おぉ、目が覚めた……ひとまず実験は成功かな。
大丈夫？気分は悪くないかい？
はいこれ……目覚めの一杯にはちょうど良い筈だよ。
今の君は栄養失調に近い状態だ、遠慮せずに飲みたまえ……うん、いい飲みっぷりだね。
それ、味はどうだい？
私のお手製なんだけど……うん、それなら良かった。
さてと、それじゃあ喉の渇きを潤したところで……少し、質問に答えてもらって良いかな？
数時間前まで、君はとても危険な状態だったんだ。
肉体は回復しても、その……脳機能に問題があるかもしれないからね。
それじゃあまずは一つ目……私が誰だか分かる？
正解、私は君の上司でありパートナーでもある科学者……という訳で二つ目、私の専門分野は？
正解……私の分野は生物学、最近は人間に使う薬品の研究をしていたところよ。
それじゃあ最後の質問……ここに来る前、私達に何があったか覚えてる？
あぁ……残念、やっぱりそこは思い出せないか。
まぁ仕方ないよね……えっと、少しビックリしちゃうかもしれないけど、落ち着いて聞いてね。
君、体のあちこちを撃たれて死ぬ寸前だったのよ……頭にも銃弾を受けて、本当に危ない状態だったんだから。
なんで撃たれたのか……気になる？
端的に言うとね、君は私の研究結果を奪おうとした奴らに撃たれたの。
いや、奪おうとしたのは私の命だったかな……まぁどっちでも良いや。
私もほら……足を撃たれちゃってね。
痛みは無いんだけど、歩くのが大変かな……まぁ、君に比べれば何てこと無いけどね。
ん、どうしたの──私の研究結果が気になる？
良いよ、教えてあげる……私の研究はね、人間を次のステージに進める為の物だよ♪
ほら、ここ最近って人口増加が問題になってたでしょ？
人間が増えすぎたせいで地球が大変な事になって、このままだと世界は終わっちゃう……なのに人間はどんどん増えてく……私の研究はね、それを解決する為の物なのさ！
君、吸血鬼って知ってるかい？
人間の血を吸って生きる怪物……私が作り上げたのはね、人間を吸血鬼に変貌させる薬だよ！
吸血鬼になって増えすぎた人間を食料にする……そうすれば、人間の数を合理的に減らせるでしょ？

えっと……なんか青ざめちゃってるけど、大丈夫？
あーそっか、君には研究の内容、あんまり教えてなかったもんね。
今までありがとね、私の研究を完成させてくれるお手伝いをしてくれて♪
でも、アイツらに情報を流したのは傷付いたなぁ……まさか私の事を裏切るなんて。
私ってば本当に辛かったよ……だからね、君の事を盾にしちゃった♪
君は知らなかったみたいだけど、私ってけっこう動けるんだよ？
だから君を盾にして逃げる事くらいは何てこと無いんだから……でもね、大好きな人を弾避けに使うの、とっても辛かったんだから。
だからね、贖罪の意味も込めて──

君に、私の作った薬を投薬して蘇生してあげたの♪

うふふ、はいこれ……このフラスコの中に入ってるの、なんだか分かる？
分かるよね……というか今の君、この中身が欲しくて仕方ないんじゃない？
この赤い液体……私の血が飲みたいんでしょ♪
この味、もうすっかり覚えちゃったもんね……ほら、君に渡したボトルの中身、それも私の血だよ♪
薬と投与された人間が一度でも血を飲んじゃうと、それからはもう血が飲みたくて飲みたくて仕方なくなっちゃうの……うふふ、ちょうど今の君みたいにね。
大丈夫、これからも定期的に血を飲ませてあげるから……その代わり、私の実験に協力してもらうけどね。
君は私の大事なパートナーで大事な実験動物……だから絶対、死なせるような事なんてしないから。
あぁ……今、とっても良い気分だよ！
愛しいパートナーが私の続けて来た研究の集大成になるなんて……科学者として、こんなに嬉しいことなんか他に存在しないよ！

さぁ……それじゃあ早速、実験を始めようか。
吸血鬼になった君の事……私にいっぱい、教えてね♪

・台本（ゆるボイ！）
クールでサイコパスな科学者に吸血鬼に変貌させられる
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹