社会人カップルの二人。電話やオンラインで声は聞いていても、やっぱり直に逢いたい。

[SE:電話の着信音]

こんばんは。今、時間平気？

そっか。良かった。君の声が聞きたかったの。
迷惑かなぁと思ったんだけどね。
今日も元気だった？


(心配そうに)大丈夫？派手に怪我したの？

そっか。ならいいけど...
気をつけてよね。君は、意外とおっちょこちょいなんだから。

そうそう、あの頑張ってるっていってたのは？


そうなんだ。やっと終わったの。お疲れ様。

私？いつも通り。クタクタだよ。
とは言っても、今日はまだ外なんだけどね。
外の音、聞こえるでしょ？


疲れてて、どうしても君の声が聞きたくてさ。
迷惑かなぁと思ったんだけど、電話しちゃった。

いつから逢ってないっけ？

(吃驚して)嘘。一ヶ月？そんなに逢ってない？

確かに、昨日だってオンラインは見てるけど...

アレってさ、君に触ったりできないでしょ。
抱きつきたいのに出来ないのは、地味にストレスなんだよね。

(むくれた感じで)笑い事じゃないって。
触りたいのに、触れない～みたいな？


わかってるよ？君も私も忙しいし。
仕事場も遠いから、同棲するのも辛い。
それに今の時期だしね。

それでもさ、君に触りたいし、キスもしたい。
ギューッて抱きしめたい。君の側で寝たい。

【嫌そうな声の彼】

なにそれ。って酷い！
なんとなくそういう気分なんだもの。


[しばらく沈黙]

って、もしもし～　聞こえてる？どうしたの？

聞こえないんだけど。


嘘。恥ずかしいの？君もそんな気持ちだった？

じゃあさ、君ん家のドア開けてみて。


[SE:ドアを開ける音]

こんばんは。

驚いた？ドッキリ成功？

(ビールの袋を差し出して）
コレ、ビール。
急に思いついたから、これしか買えなかったの。
ごめんね。


【彼が勢いよく抱きついてくる】

って、どうしたの？
いきなり抱きついてくるなんて。
珍しいし、嬉しいけど...

ねぇ、恥ずかしいから、ドアだけ閉めよう？


[SE:ドアの閉じる音]

ビールは床に置いといて...

(玄関先で立ったまま、ハグをして彼女が彼の頭を撫でる）

もっとギューッてして？

君の匂い、やっぱり落ち着く...

一緒にいられなくてごめんね。私は寂しすぎて来ちゃったよ。
君は？寂しかった？


今日はやけに素直だね？可愛い。(リップ音)

私も寂しかったよ。(長めのリップ音)


とりあえずお邪魔してもいいかな？

(ヒールを脱いで、部屋に入る)
お邪魔しまーす。

偉い！綺麗にしてる。

(台所にいる彼に向かって)
ねぇ。とりあえず、スーツ脱いで来ても良いかなぁ？
しわになっちゃうと困るし。


もちろんお泊まりする気だけど？もう終電もないし。
確か、私のパジャマがその辺に...

あった。あった。

（ゴソゴソと着替える音）


(離れた場所にいる彼に向かって)
ビールのおつまみ？
ごめん。買ってくるの忘れちゃった。
あってもなくても大丈夫。気にしないで。


[SE:ソファに座る音]

これ、君が作ったの？おいしそう。

それでさ、なんで君は私の隣に来ないのかな？
くれば良いのに。


嫌なの？なんで？


触りたくなるから？
ふふふ。可愛い。触ってもいいよ？

私は、大好きな君に逢えなくて寂しかったんだけどなぁ。
君は違うの？


とりあえず、ビール開けて乾杯しよ。
君のおいしそうなアテもあるしね。

それから、寂しかった分、二人で埋めようね？

・台本（ゆるボイ！）
君に触れたい。
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
藤碕いちる