見送るとしよう……しかし悪いな、最近は私の職務を肩代わりしてもらってばかりで。
本当なら私自らが向かうべきなのだが、どうもこの、身重の体ではな……今までのように男装をする事も難しいし、それにこの子にも負担が掛かってしまう。
「今は自分の体を気遣って」……そうだな、他ならぬ旦那様の頼みとあれば、そうするとしようか。
しかし今にして思えば、あの時の私は相当切羽詰まっていたな……
薬でお前を眠らせた挙句、無理やり子を作ろうとするなど……うぅ、思い返すだけで恥ずかしい事この上ない。
だが、おかげでお前に想いが届いたし……こうして、お前との子供にも恵まれた。
ありがとう、本当にうれしいよ♪

さて、それでは旦那様……分かってるだろうが、もう予定日も近い。
旦那様の事だ、しっかりとその時に立ち会えるよう日取りを整えてくれているだろうが……それでもなるべく早く執務を終わらせ、私の元に帰ってきてほしい。
もしもの時は知らせを出すから、その時には執務よりも私の事を優先しておくれよ?

では、この子と二人でお前の帰り待っているぞ……いってらっしゃい、私の旦那様♪
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
男装女領主の抑えきれぬ気持ち
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹
ライター情報
主に女性演者様向けの台本を書いてるタヌキ的な「何か」です。
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