破壊の限りを尽くす妖狐を討伐せんと、軍団を指揮する将軍の男だったが、彼女の天災ともいうべき力に軍はほぼ壊滅状態。ついに自らの手で直接彼女を討たんと決意するが、苦戦を余儀なくされて…？

ふむ…ここまで暴れれば、そろそろあの男も自ら前線にやって来るじゃろうて…


む？なんじゃ、まだ刃向かう気概を持った雑兵がおったか。じゃが…


(武器を持って向かってくる兵に一撃を入れて気絶させる)


妾を相手にするには力不足が過ぎる。腕を鍛えて、出直してくるんじゃな。


お…ようやく来たか！待っておったぞ、将軍！


(男に斬りかかり、鍔迫り合いに持ち込む)


ふふふ…我が一撃を防ぐとは、流石は将軍。やはり妾の見込んだ通りじゃ。


断る。妾は災厄をばら撒く狐…自ら歩みを止める道理など存在せぬ。どうしても止めたくば、妾をその手で打ち滅ぼして見せよ！


(男と刀で打ち合う)


良いぞ…将軍とのチャンバラごっこは、愉快で仕方ない。もっと本気で打ち込んできて良いのじゃぞ？


ははは…！ほんにお主は、妾を楽しませてくれる…！


ほぅら…奥の手があるなら、使っても構わんぞ？幸い、周りには誰もおらぬし…お主の心配する余計な人的被害とやらは出ずに済むと思うが？


む…雷を纏った刀とはな。雷使いの妾を相手に同じ属性の攻撃を当てにこようとは、なかなか粋な計らいじゃな。ますます気に入ったぞ。


構わんぞ？妾は逃げも隠れもせぬ。お主の渾身の一撃、正面から受け止めてみせよう…こい。


(男から全力の一撃を受け、倒れ伏す)


ガハッ…！ぐ、これは、想像以上、じゃな…！


ハァ、ハァ…うむ、この場はお主に勝ちを譲ろう…煮るなり焼くなり、好きにするがよい…


…のぅ、しょっ引かれる前に一つ願いがあるのじゃが…お主の胸、貸してはくれぬか…？


頼む…もう反撃はせぬから…妾からの、最後の願いじゃ…


(おぼつかない足取りで、彼に寄りかかる)


あぁ…あったかいのぉ…お主の体温が感じられて、全身が心地よい…


(匂いを嗅ぐ)


良い匂いじゃ…まさに漢の中の漢といった感じの匂いで…妾好みの匂いじゃ…


うむ…もう満足した。妾のこと、連れ帰ってよいぞ。


……どうした？妾を主君のところまでしょっ引くのではなかったか？


くくく…はは、ははは…！


将軍ともあろうものが、このような女狐の策略に引っかかるとは…言ったであろう？妾は雷を使う妖狐であると。名は体を表すとの格言通り、この身体は常に雷を身に纏っておる。


そのような状態の妾を抱きしめてしまえば…麻痺状態になるのは当然じゃ。そこまで頭が回らんかったか？それとも、妾の色香に惑わされたか？


くく…まぁ、どちらでも良いがな。指一本、碌に動かせんお主が妾に抵抗する術(すべ)は、最早存在せぬ。諦めて、妾の夫となれ。


何を言っておる？殺すつもりであれば、最初からこの刀でその柔首(やわくび)を掻っ切っておる。夫にするのであれば、生け捕りにせねば、意味がなかろう？


それにしても…先ほどは良い太刀筋であった。まさか本当に一撃を入れられるとは思わなんだ。全身がとっても痺れたぞ♡ 乙女の身体に傷を入れた責任は取ってもらわねばな♡


ははっ…！当然であろう？将軍、お主だけじゃ…お主だけが、妾とまともに相対することができる。お主こそ、妾にふさわしい相手というわけじゃ♡


お主の本気の想い、この身体でしかと受け止めた…妾もお主の嫁となる覚悟を決めよう。文句はあるまいな？


ふふ…全身が痺れて、口も碌に聞けぬか？仕方あるまい…では今回は特別に、妾から誓いの口付けを交わしてやろう…


(接吻)


これで契約成立じゃな…今宵から、妾とお主は夫婦(めおと)じゃ。正式な婚姻の儀は我が故郷で結ぶとしよう。んしょっ、と…


(お姫様抱っこ)


このまま妾に掴まっておれ…故郷までひとっ飛びじゃからな。この国に別れを告げるならば、今のうちじゃぞ？


ふふ…ようやく動かせた口から出た言葉が憎まれ口とは…可愛い旦那様じゃな♡ これはますます可愛がってやらねば♡


では、行こうか…妾たちが存分に愛し合える所へ、な？

・台本（ゆるボイ！）
【逆プロポーズ】雷を司る妖狐の電撃婚姻作戦
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎