- 恋人同士
- 最期
公開日2022年11月11日 18:36
更新日2022年11月11日 18:36
文字数
2243文字(約 7分29秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
男性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
彼氏
視聴者役柄
献身的彼女
場所
病室
あらすじ
病は重く、どうやら先も長くないという彼と、彼のため、毎日病室に見舞いに行くあなた。
今日は、何かを察しているかのように彼の気はいつも以上に重く、いつも以上にあなたとの時間を大切そうにしている。
あなたの気持ちについて、不安を抑えられない彼と、そんな気持ちにどこまでも寄り添うあなたの一幕。
今日は、何かを察しているかのように彼の気はいつも以上に重く、いつも以上にあなたとの時間を大切そうにしている。
あなたの気持ちについて、不安を抑えられない彼と、そんな気持ちにどこまでも寄り添うあなたの一幕。
本編
(SE:引き戸を開ける)
(終始か弱い声で・適宜荒い呼吸を入れる)
来て、くれたんだ……
ごめん。
本当にごめん。
こんな僕で、こんなあなたを振り回してばかりで。
……最低だよね、こんな彼氏じゃ。
そんなことない?
それは、嬉しいけれど……
でも、最低なのは、そういうところなんだよね。
って、あなたにこんなこと、ぶつけても何の意味もないんだけど。
たぶん、今日が最後になるかもしれないのに、こんなどうしようもない話で終わるのは、僕も嫌かな。
あなたの辛そうな顔、見たくないから。
……彼氏として。
今じゃ……こんな僕じゃ、あなたに、してあげられることなんて、何にもないのかな。
そもそも、僕はあなたのために、これまでも、何をしてあげられてたんだろうって、思ってしまうんだ。
もう、ここにいるのも長いし、デートだとか、一緒に恋人としての時間を過ごせたわけでもない。
いつもここに来てくれて、それは僕にとっても、心細かったから嬉しかった。
けれど、あなたの顔はいつも悲しそうで、笑顔すらも気持ちの重さを隠せてなかったよ。
あなたとの思い出は、もはや、ここで明るく振る舞ったやりとりばかりで。
密かに、心配してるんだ。
あなたは、僕の前じゃ頑張ってるけど、見えないところで、涙を流してるんじゃないかって。
僕の前じゃ、想像すらさせたくないからって、余計に陰で苦しくなってるんじゃないかって。
何よりも、逆だったら、僕だって演じてしまうような気がするから。
それが、優しさだって考えちゃうのかな。
……ねえ、どうしたの。
やめてよ、逆だったらよかったとか。
あなたにこんな運命、背負って欲しくないよ。
それに、あなたなら、こんな僕がいなくたって……
えっ……ご、ごめん。
勝手に、大丈夫だって、思っちゃってた。
でも、あなたが僕の前で、弱さを隠そうとするからだよ。
いや……そうだよね。
僕だって、あなたの本当の気持ちをちゃんと思えてなかった。
あなたがどんなに忙しくても、ここには毎日来てくれること。
僕は、つい僕のためとばかり思ってた。
僕から会おうとなんて、したくても、出来やしないんだもの。
もちろん、僕のことを思ってくれてるあなたのことを、否定するわけじゃないんだ。
だけど、それだけじゃない。
会ってないと、あまりにも自分が心細すぎる、ってことなのかな。
それに、時間もあまりないし、たった一日が、後悔になるかもしれないから。
でしょ?
あなたのこと、ただでさえ苦しいだろうから、できるだけ締め付けたくなかったけど……もう、思ってたこと、言ってもいいよね?
多分、同じだよ。
僕だって、いつだって、心のどこかで思わずにはいられないほど、あなたのことが必要だった。
あなたがいてくれるだけで、心は何もかも違ったから。
自分の運命を、少しだけ忘れられる気さえした。
だって、天井をぼんやり見ていても、窓の向こうを眺めても、やっぱり頭から離れないんだもの。
あなた以外にはそんなこと、出来ないんだ。
そんな、特別なあなただから、一緒の時間をもっと幸せで満たしたいし、もっと、時間が欲しかった。
テイクアンドテイクぐらいのバランスでも、恋人っていう意識は僕にも、根強くあるみたいだね。
ねえ……どうしても、聞かせてもらってもいいかな。
こんな僕だから、いつも不安で、聞くのも怖かったんだけど……
本当は、見放したいとか、思わなかった?
恋人として、支え合うどころか、あなたへ、負担を強いてばかりで、時に僕は、身勝手にもあなたに不安定な心をぶつけたりもしてしまった。
ただでさえ、彼氏なんだから、あなたのことを引っ張ってあげられる強さくらい、必要だと思うのに、あなたを求めてばかりで。
(ここから徐々に衰弱していくように)
わざわざ、つらい思いをしてまで、他人の苦しみなんて、背負わなくてもよかったのに。
見放して、よく言う、上書き保存みたいに、新しい出会いをしてくれれば、その方が楽だったと思う。
僕は、そうだったとしても、恨んだりしないのに。
(彼女、抱きしめる)
……そ、それは、どういう気持ちなの?
抱きしめてくれる意味が、わかんない……
だけど……だけど……
何で、だろう……
ずっと、これが欲しかった気分……
あなたの気持ちも、なんとなく、わかる気がする。
ごめんね。
やっぱり、何もかもに、不安で、不安で、あなたの、強い、僕を思う気持ちを、疑ってしまうようなこと、考えてしまうんだ。
でも、そんなの、必要なかったんだね。
ずっと、あなたに溺れていて、よかったんだね。
あなたが、とっても優しい人でよかった。
あなたが、恋人でいてくれて、よかった。
ずっと、思ってなかったわけじゃ、ないんだ。
だけど、それ以上に、僕が、あなたのためにいられないことが、心苦しくて、ずっと、素直に感謝すら言えなかった。
言うタイミングは、きっと、いくらでも、あったはずなのに。
ごめんね。
こんなに、わがままで。
自分しか、見えてなかった。
なんだか、気付くには、遅すぎる気も、するけれど……
でも、どうしても、あなたへの、確かな形が、ほしい。
あなたが、いくら言ってくれても、自分で、恋人として、してあげたことを、何か、一つでも、感じていたい。
あなたの願いを、叶えさせてほしい。
(間)
……ああ、僕、ちゃんと、その言葉も、言ったこと、なかったなぁ。
恋人なのに、恥ずかしがって。
本当は、もっと、伝えて、いかなきゃ、いけなかったのに、この、一度しか、あなたに、言えないんだね。
……好きだよ。
本当は、ずっと、思ってた。
安心して。
明日も、その先も。
これから、どれだけ経っても、変わらないから。
あなたのことが……心の、底から、好き……だよ……
(数秒無音)
(終始か弱い声で・適宜荒い呼吸を入れる)
来て、くれたんだ……
ごめん。
本当にごめん。
こんな僕で、こんなあなたを振り回してばかりで。
……最低だよね、こんな彼氏じゃ。
そんなことない?
それは、嬉しいけれど……
でも、最低なのは、そういうところなんだよね。
って、あなたにこんなこと、ぶつけても何の意味もないんだけど。
たぶん、今日が最後になるかもしれないのに、こんなどうしようもない話で終わるのは、僕も嫌かな。
あなたの辛そうな顔、見たくないから。
……彼氏として。
今じゃ……こんな僕じゃ、あなたに、してあげられることなんて、何にもないのかな。
そもそも、僕はあなたのために、これまでも、何をしてあげられてたんだろうって、思ってしまうんだ。
もう、ここにいるのも長いし、デートだとか、一緒に恋人としての時間を過ごせたわけでもない。
いつもここに来てくれて、それは僕にとっても、心細かったから嬉しかった。
けれど、あなたの顔はいつも悲しそうで、笑顔すらも気持ちの重さを隠せてなかったよ。
あなたとの思い出は、もはや、ここで明るく振る舞ったやりとりばかりで。
密かに、心配してるんだ。
あなたは、僕の前じゃ頑張ってるけど、見えないところで、涙を流してるんじゃないかって。
僕の前じゃ、想像すらさせたくないからって、余計に陰で苦しくなってるんじゃないかって。
何よりも、逆だったら、僕だって演じてしまうような気がするから。
それが、優しさだって考えちゃうのかな。
……ねえ、どうしたの。
やめてよ、逆だったらよかったとか。
あなたにこんな運命、背負って欲しくないよ。
それに、あなたなら、こんな僕がいなくたって……
えっ……ご、ごめん。
勝手に、大丈夫だって、思っちゃってた。
でも、あなたが僕の前で、弱さを隠そうとするからだよ。
いや……そうだよね。
僕だって、あなたの本当の気持ちをちゃんと思えてなかった。
あなたがどんなに忙しくても、ここには毎日来てくれること。
僕は、つい僕のためとばかり思ってた。
僕から会おうとなんて、したくても、出来やしないんだもの。
もちろん、僕のことを思ってくれてるあなたのことを、否定するわけじゃないんだ。
だけど、それだけじゃない。
会ってないと、あまりにも自分が心細すぎる、ってことなのかな。
それに、時間もあまりないし、たった一日が、後悔になるかもしれないから。
でしょ?
あなたのこと、ただでさえ苦しいだろうから、できるだけ締め付けたくなかったけど……もう、思ってたこと、言ってもいいよね?
多分、同じだよ。
僕だって、いつだって、心のどこかで思わずにはいられないほど、あなたのことが必要だった。
あなたがいてくれるだけで、心は何もかも違ったから。
自分の運命を、少しだけ忘れられる気さえした。
だって、天井をぼんやり見ていても、窓の向こうを眺めても、やっぱり頭から離れないんだもの。
あなた以外にはそんなこと、出来ないんだ。
そんな、特別なあなただから、一緒の時間をもっと幸せで満たしたいし、もっと、時間が欲しかった。
テイクアンドテイクぐらいのバランスでも、恋人っていう意識は僕にも、根強くあるみたいだね。
ねえ……どうしても、聞かせてもらってもいいかな。
こんな僕だから、いつも不安で、聞くのも怖かったんだけど……
本当は、見放したいとか、思わなかった?
恋人として、支え合うどころか、あなたへ、負担を強いてばかりで、時に僕は、身勝手にもあなたに不安定な心をぶつけたりもしてしまった。
ただでさえ、彼氏なんだから、あなたのことを引っ張ってあげられる強さくらい、必要だと思うのに、あなたを求めてばかりで。
(ここから徐々に衰弱していくように)
わざわざ、つらい思いをしてまで、他人の苦しみなんて、背負わなくてもよかったのに。
見放して、よく言う、上書き保存みたいに、新しい出会いをしてくれれば、その方が楽だったと思う。
僕は、そうだったとしても、恨んだりしないのに。
(彼女、抱きしめる)
……そ、それは、どういう気持ちなの?
抱きしめてくれる意味が、わかんない……
だけど……だけど……
何で、だろう……
ずっと、これが欲しかった気分……
あなたの気持ちも、なんとなく、わかる気がする。
ごめんね。
やっぱり、何もかもに、不安で、不安で、あなたの、強い、僕を思う気持ちを、疑ってしまうようなこと、考えてしまうんだ。
でも、そんなの、必要なかったんだね。
ずっと、あなたに溺れていて、よかったんだね。
あなたが、とっても優しい人でよかった。
あなたが、恋人でいてくれて、よかった。
ずっと、思ってなかったわけじゃ、ないんだ。
だけど、それ以上に、僕が、あなたのためにいられないことが、心苦しくて、ずっと、素直に感謝すら言えなかった。
言うタイミングは、きっと、いくらでも、あったはずなのに。
ごめんね。
こんなに、わがままで。
自分しか、見えてなかった。
なんだか、気付くには、遅すぎる気も、するけれど……
でも、どうしても、あなたへの、確かな形が、ほしい。
あなたが、いくら言ってくれても、自分で、恋人として、してあげたことを、何か、一つでも、感じていたい。
あなたの願いを、叶えさせてほしい。
(間)
……ああ、僕、ちゃんと、その言葉も、言ったこと、なかったなぁ。
恋人なのに、恥ずかしがって。
本当は、もっと、伝えて、いかなきゃ、いけなかったのに、この、一度しか、あなたに、言えないんだね。
……好きだよ。
本当は、ずっと、思ってた。
安心して。
明日も、その先も。
これから、どれだけ経っても、変わらないから。
あなたのことが……心の、底から、好き……だよ……
(数秒無音)
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ヤンデレとか書きます。
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