おはよう、気分はどうかな？
見た感じ悪くはなさそう……それにしても、昨日は本当に災難だったね。
でも、ひとまずこれで安心だから。
気持ちの整理とかは大変かもしれないけど……とにかく、君はもう大丈夫だよ。
そうだ……朝ごはん、君は何が食べたい？
和食でも洋食でも、好きな物をリクエストしてくれたら私が作るよ。
「なんでもいい」……そっか、なんでも良いんだ。
なんでも良い……そう言えば君って、確か朝ご飯には洋食派だっけ。
それならトーストに目玉焼き、サラダと……後は簡単なデザートで良いかな。
ちょっと待っててね、すぐに用意するから。
まだ眠いなら二度寝しちゃっても良いけど、その場合はなるべく早く起きてよね。
せっかく作ったご飯が冷めちゃったら私、ちょっとだけ……哀しいから。



あ……意外と早く来てくれた。
ご飯は出来てるからさ、早くこっちに──あれ？
この匂い……私が置いておいたシャンプー、使ってくれたんだね。
素敵、君の髪……私と同じ匂いがする。
私の傍に来て、そうすれば君も分かると思うから。

ほら……私の髪、君と同じ匂いがするでしょ？

甘くて優しい、なんだか気分がフワフワする……そんな匂い。
匂いがお揃いなのって、お互いが特別な関係みたいで素敵だよね。
ん、どうしたの？
「貴方は誰ですか」……おっと、これはちょっと予想外かな。
もしかして私の事、分からない？
ほら、私の顔をよく見て……ダメ？思い出せない？
そっか……それなら自分の名前は？昨日は何してたかとかは？
へぇ、全部思い出せないんだ……
あんなことがあったんだし、仕方ないかもね。
でも……自分の名前が分からないのは大変だね、元々の名前で呼ばれたって、きっと変な感じしかしないよね。
「自分の事は好きに呼んでください」……そっか。
それなら、私が名前を付けてあげるよ。
呼びやすくて、君っぽい……うーん、そうだなぁ……よし、決めた。

「ユウ」っていうのはどう？

貴方とか君ってい意味の英語、これならちょうど良いと思うんだ。
気に入ってくれた？
それじゃあユウ、冷めないうちにご飯、食べちゃお？
ふふ、私の自信作……遠慮しないでいっぱい食べてね。
どうかな、美味しいかな？
良かった……これからもユウのご飯は私が作ってあげるから、食べたい物があったらいっぱいリクエストしてね。

さてと……私はこれから出掛けちゃうけど、ユウはここで良い子にしててね。
独りは寂しいと思うけど、だからって私の事を追いかけてきちゃダメだよ？
心配しないで、この家に足りない物とか……あとは掃除の道具とか、ユウの怪我を治すのに必要な物を買ってくるだけ。
もしかして、痛くないから気が付かなかったのかな？
ユウの腕……お箸を持ってない方、痣が出来てるでしょ。
私が痛み止めを飲ませておいたらしばらくは大丈夫だけど、本当ならすぐに病院に連れて行ってあげたいくらい。
でも、この辺の病院は明日までお休み……そう、だから私が応急処置で何とかしてあげる。
こう見えても私、ちょっとした怪我なら自分で何とか出来るんだ。
怪我する事が多い仕事をしてると、自然に覚えちゃうの……とにかく、私が帰って来るまでは良い子にしててね？
うん、ちゃんとお返事出来て偉いね♪
それじゃあ行ってくるけど──もう一つだけ約束して。
廊下の突き当りにある部屋、あそこは今すっごい散らかってるから、私が良いよって言うまでは絶対に入らないでね？
私、ユウが汚れちゃうのは我慢できないから……ふふ、ありがとう。
それじゃあ行ってくるね。
帰りに何か美味しい物でも買ってきてあげるから、ちゃ～んと良い子にしててよね？

・台本（ゆるボイ！）
昨日までの事が全く思い出せないし（多分）自分の部屋に知らない女の人が居る
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹