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バーチャルライバーの配信に一人、閉じ込められたあなたに、配信者の彼女から衝撃の告白が・・・【Vと呼ばれる彼女】
written by タナカジロー
  • ホラー
  • シリアス
  • アイドル
  • ストーカー
  • メンヘラ
公開日2022年09月16日 14:41 更新日2022年09月16日 14:41
文字数
2610文字(約 8分42秒)
推奨音声形式
ステレオ
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
Vtuber
視聴者役柄
視聴者
場所
視聴者の家
あらすじ
バーチャルライバーにドはまりして、気づいたら一晩で一気に書いてしまいました。こんなことは初めてです。当たり前ですが、特定のモデルなどは存在しない創作のお話です。
本編
はい、ということでー、ヴァーチャルちゃんの今日の配信は、ここまでー。
みんなー、今日は遅刻しちゃってごめんなさーい。次からは気を付けるからねー。
じゃ、見てくれたみんなの名前を読み上げるから、元気よく返事するんだよー。
空手チョップさん、モンゴリアントルネードさん、真剣白刃取りさん、唐竹延髄割りさん、僕くん、わー、みんな、コメントでお返事くれて、どうもありがとう!
みんな、夢の中でも、ヴァーチャルちゃんのこと、チェックしてよね!
それじゃあ、おつヴァーチャル―。


うんうん、みんな帰ったねー。
あれ?君はまだここにいるの?
え?配信から抜けようとしたけど、できないの?
それは大変だねー、配信サイトがバグっちゃったのかな?
じゃあ、ヴァーチャルちゃんと、秘密のお話しない?
そう、他のリスナーさんには秘密の、君と私だけの、お話。


君は、最初の頃から、私のことを応援してくれてたよね。
もちろん覚えてるよ。君が私にくれた、初めてのコメントだってね。
「初見です、とってもかわいいですね」って・・・


それだけじゃないよー。
2回目の配信に、一番乗りで来てくれたこと。
立ち絵が変わった時、誰よりもほめてくれたこと。
1周年記念の時に、人生で初めて投げ銭してくれたこと。
全部、全部、覚えてるんだよ。


だって、全部、君に向けて、作ってたんだもん。


ヴァーチャルちゃんの秘密、君にだけ教えてあげる。


ヴァーチャルちゃんの配信は、君のためだけのものだったんだよ。


君が好きな声、君が好きな姿、君が好きな話、君が見やすい時間、君が喜ぶ企画、君がやってるゲーム、君の身近な話題、君にしかわからないこと。


全部、全部、君が好きになるように、ヴァーチャルちゃんはできてるんだよ。


嘘じゃないよ。
今日だって、本当なら君、私の配信に間に合わなかったでしょ?
仕事が終わらなくて、帰るのが遅くなっちゃったから・・・
だから、私も配信に遅刻したんだよ。
「偶然遅刻が被ってラッキー」なんて、君はコメントしてたけど。
私は、君が家に帰って、パソコンをつけて、サイトを開いて、私の配信を見るその時まで、ずっと、待っていたんだよ。


君は想像したことがある?
たくさんのコメントが実は、自分が打ったもの以外、ぜんぶ作り物で。
本当は、自分が打ったコメントしか、配信者に届いていない・・・


よく、自分のコメントに反応してくれたらうれしいって思うファンはたくさんいるでしょ?
君だって、自分が打ったコメントに、私が反応したとき、喜んでたでしょ?
なるべく自然に見えるように、たまにしか反応しなかったけど・・・
本当は、君のコメント、全部、見えてたんだよ。
君のコメントしか、私の目には入ってなかったんだよ。


ファンのリスナーさんが、配信者に本気で恋をして、現実で事件にまで発展しちゃうこと、ニュースで見たりしない?
私はね、いつも不思議に思ってたの。
その逆が起こることを、どうしてファンは、考えたりしないんだろうって。
自分が打ったコメントに、配信者が恋をして、コメントを打ってる人に、実際に会ってみたいって思うのって、そんなにおかしなこと?


文字に恋する訳がないって?
フフフ、でもね、私みたいなペラペラなCGの画像に、本気で恋しちゃう人はいるんだよ。
絵に恋すること、声に恋すること、文字に恋すること。それって、どう違うの?
恋文、文通、ラブレター・・・文字って、恋心を育むのにとっても適しているんだよ。
たくさんの人が私にコメントを、言葉を送り続ける中で・・・どうして自分だけ、特別にならないなんて、言い切れるの?
特別になりたいって、心のどこかで思いながら、コメントを打ってるくせに。


・・・もうひとつ、君に教えてあげる。ヴァーチャルちゃんの秘密。
この姿はね、実は2つ目なの。
ヴァーチャルちゃんがヴァーチャルちゃんになる前、君と同じ、現実の姿のまま、配信をしていた時があるの。
軽い気持ちだった。ただ、自分が話したことに、知らないたくさんの人が反応してくれる、たくさんの文字が、私を肯定してくれる。
それだけで嬉しかった。それだけでよかった。でも・・・
それだけじゃ、満足できない人がいたの。


自分だけ特別扱いしてほしい。
自分だけを見てほしい。
他のコメントに反応するなんて許せない。
話す言葉と、画面に映る少ない情報を頼りに、どこにいるのか探り当てて。
家にまで押しかけて、その時の私の名前を呼んで、会おうとするの。
毎日、毎日、毎日、毎日・・・
結局その人は、警察の注意を受けて、近寄らなくなったけど。
私は、配信することも、人に会うことも、家を出ることも、恐ろしくなって。
まともな生活が、できなくなっちゃったの。


でもね。
何もしていなかったわけじゃないの。ずっと考えていたの。
私の何が悪かったのか。本当に私が悪かったのか。
その人は本当に悪かったのか。その人を狂わせた私が悪いのか。
その人は私の何に惹かれたのか、どうしてあんなことをしたのか。
あれは、恋だったのか。


あれを、恋と呼ぶなら。
どうすればまた、その人を、恋に落とすことができるのか。


復讐、って言葉じゃ、足りない。
これは、恋なの。
心がその人だけでいっぱいになって。
ぐちゃぐちゃでドロドロで爆発しそうで。
吐き出さないと、狂ってしまうくらい、その人のことを考えてる。
その人のことだけを、ずっと、ずっと、ずっと。


どうしたの?汗、すごいよ?
やだ、見えてるにきまってるじゃん。
ここには今、私と君しかいないんだよ?


そんなにキョロキョロしても意味ないよー。
簡単に見つかるような所にある訳ないじゃん。
それに今は、画面に映ってる私を見てよ。
見つめあおうよ、今、二人きりなんだよ。
不思議だね、現実と仮想、絶対に触れ合えないのに、こんなに近く感じて。
この世界には私たち以外、誰もいないんだよ。
でも、もっともっと、近くに感じたいなぁ・・・


//SE:【着信音】


フフフ。
出たら?
携帯、鳴ってるんでしょ?


//SE:【電話に出る】


こんばんはー。
誰って?んもう。
んっうん、『現実のあなたに、ヴァーチャルの世界からご挨拶!配信者の、ヴァーチャルちゃんだよー。』
どう?配信の声と違う?おんなじ?
もう、答えてよー。
やっぱり、もっと近くにいないと、ダメなのかな?
君は、近くにいることが、大好きだもんね。


//SE:【ピンポーン】


誰か来たんじゃない?
出なよ。


//SE:【ピンポーン】


出なよ。


出なよ。


出なよ。


//SE:【ピンポーン】


出なって。


//SE:【ドンドンドンドンドン!!】









出ろよ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
バーチャルライバーの配信に一人、閉じ込められたあなたに、配信者の彼女から衝撃の告白が・・・【Vと呼ばれる彼女】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
タナカジロー
ライター情報
pixivにあげていたものを移動中です。

オリジナルのボイス台本を書いています。女性1人読みの男性向けが多いです。

SSとしても読めるものを目指しています。

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