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結婚式を挙げるのでパティシエの敬語妹にケーキを頼んだらヤンデレ化した。
written by ゆあ
  • ヤンデレ
  • サイコパス
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
2727文字(約 9分6秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
視聴者役柄
場所
指定なし
あらすじ
【設定】
由緒あるお家柄の兄妹。
兄は実業家。誠実で優しい。
妹はパティシエ。お店を経営している。
本編
<シーン1 自宅>

(兄がドアを開ける音)

ーキッチンにて背中を見せる妹ー

……そこにいるのは、婆やなの……?
夜遅くまでごめんなさい。
心配しないでいいから……今は一人にしてくれないかしら……。

ねぇ、お願い ……って、あら………お兄様でしたの……!
おかえりなさいませ………!
いつの間にお戻りでしたのね……。

お兄様、ほら…… 観てください……!
このウェディングケーキも、あと少しで完成します……!

なかなか、見栄えの良い物に仕上がっていますでしょう………?
えへへ……。ありがとうございます。

お兄様の結婚式に華を添える……大切な一品ですもの。
久しぶりにわたしも腕がなりましたわ……!

さすがはプロのパティシエだけあって、芸術作品みたいだ!って
もう、お兄様ったら………褒めすぎですよ(照)
きっと毎日、お店のことだけでも忙しいはずなのに、申し訳ないって………。

いいえ。そんなこと………お気になさらないで。

それより、お兄様……。
いよいよ挙式が明日に迫りましたね……。
お兄様とこのお屋敷で過ごす時間も、あとわずかです……。

あれだけ一緒に過していたのに……。
時の流れというものは、本当に早いですね。
お兄様……覚えていますか?
幼い頃は、このお屋敷が巨大迷路のようで
迷子にならないように、お兄様はいつも、わたしの手を引いて下さいました……。

庭園の中を冒険したり、花のかんむりを作ったり……今も昨日のことのように、思い出しますわ……。

わたしったら、いつまでも経っても、お兄様のお側を離れたくなくて……。
ずっとこのまま、毎日が続くものだと……信じていましたの。

初めて両親から、お兄様の縁談を聞かされた時は………気が動転してしまってわたし………ごめんなさい。

あの時は、愛のない結婚だなんて、乱暴な言い方でお兄様を困らせてしまって………。

結納を決めたのは、今まで育てて頂いた両親に、少しでも恩返しがしたかったから。
だから、財閥のお嬢様との縁談を持ちかけられた時も、素直に言うことを聞いたのですね。

………お兄様は本当にお優しいです。

だから、わたしのことはもう気になさらないで。……大丈夫!もうお兄ちゃんっ子は卒業しますから……!えへへ。

わたしも、その内素敵な男性と巡り合うはずだって…………?
お兄様ったら、急に何を言うんです……(照)
そんな人はいませんから………。

それに、小さい頃から思い出の詰まったこのお屋敷を出て行くなんてしたくありません。
だって……………、

あ、いえ………こちらの話でしたね。
それより、そろそろ仕上げの作業に戻らなくちゃ。

ん………、どうかしました……?
そういえば最近、わたしの顔がやつれて見えるって?
それも日に日に……酷くなっているようで
どこか具合でも悪いのか?って………。
嫌ですわ!ただの仕事疲れですよ。
もう、いいですから!作業の邪魔をしないで欲しいです………。

あ、あの、お兄様………。
今夜はぐっすりお休みになって下さいね。
明日の結婚式………
わたしも、心待ちにしていましたから。


<シーン2 式場>


ー新郎新婦のケーキ入刀ー
ー真っ白のケーキから赤い液体が溢れ出すー
ー場内の人々がざわつき始めるー


どうです……お兄様……。
妹お手製のウェディングケーキはお気に召されましたか………?
ケーキ入刀で溢れ出した、その赤い液体が物珍しいでしょう………。
赤黒いそれをよく……ご覧になって……。
それは、苺ソースなのではなく………わたしの体を流れていた『鮮血』です………。


ー途端に場内から悲鳴が飛び交うー


ここに招かれた者たち!よく聞きなさい!
先ほど式場まわりに大量のガソリンを巻いて来たわ!ここまで火が回るのも時間の問題よ!!
わたし達と心中したくなければ、今すぐ立ち去れ!!!


ーよりパニックになり、逃げ惑う人々ー


あ あは……は………。
やっと、これで全てをさらけ出すことが出来る………。

お兄様………。酷いじゃないですか……。政略結婚だなんて……。
真実の愛は、わたしでしょ……?いつも側に………1番近くにあったのに…………。

そんな女に騙されるなんて、正直、見損ないましたわ………。
どうしても、その女と一緒になりたいのなら、そのケーキのように、わたしを刺し殺してからにしてくれます………?
で、でないと………わたし、気が狂いそうで…………。

待って!何逃げようとしているのあなた……?
まだパーティーは終わっていないでしょ……?

これが見える……?おもちゃじゃないの………本物の拳銃よ。
今からあなたの醜いその面の皮を、剥いであげるから。

お兄様……、その女は嘘つきです……!
お兄様という存在がありながら、別の浮気男とも関係を続けていました。

世の中のことは全てお金で解決できると思い込み、だからお金と権力には目がないようです………。

お兄様……!その女が裏で、どんな陰口を叩いていたかいたか教えて差し上げますね………、
『世間知らずの馬鹿息子が、いいカモになってくれた。』って……。
嘘じゃない!!録音テープで証拠を押さえているから、今更何を言っても無駄よ…………!

お兄様の愛を裏切った罪は
万死に値するわ………、
……………死ね!!!


ー乾いた銃声音が響くー


あは……は………殺しちゃった…………、
でも…………いいザマね。

お兄様?………怖いの………?怖くないでしょ……?
だって、ねぇ………わたし………お兄様の為に、頑張ったんだよ………?
お兄様が、間違った人生を歩まないように………。

ああ、それよりお腹が空いていたでしょ……?
ねぇほらそこにあるケーキ、ちゃんと召し上がって?
せっかくわたしが精魂を込めて作ったんだから。
……食べてくれないと、お兄様のことも撃ち殺すわよ…………。

ああ……!あはは!あはははは!
美味しい!?ねぇ、そうでしょ!!
わたしの鮮血がたっぷり染み込んだケーキを
そんなに口いっぱい頰張っちゃって!!

嬉しい……!わたし嬉しいよぉ!!
だって、そんなに血みどろでも食べてもらえるなんて!!
それって………わたしの命を食べてくれているのと同じだよねぇ?!!

……………………。

お兄様………。
よかった………、食べてもらえて………。
毎晩、ボウルにしたたり落ちる血を眺めていたら………
黒く……よどんだ………ワインのように深みがかった、真っ赤なその血溜まりが
わたし達の誓いの盃(さかずき)のように思えたから………。

お兄様に、食べてもらえて、ようやく一つの願いが叶ったみたい………。

もう昔のことだけど、わたし達は……もともと別々に迎えられた養子だったわね……。
両親からは兄妹として育てられたけど、ある時お庭で一緒に遊んでいたら……
お兄様は、わたしにこう囁いたわ。

「僕は君が好きだよ。」
「いつか、2人だけで式を挙げよう。」

そして、シロツメクサの指輪をはめてくれたのよ………。

あの日の約束、忘れたとは……言わせないんだから………。

お兄様………、わたし帰りたいわ………あの日に………。
2人っきりで、お庭遊びを続けるのよ………。
もう、誰が呼んでも、わたし達は帰らないの…………。

あはは………、逃げないで、お兄様…………。
炎が辺りを包んで、今更、助かりっこないわ…………。
余計な手間は取らせないで………。一発で決めてあげるから、そこを動かないで。
悲しいけれど、こうするしかないのよ………。
ゆっくり目を閉じて、もう一度目が覚めたら………

あの日の2人に戻りましょう………!
今度こそ、幸せを手に入れる為に

そうよ、幸せな…………、幸せな……………、

永遠の愛をわたしに誓って欲しいの!!
死ぬ程、愛しているわ!!
だから…………!!


ー乾いた銃声が一発響くー


ーーおしまいーー
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
結婚式を挙げるのでパティシエの敬語妹にケーキを頼んだらヤンデレ化した。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
ゆあ
ライター情報
 ゆあと申します。
 基本、気の向くままに思いのままにをモットーにしています。
 物書きが好き。シチュエーションボイスが大好き。
 コツコツ活動しますので、以後お見知りおきを。
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