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【男性向け】お金よりも大切なもの【ヤンデレ】
written by 平 朝臣
  • お嬢様
  • ヤンデレ
  • 学校/学園
  • 告白
  • 敬語
  • 同級生
  • 逆NTR
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年08月28日 15:39
文字数
4254文字(約 14分11秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
お嬢様
視聴者役柄
お嬢様の同級生
場所
現代
本編
(チャイムの音)

あ、そこの貴方、ちょっとお待ちください。

...ええ、貴方のことです。

放課後、少しばかり、わたくしとお話に付き合っていただけませんか?

それも、2人きりで...。

...ありがとうございます。

場所は屋上で構いませんか?

できるだけ、内密にしておきたいことなので...。

...分かりました。

では、わたくしは先に向かっておりますので、これで失礼します。

(お嬢様が教室から歩いて退室する)


(放課後の屋上にて)

(主人公が屋上のドアを開ける)

あ...本当に、来てくれたんですね。

...お忙しいところ、申し訳ありません。

ですが、どうしてもお話したいことでしたので...。

...貴方の、彼女のことなのです...。

校内では話題になっていませんが、彼女の父親が蒸発したと聞き及んでおります。

経営していた会社が倒産した挙げ句、妻子を残して愛人と夜逃げしたらしいですね。

彼女達に残されたものは、莫大な借金のみとのことです。

...なんとも、世知辛い話ですね。

ですが、貴方もまた、苦悩している立場なのですよね?

貴方が難関大学の受験に向けて、毎日勉学に励んでいることは、わたくしもよく知っています。

しかし、彼女の身を案じて、最近は就職活動に手を出しているとも聞いております。

...わたくしが貴方の心中を察するのもおこがましいでしょうが、きっとかなりの葛藤があったのでしょうね。

ですから、わたくしとしても、なにか力になれることがないかと思った次第なのです。

こう言うと失礼でしょうが、貴方も知っている通り、わたくしの家はお金に恵まれております。

父は大企業の社長で、母も有名企業の管理職を務めてますからね。

...もっとも、最近は一家団欒の時間が取れず、夫婦の関係も完全に冷えきっていますが...。

...関係のない話をして、すいません。

そういうことなので、全額返済できるほどの額は用意できませんが、糊口を凌ぐ程度であれば、すぐにでも用意できます。

本来であれば、貴方の彼女に直接話をするべきなのでしょうが、おそらく受け取ってもらえないだろうと判断しました。

ですから、まず彼氏の貴方に話を通して、貴方から彼女に渡してほしいのです。

これなら、彼女も比較的抵抗感を持たないでしょうから。

あとは、貴方の返答次第なのですが...。

...え?

お金は、いらない...!?

ど、どういうことですか?!

わたくしは貴方たちに恩を売ろうとか、そういうことは考えていません!

ただ、純粋に力になりたくて...。

...彼女と自分だけの問題だから、わたくしを巻き込みたくない?

それに、彼女に対する裏切りにもなるって、そんな...。

べ、別に、わたくしは貴方のことが好きというわけでは...。

で、ですが、本当にそれでよろしいのですか?

どれほどの金額かは分かりませんが、返済には相当な時間と労力を要すると思われるのですが...。

...彼女のためなら苦にはならない、ですか...。

...貴方は、立派なお方ですね。

そんな貴方に愛される彼女が羨ましいです。

(小声で)

本当に、嫉妬するくらいに...。

...なんでもありませんわ。

とりあえず、金銭援助の件に関しては、これ以上強要することはいたしません。

ただ、もし困ったことがあれば、その時は遠慮なく頼ってくださいね?

その準備は整えておきますから。

...気持ちだけ受け取っておく、ですか...。

ふふっ...ここまで言われると、わたくしとしても困ってしまいますね。

では、これでお開きといたしましょうか。

少しと言っておきながら、長々と付き合わせてしまって、申し訳ありませんでした。

それでは、失礼します。

願わくは、“貴方”の未来に幸あらんことを...。



(翌日)

(チャイムの音)

あ、貴女、ちょっといいですか?

...ええ、貴女のことです。

放課後、2人きりで話がしたいのですが、お時間の方は大丈夫ですか?

...ありがとうございます。

では、後ほど、屋上で会いましょう。

わたくしは先に行って待っておりますので。

それでは、失礼します。

(お嬢様が教室から歩いて立ち去る)


(放課後の屋上にて)

(彼女が屋上のドアを開ける)

...待っていました。

早速で申し訳ありませんが、単刀直入に言わせていただきます。

貴女...いい加減、彼に甘えるのを止めたらどうですか?

...とぼけても無駄ですよ?

貴女の身辺に関する話題は、わたくしの耳にも届いています。

そして、彼が貴女のために奔走していることも...。

...まさか、知らなかったのですか?

彼女であるにも関わらず、彼が自らの夢を断念してまで貴女に尽くそうとしていることを...。

...呆れました。

これでは、彼が報われませんね...。
 
そう...それこそが、貴女の甘えなんです。

彼の無償の愛に気づかず、ただ享受するだけの姿勢が、わたくしには我慢ならないのですよ。

貴女は自分の不幸を自分だけのものと考えているようですが、それは大きな勘違いです。

彼が貴女を愛している分だけ、彼もまた人知れず苦しんでいるのですよ。

それすら気づけない貴女は、むしろ不幸を振り撒いているのと同義です。

今からでも遅くありません。

貴女は、彼と別れるべきです。

...別れたくない?

はぁ...泣いて駄々を捏ねても、彼を不幸にするだけですよ?

まったく、仕方ありませんね...。

では、こうしましょうか。

わたくしが、貴女を彼から自立させてさしあげます。

といっても、別れさせるわけではありません。

貴女の抱えている問題を解決する方法を与えることで、彼の負担を少なくさせるのです。

ようは、貴女の借金返済への近道を教授するんです。

わたくしの言っている意味は、理解できますか?

...どうやら、貴女も自覚が芽生えたようですね。

なら、話は早いです。

貴女は、「パパ活」というものをご存知ですか?

売春と勘違いされがちですが、肉体関係は必要とされません。

金銭的な支援のかわりにデートをすることで満足感を得られる男性が主な対象です。

バイト以外に賃金を得られない高校生や大学生にとっては、もっとも手軽に稼げる手段ですね。

まあ、わたくしは反吐が出るほど嫌いですが。

なぜこんな話をわたくしが持ちかけたかと言いますと、それはわたくしの両親を取り巻く環境に理由があります。

わたくしの両親は仕事柄、経済的に余裕のある人と繋がりが深いんです。

つまり、わたくしもまた、そういった方々との面識があるというわけです。

そのコネを使えば、貴女に最適なパパ活対象者を紹介することも可能という寸法ですね。

もちろん、お相手はしっかり吟味させていただきます。

それに加えて、金銭面での条件やデートのプランまで、わたくしが綿密にセッティングしてさしあげますから。

あとは、貴女の返答次第ですが...。

...どうしましたか?

もしや、彼に対する裏切りになりかねないと危惧しているのですか?

ふふっ...それなら、心配に及びません。

このことは、わたくしと貴女だけの秘密にすると約束します。

それに、これは彼のためでもあるんですよ?

彼の負担を少しでも減らしてあげることが、彼女である貴女にできる最善の方法なんですからね。

...さて、どうしますか?

...ふふふ...ありがとうございます。

では、詳細については、後日、また2人きりで話し合いましょう。

それでは、失礼します。



(同日、夜)

(お嬢様が誰かに電話をかける)

『...こんばんは、お父様』

『...ええ、例の件についてです』

『...もちろん、彼女の意思については確認しています』

『...分かりました』

『...でしたら、彼女の情報を後で送ります』

『...お気に召すかどうかは、それからでも遅くないでしょう』

『...はぁ...娘のわたくしを斡旋業者のように扱わないでください』

『...わたくしはただ、彼を幸せにする最善の手段をとっただけです』

『...決して、お父様のためではありませんから』

『...お父様はせいぜい、お母様にばれないように気をつけてください』

『...では、おやすみなさい』

(お嬢様が電話を切る)



(数日後)

(チャイムの音)

あっ、貴方、少しお待ちください。

実は、また2人きりでお話がしたいのですが、よろしいですか?

...ふふ、ありがとうございます。

では、前と同じく、屋上で構いませんか?

...はい、分かりました。

では、わたくしは先に向かっています。

それでは、失礼します。

(お嬢様が教室から歩いて立ち去る)


(放課後の屋上にて)

(主人公が屋上のドアを開ける)

...貴方が来るのを、ずっと待っていました。

ふふふ...こう言うと、なんか恋人のように聞こえてしまいますね。

...もっとも、今からする話は、貴方の彼女についてなのですが。

それも、以前、貴方にお話したことではありません。

...彼女の、貴方に対する裏切りに関することです。

(お嬢様が主人公に複数枚の写真を見せる)

...これが、なにか分かりますか?

信じられないでしょうが、彼女が貴方以外の男性とデートしていた時の写真です。

見ての通り、お相手は彼女よりも一回り以上年上です。

その目的は、金銭的な援助を得るためとみられます。

そして、中には、ホテルに一緒に入っていく様子も...。

...やっぱり、わたくしが予想していた通りです。

あの女は、目先の金に目が眩んで、貴方を裏切ったんです...!

貴方の愛よりも、お金を選んだんですよ!

こんなこと、許されません...。

いくらなんでも、貴方が可哀想ですよ...。

...やはり、貴方も同じ気持ちでしたか。

(お嬢様が主人公を抱き締める)

...今なら、誰も見ていません。

...ですから、わたくしの腕の中で、思いっきり泣いてください。

(泣く主人公をお嬢様がさらに抱き締め、優しく頭を撫でる)

...よしよし。

...貴方は、なにも悪くありません。

...悪いのは、あの女ですからね。

...大丈夫...大丈夫...。

(しばらくして、主人公が落ち着きを取り戻す)

...もう、大丈夫ですか?

...そうですか、良かった。

...それで、貴方はこれからどうするんですか?

あの女に裏切られた貴方は、これからなにを頼りに生きていけばいいのか、分からないはずです。

一度潰えた夢を追うのも、それはそれでいいのかもしれません。

ですが、貴方一人だけでは、それも難しいのではないですか?

...もしよろしければ、わたくしになにか手伝わせてください。

これは、貴方への同情や義務感からではありません。

わたくしが、貴方へ日々募らせていた想いによるものです。

今、それを貴方へ伝えたいと思います。

わたくし...貴方を愛しています。

貴方に会った時から、ずっとこの想いは変わりません。

お金やしがらみに囚われない、貴方の純粋で真っ直ぐな生き方に、わたくしは惹かれたんです。

...傷心中の貴方にこんなことを言うのはおかしいと思われるでしょうが、これがわたくしの偽らざる想いなのです。

ですから、どうか...わたくしを、貴方のお側に置かせてください。

っ...。

...ぇ?

ほ、本当に、よろしいのですか?

...あ、ありがとうございます!

ふふっ...わたくし、今、幸せです。

ようやく、手に入れられたんですから...。

お金では買えない、「お金よりも大切なもの」を...。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
【男性向け】お金よりも大切なもの【ヤンデレ】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
平 朝臣
ライター情報
タイラ トモオミ
 初めまして。
 平朝臣と申します。
 ヤンデレを題材にしたシリアスな作品が多めですが、耳かき系も少数ながらありますので、どうぞお楽しみください。
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