0
【男性向け】Othello Syndrome【ヤンデレ】
written by 平 朝臣
  • 先輩
  • ヤンデレ
  • 年上
  • 喧嘩
  • 嫉妬
  • 浮気
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年08月28日 15:52
文字数
2445文字(約 8分9秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
先輩
視聴者役柄
後輩
場所
現代
本編
(部室のドアの開閉音)

...ごめん、ごめん!

レポートの提出で遅くなって...っ。

後輩くんと...新入部員しか、いないのね...。

...それで、君たちはなにをしているの?

後輩くんが新入部員にオセロを教えているのは分かるけど...ちょっと距離が近くない?

まさか、「別のお遊び」に興じていていたわけではないでしょうね?

もしそうなら、ボードゲームサークル次期部長の私としては、看過できないわね。

...っ!

後輩くん...君も先輩の立場になって新入部員を庇いたい気持ちは分かるけど、私は...!

(新入部員がドアに向かって走り去る音)

って、あ、こら、貴女...っ!

(部室のドアの開閉音)

...はぁ、新入部員の娘も、なんていうか...。

...君もよ、後輩くん。

さっきも言ったけど、教えるならまだしも、なんで席を並べて密着する必要があるの?

普通に対面でやればいいだけのことでしょ?

...私が新入部員に嫉妬してる?

...それは、君の自意識過剰ね。

私はただ、無駄に弛緩した空気が気に入らないだけよ。

私が、君の“彼女”であることとは、一切関係ないから。

...まぁ、ひとまずこの話は終わりにしましょう。

今ここで君を問い詰めたところで、埒が明かないからね。

...ちょうどいいわ。

後輩くん、私とオセロに付き合ってくれない?

君はオセロの全日本選手権に出場するんでしょ?

なら、その予行演習として、私と手合わせするのが最善手だと思うのだけど...。

もちろん、無理にとは言わないわ。

君にも拒否する権利はあるんだから。

だけど、もしそうなら、私が納得するだけの理由を説明してもらいたいところだけどね。

どうする、後輩くん?

...ふふっ、ありがと。

じゃあ、まず、ゲームの準備ね。

最初に、石を片付けて...っと。

(先ほどまで盤面に広がっていた石を片付ける音)

次は、黒番と白番を決めましょう。

ここは公式戦のルールに則って、伏せ石で決めるね。

わたしが石を握って伏せるから、君は色を当てて。

もし君が当てた場合、引き分け勝ちの権利か石の色を選ぶ権利、どちらか好きな方を選ぶことができるわ。

でも、当てられなかった場合は、私がそのどちらかの権利を選ばせてもらうね。

異論はない?

...うん。

じゃあ、色を選んで。

...白、ね。

じゃ、色を確かめるよ。

...黒、だね。

なら、私は黒、すなわち先攻を選択するわ。

君は白、つまり後攻側ね。

あとは、石を初期配置にセットして...。

(石を4つ置く音)

...これでOK。

...じゃあ、始めましょう。

私と君、二人の白黒がハッキリするまで、ね...。

(先輩が石を打つ音)

...やっぱり、最初は定石に限るわね。

さ、次は君の番よ。

(後輩が石を打つ音)

...ふぅん、そう来るのね。

なら...。

(先輩が石を打つ音)

(後輩が石を打つ音)

...流石ね。

...前回大会の無差別部門準優勝者だけのことはあるわ。

(先輩が石を打つ音)

...ところで、君はオセロっていうゲーム名の由来を知ってる?

(後輩が石を打つ音)

...ふふ、知らなかったの?

...まっ、君はオセロの実力とは裏腹に、そういう知識には疎そうよね。

(先輩が石を打つ音)

...オセロという名前は、かの有名なシェイクスピアが執筆した戯曲『オセロ』からとられたものよ。

...その理由は、白黒の石がボード上で目まぐるしく裏返るゲーム性が、『オセロ』のストーリーを彷彿とさせるからなのよね。

(後輩が石を打つ音)

(先輩が石を打つ音)

(後輩が石を打つ音)

(先輩が石を打つ音)

...そういえば、君は先週の土日、サークルに顔を出さなかったけど、何をしてたの?

(後輩が石を打つ音)

...答えたくないなら、それでも構わないわ。

...でも、私としては、あの新入部員の娘も休んだのが気がかりなのよね...。

(先輩が石を打つ音)

...しかも、日曜日は私がデートの先約を入れてたのに、前日の夜にいきなり断りの連絡が来たんだから、ますます気になるのよ。

...だから、次期部長としても、彼女としても、理由を把握しておきたいところなんだけど...。

...どうしたの?

...君の番よ?

(後輩が石を打つ音)

...偶然、ねぇ...。

...けど、偶然にしては、あまりにも出来すぎだと思わない?

(先輩が石を打つ音)

(少し考えた後に、後輩が石を打つ音)

...最近の君は、少し目に余るわ。

...私がなにも言わないことをいい気にして、他の女に現を抜かしていると考えても仕方ないでしょ。

(先輩が石を打つ音)

...たしかに、私と君の関係を周囲に秘密にするよう提案したのは、私の方だわ。

...だからこそ、君が他の女と仲良くする様子を見るのが気に食わないのよ。

...私がどれほど我慢しているのかも知らずに...。

...今は君の番よ?

...早くして。

(後輩が石を打つ音)

(先輩が石を打つ音)

(後輩が石を打つ音)

...さっきまでは白の方が多かったのに、すっかり黒に染まっちゃったね。

...いつもの君らしくもないわ。

...あっ...そういえば、言い忘れてたわね。

(先輩が力を込めて石を打つ音)

...実は、先週の日曜日、私は君を尾行していたのよ。

...前日に君がデートを断ってくれたおかげで、暇をもて余してたからね。

...もっとも、せっかくのデートを台無しにされたんだから、君に私を咎める資格なんかないけど。

...だけど、そこで私は見ちゃったんだ。

...君が、あの新入部員の娘と仲良く買い物に興じる姿を、ね...。

...その時の様子は、私のスマホにきっちり収めさせてもらったわ。

...これで、言い逃れはできないわね。

...違う?

なにが違うの?

...たまたま一緒になっただけ?

...ふざけるのもいい加減にして!

(椅子から立ち上がった先輩が後輩の肩を掴み、揺さぶりながら至近距離で問い詰める)

これが浮気じゃなきゃ、なんだっていうの!

もしそうじゃないなら、証拠を出してよ!

あの女なんかどうでもいいっていう証拠を...君が、私を好きだっていう証拠を...っ!

(後輩が先輩の手を払いのける音)

あっ...!

(先輩が尻餅をつく音)

いつっ...。

(後輩が走りながら部室のドアに向かう足音)

...ま、待って!

話はまだ...!

(部室のドアの開閉音)

...くっ!

なんで...。

私は、なにも悪くないのに...。

どうして、後輩くんは...。

...いや、違う。

悪いのは...あの女。

あの女が、後輩くんを誑かして...。

ふふ...そうよ、そうに違いないわ。

なら、話は早いわね。

あの泥棒猫を駆除する一手を、考えなくちゃ...。

ふふっ...後輩くん、安心して。

私が必ず君を取り戻してみせるから...。

ふふふ...ふふふふ...!!
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【男性向け】Othello Syndrome【ヤンデレ】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣
ライター情報
タイラ トモオミ
 初めまして。
 平朝臣と申します。
 ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
有償販売利用の条件
当サイトの利用規約に準ずる
利用実績(最大10件)
平 朝臣 の投稿台本(最大10件)