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ヤンデレの龍神様に見初められて死ぬほど愛される
written by 平 朝臣
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公開日2022年09月29日 13:52 更新日2022年09月29日 14:07
文字数
2006文字(約 6分42秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
龍神様
視聴者役柄
生け贄にされた青年
場所
薄暗い洞窟の中→洞窟の外
本編
(薄暗い洞窟内にて)


SE:こつこつとゆっくり近づいてくる音

くくく…ようやく会えたな。

待ちわびていたぞ…。

SE:しゅるりと目隠しを解く音

我の姿が、見えるか?

#満足そうに頷く

…うむ、しかと見定めておるようだな。

ならば、話は早い。

貴様は、なぜ、ここにいるのか、分かるか?

…くくく、その通りだ。

貴様は、村の衆によって、供犠くぎに処された。

それも、この土地の水神みずがみたる龍神…すなわち、我へのにえとしてな…。

…む?

何を、そんなに驚いている。

よもや、龍神の正体が、かような女子おなごであることに、面を食らっておるのか?

くくっ…まあ、仕方あるまい。

貴様ら人間が想像する我のさまは、蟒蛇うわばみの如き体であろうからな。

しかし、我が、地主神じぬしがみである以上、神域から離れて彷徨うろつくことなどできぬ。

故に、我は、村の衆に、生け贄を捧げなければ干魃かんばつを引き起こすと神託を下した。

さすれば、皆、貴様を、御供ごくうに仕立て上げると考えたからだ。

その目論見通り、あやつらは、貴様を選び…。

そして、禁足地であるこの洞窟に、貴様を置き去りにして、岩戸を閉じた。

我の神託に従いながら、その実、貴様を葬るためにな…。

SE:衣服が擦れる音

#移動しながら

んっ…はぁ…。

#左耳、5cm、囁き

だが、心配せずともよい…。

我は、貴様を、取って食べたりなどせぬ…。

むしろ、貴様は、我と契りを結べばよいのだ…。

人間が呼ぶところの、生涯の伴侶としてな…。

#移動しながら

んっ…はぁ…。

#右耳、5cm、囁き

そして、我と共に、現世うつしよから離れて、常世とこよの国へと、参れ…。

そこで、我らの居場所を作るのだ…。

あらゆる艱難辛苦かんなんしんくから解き放たれた、二人だけの理想郷を、な…。

くくっ…貴様も、それで構わぬだろう…?

#眉をひそめる

…何…?

村の衆との約束は、果たしてくれるのか…だと…?

SE:龍神様が主人公から離れる音

#正面、通常距離

#冷たい声で

…解せぬ。

何故なにゆえ、そのような考えに至るのか、我には、理解できぬ。

そもそも、彼奴きゃつらは、昔から、貴様を忌み嫌い、差別してきた連中だ。

故に、憎みこそすれども、自らを犠牲にしてまで尽くす義理など、微塵もないはずだ。

それとも、貴様…。

我を…拒むつもりなのか…?

SE:地響き

#ぷるぷると身体を震わせながら、癇癪を引き起こす

…なぜだ…なぜだぁぁ!!

#早口で捲し立てる

我の、何が気にいらぬ?!

容貌か!?

肉体か!?

それとも、全てか!?

いや、違う!

我が、人間の女如きに劣るなど、あり得ぬ!

となれば、貴様…我ではなく、あの村を、選ぶというのか!?

あれほど、貴様を蔑み、虐げてきた輩共やからどもを、守るために!

そんなこと、認めぬ…断じて、認めぬぞ!

貴様の全ては、我の物だ!

その双眸そうぼうも、かんばせも、四肢も、はらわたも…!

否、血の一滴から髪の毛一本に至るまで、何もかもだ!

そして、それを、我以外の者に晒すことすら、許さぬ!

貴様は、死ぬまで、我だけを見て、生き続けるのだ!

よいな!?

分かったか!?

SE:地響きが徐々に収まっていく

#血走った目をしながら荒い息を整える、だんだん落ち着いていく

はぁーっ…はぁーっ…はぁーっ…はぁーっ…。

#突然、不気味な笑みを浮かべる

く、くくっ…くくくく…。

そうだ…何を、迷う必要がある…。

不浄な塵芥ちりあくたなど、一切合切、洗い流してしまえばよいのだ。

そうすれば、こんな些事に悩むことも、なかったのだからな…。

…どういう意味か、だと?

くくっ…ならば、己の目で確かめてみるがよい。

SE:こつこつとゆっくり遠ざかっていく足音


(少し間を空ける)


(洞窟の外にて)


…どうだ?

中々に、壮観だろう。

かつて村だった場所が、湖と化した光景は…。

実は、先ほど、我が怒り狂っていたわずかの間に、この土地には大雨が降り注ぎ、河川の氾濫が起こった。

その結果、逃げる暇もなく、村人は洪水に巻き込まれ、村ごと水底みなそこに沈んだというわけだ。

くくく…これでもう、貴様が村を守る理由も、なくなったな。

では、早速、我と共に、あの世へ…っ。

#不機嫌な表情で

…何?

村がなくなっても、この地に対する愛着はなくならない…だと?

ふん…どうやら、よほど未練があるようだな、貴様…。

ならば、仕方あるまい。

また、一から、村を作り直さねばなるまいな。

とはいえ、そのためには、失われた人間を取り戻さねばならぬ。

我と貴様だけでは、到底、村とは呼べぬからな。

だからこそ…。

SE:龍神様が主人公を押し倒す音

#右耳、5cm、囁き、色気を出しながら

んっ…はぁ…。

くくっ…我と貴様で、人間を作ろうではないか…。

かつての村人と同じ…いや、それ以上の人数をな…。

当初の予定とは違うが、これもまたよきものだ…。

#怪訝そうな表情で

…む…?

何を、そんなに恥ずかしがっておるのだ、貴様…。

まさか、このよわいにもなって、まだ色事も知らぬというのか…?

#にやりと口元を歪ませる

くくっ…ならば、丁度よい…。

SE:衣服が擦れる音

#移動しながら

んっ…はぁ…。

#左耳、5cm、囁き、色気を出しながら

我が、手取り足取り、教えてやるとしよう…。

なに、案ずるな…。

貴様は、我の言う通りに、動けばよい…。

例えるならば、そう…鶺鴒せきれいの如く、だ…。

さすれば、きっと、成し遂げられるはずだ…。

我と貴様の村…否、国造りが…な…。

くくく…くくくく…。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレの龍神様に見初められて死ぬほど愛される
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣
ライター情報
タイラ トモオミ
 初めまして。
 平朝臣と申します。
 ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
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