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難病持ちの天涯孤独な少女は死神の男に依存する
written by 松平蒼太郎
  • 病院
  • 少女
  • ヤンデレ
  • 依存
  • 闇堕ち
  • シリアス
  • ストーカー
公開日2023年02月04日 20:50 更新日2023年02月04日 20:50
文字数
1785文字(約 5分57秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
人間の少女
視聴者役柄
死神の男
場所
病室→某所
あらすじ
人間の魂の回収を生業としている死神の男は同情の念から、難病を患い、寿命が確定していた少女の元を頻繁に訪れていた。男は彼女の話し相手をしていただけなのだが、彼女の方は満更でも無い様子であった。ところがある日、少女は突然医者から難病を治せるとの通告を受けてしまう。それは寿命が伸びるということであり、つまりは死神の彼と出会えなくなってしまうことを意味していて…?
本編
ちょっと死神く〜ん?あたしをほっぽらかして、どこ行ってたのさー?


え〜?他の魂の回収?


お仕事熱心なのはいいけどさぁ…出来る限りあたしのそばに居てって言ったじゃん。もう忘れたの?


仕事…つまりあたしと仕事だと、仕事の方が大事ってわけだ。死神くんのバーカ。


ふーんだ。デリケートな乙女心を理解しようとしない死神くんなんて知りませーん。


…死神くんがいないと寂しいんだから。


あたし、友達も家族もいないし。


そ。親戚のおじさんがたま〜にお見舞いに来るだけ。


そんな天涯孤独で可哀想な美少女をほったらかすなんて、男としてどーなのよー。


え〜?仮にも乙女に向かってそういうこと言う?


じゃあ恋人になろ?そしたら君もあたしを一番に優先するでしょ?


ぶー、ケチー。つれないなぁ、もう…


…いいよ、謝らなくて。てか、そんなガチ謝りされると、こっちが困るし。


こっちこそごめん。ちょっとわがまま言いたくなって…


けど、死神くんのおかげであたし、死ぬの怖くないんだ。


だってあたしの寿命は決まってて、その時に死神くんが来てくれるんでしょ?


死神くんは顔見知りだしねー。顔見知りに魂回収されるだけなら、全然怖くない。


この世に未練もないしねー。一人の人間がただ難病で死ぬってだけ。


もしかしてさ…あたしの境遇が可哀想すぎて、話し相手になってくれてんの?


ふふっ、そっか。意外と正直なんだ。


まぁ何でもいいけどねー、あたしは。


気軽に話せる相手、ずっと欲しかったし。


看護婦さんとかお医者さんは忙しいからねー。あたしに構ってる暇なんてないわけだし…


だからこれでも結構感謝してるんだ。死神くんのこと。


いつもありがとね。仕事があるんなら行ってきていいよ。


…うん、待ってる。あたしの最期、ちゃんと見届けてね?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


嘘、ですよね…?あたしの病気が治るって…


だ、だって…!治療困難な病気で、絶対治らないって…!


い、いえ…その、そういうわけでは…


はい…よろしくお願いします…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…あ、死神くん。ごめん、ボーッとしてた。


な、何…?大事なお知らせって…


寿命が伸びた…?マジ?


ふ、ふーん…そうなんだ。じゃあ死神くんがここに来る理由も無くなるってわけだ。


い、いいんじゃない?死神くんも仕事が減って楽になったでしょ?さっさと他の魂でも回収に行けば?


いいから!変な情けかけないでよ!


あ……ごめん。大声出して…


うん…さよなら。元気でね…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


やっほー。死神くん、みーつけた♪


ふふっ♪ 何でって、見たら分かるでしょ?


死んだんだよ、あたし。


ほら、ちゃんと幽霊?みたいなのになってるし。


…久々の再会だってのにさぁ、何でそんなしけたツラしてんの?ちょっとは喜べよー。


あたしさぁ、やっぱダメだったみたい…


長生きできるようになって、死神くんとお話しできなくなって…


あたし、今まで友達も恋人も家族もいなかったんだよ?


親戚のおじさんは、きっとあたしを重荷に感じてるだろうし…医療費もバカにならないしね。


だから死んだんだ…生きてる理由なんてこれっぽっちも無いし。


…ん、そーいうこと。分かってくれた?


あはは…そっか。死神くんでも回収できないんだ。あたしみたいな魂は、さ…


浮かばれない魂って、あたしみたいなのを言うんだろうね…ホント、何のために生まれてきたんだか…


ねぇ、死神くん…あたし、君がいなきゃダメみたい。


君があたしの唯一の拠り所だから…


君がそばに居てくれないと、死んでも死に切れないよ…


死神くん…あたしを捨てないで。


あたしともっとお話しして?


よく同情するなら金をくれって言うけど…あたしには同情してくれる相手すらいなかったんだよ?


同情でも何でもいいから…死神くんと一緒に居させて?お願い…


…ッ、どうすることもできないなんて言わないでよ…!


あたし、死神くんにまで捨てられたら、どうすればいいの…?


一生この世を独りで彷徨い続けるしかないの?そんなの嫌だよ…


あたし、追いかけるよ…死神くんのこと。


どこに行ったって、ずーっと追い続けるから…


だって死神くんがいないと、無理なんだもん。あたし…


ねぇ…ギュッてしてよ。あたしに君の温もり、ちょうだい?


無理じゃないでしょ?ほらっ、ギュー…!


(抱きしめる)


ハァ…捕まえた♡ もう離さないから…


死神ってこうやって触れられるんだぁ…初めて知った。


幽霊だから、感覚なんて無いはずなのに…すっごく暖かく感じる…


この世の者ではない者同士、これから仲良くしよ?ねっ?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
難病持ちの天涯孤独な少女は死神の男に依存する
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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