他人には言えない「秘密の関係」である貴方とお姉さんは、今日も二人でデート。
別れ際にはいつものやり取りをして……それで終わりではなかった。
街中で貴方の姿を見かけたというお姉さんは、貴方の「隠し事」を問いただして──

はぁ……やっぱり、楽しい時間が過ぎるのはあっという間なのね。
坊やは明日も学校でしょうし、今日はここでお開きにしましょうか。
えぇ、今日も素敵な一日だったわ。
はいこれ、今日はいつもより多めにしておいたから……うふふ、日頃の感謝よ♪
それじゃあまたね……って、いつもならそう言うところだけど……今日はもう少しだけ、お姉さんに付き合ってくれないかしら？
あのね……今日は最後に、どうしても坊やに聞いておきたい事があるの。

坊や、この間……他の女の人と一緒に居たわよね？

あのね……嫉妬とかじゃないんだけど、少し気になっちゃってね。
なんというか、相手に仕方なく付き合ってあげてるみたいな……坊やの表情がね、そういう風に見えたの。
もしかして、お姉さん以外の人からもこんな事をしてお金を貰ってるの？
そんなにお金が欲しかったなら早く言ってくれればよかったのに……私にはどんな事でも遠慮しないで、気楽に頼んでくれても良いって言ったでしょ？
お姉さん、坊やの頼みだったらなんでも出来るんだから♪
それとも坊や……もしかして私には言えない事情があるのかしら？
そういえば坊やって、いつ会っても少し疲れてるような感じだし……
もしかして、本当に何かあったりするの？
大丈夫、坊やの悩み事はお姉さんが全部受け止めてあげる。
だからほら……遠慮しないで？

借金を押し付けられて、ご両親に捨てられた……坊や、それ……本当なの？

そう……だからお金を稼ぐためにこういう事をしてたのね。
ねぇ坊や、ご両親が居なくなったのってどれくらい前の事なの？
そんなに前から……大変だったわね。

あのね、悪いんだけど今日は予定変更……もう少しだけお姉さんに付き合って頂戴？
ごめんなさいね、無理を言っちゃって。
どうしても坊やを連れて行きたいところがあって……それじゃあほら、早く行きましょう♪


（ドアの開閉音）


うふふ……ビックリしちゃったかしら。
そう、私が坊やの事を連れて行きたかったのは私の家……どうかな、けっこう大きいでしょ？
遠慮なんかしなくて良いのよ、どうせ私以外には住んでる人なんて居ないんだから。
そうね……とりあえず、二階の空き部屋は好きに使って良いからね。
荷物は明日中にこっちに運んでくるように手配しておくから、邪魔なものがあれば適当な所に置いて……あら、どうかしたの？
そんなに驚いたような顔して──
あ、そっか……私ったら、坊やにはまだ言ってなかったわね。
坊やさえ良ければだけど──今日からここで、私と一緒に暮らさないかしら？
だって坊や、今とっても大変なんでしょう？
だからしばらくの間、お姉さんが坊やの面倒を見てあげる。
うふふ、遠慮しようとしてもダメ……お姉さん、坊やの事は絶対に逃がさないから♪

は～い……捕まえた♪

こうやってぎゅーってすると、なんだか気分が落ち着いてくるでしょ。
うふふ、坊やってば肩に力を入れ過ぎ……もっと楽にして良いのよ？

あのね……坊や、いくら自分の事だからって、坊やは一人で頑張り過ぎなのよ。
周りに頼れる人が居ないのは分かるけれど……もしそうなら、せめて私くらいは頼っても良いのよ。
私とはお金のやり取りから始まった関係だけど、それでもね……私は坊やの事を放ってはおけないの。
私にとって坊やはね、とっても楽しい時間をくれる素敵な恩人なの。
色のない退屈な毎日を変えてくれたとっても可愛い恩人、そんな子が困ってるなら私も何か、坊やの為にしてあげたあくなっちゃったの。
それにね、これは私の個人的な感情だけど……どうせお金を使うなら、坊やの為に使った方が私も幸せなの。
私、こう見えて欲しい物とかそんなにないの。
今の私が本当に欲しいのは坊やの笑顔と、それから──うふふ、これはまだ……秘密かな♪

とりあえず……坊やは私に思いっきり甘えても良い、それだけは忘れちゃダメよ？
うん、よろしい！
それじゃあ今日はこのまま、思いっきり私に甘えてね。


今までよく頑張ったわね……偉いわよ、私の坊や♪

・台本（ゆるボイ！）
お金持ちのお姉さんに救われるだけのお話
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹