あなたは担当ホストと同棲中。
だけれど他の指名客との関わりがあることが、仕事とわかっていても気分がよくない。
それを彼に伝えると、様子が一変して……

当作品は、自主開催企画「白と黒のシチュボ台本」“黒”の参加台本です。
台本使用上の規約等の違いはありませんので、安心してお使いください。

ん、ただいま。

いや、何？
ジロジロ見られると、なんか気持ち悪いんだけど。

あー、これ？
客から。

前にさ、誕生日もうすぐだからー、って言ったら、それ、覚えてたみたいで。
今日の指名で、プレゼントだって、渡してきた。

つけてみてって言うからさ、しゃーなしに本人の目の前でつけてさ。
まぁ、少なくとも本人の前でプレゼントって言って貰ったネックレスを外すなんて、心証最悪じゃん？
そんでそのまま、帰るまで外すの忘れてたってわけ。

ベタだけど、いいとこのいい感じのやつみたいだし。

しっかし、面倒なのはあれ、多分、お前みたいな感じなんだよな。
明日以降の指名でさ、もしつけてなかったら、「アタシの、つけてくれないんだ」って、怒るのが想像できる。

しっかし、もっと俺が人気だったら、首元ジャラジャラだな。
趣味悪そ。

あっ、待って違うから。
お前が面倒って言ってるわけじゃなくて、お前以外にそういう態度取られるのが嫌ってだけ。
気を許せるのは、お前だけだから。

わかったか？

ふぅ。

そ、お前みたいって、俺、あの時の会話、覚えてるから。
ほら、この腕時計。

もう今じゃ毎日だけど、同棲前は来るたび左腕の方、確認してたもんな。
気にするのもわかるな。
これのために、結構頑張ったっしょ？
俺の喜ぶ顔が見たい～的なやつ？

いやさ、軽く見えるかもしれんけど、これでもこっちだって結構気に入ってんのよ。
割と、無意識にチラチラ見ちゃうっていうか。
お前のなんだな、とか思ったり。

うん、ありがと。

だから、いくら他の人から腕時計は貰っても、外す気はないかな。
どうぞご安心をー。

んへ？
何？ネックレスにも嫉妬してるの？
他の女のは身に付けんなって？
ほんっと、お前は可愛いくらいに面倒なヤツだよなぁ。

うーん、仕事柄、悪いけど簡単には答えられない話だなぁ。
そうだな、お前がいいの、くれるんだったら考える。
俺はお前のモノだって、見せつけさせてあげる。

えっ、やるなら全身？
お前、それって、コーデ一式ってことだよな？
いやいや、あんま背伸びすんなって。
売上直結で責任重大なんだから、俺だってすっげー気ぃ遣うし、その分は素直に直接貢献してくれた方が助かるわ。

結局、そこが全て、みたいなもんだし。
ナンバーワンの彼女に、なれたらお前も嬉しいだろ？

あー、今月？
まあまあいい感じだし、お前が無理しない程度に押し上げてくれれば十分かな。
キツくなった月の分のために回しといてくれる方が今はありがたいかも。
ってか、俺がキツくても無理させるもんじゃないけどさ。

まあ、気持ちの分だけでも、ずっとそばで支えてくれるだけで十分嬉しいから。
もちろん、その支えが力強い方が、嬉しくはあるけど。

んじゃ、おやすみ。
いつも、こんな遅くまで待っててくれてありがと。
俺もさ、いつものごとくプライベートみたいな連絡とかしなきゃいけなくて。
だから、先寝てて。

あ？
何、急に。

無理？
無理って、他の女とやり取りすんなってこと？
もうそれ、俺に、この仕事、辞めてほしいってことになるけど。

一番じゃないって、あのさ、こうやって同棲してる女のこと、どう考えたらナンバーワン以外だってことになるわけ？
これ以上ない特別扱いだよな？

冷たいって、はぁ……
俺さ、最初に言ったよな？
家なんて寝床でしかないから、大して構ってあげられないってさ。

こういう仕事してる以上、どうしても他の女とも触れないわけにもいかねぇからさ、ちゃんと一人一人見てやんないと客なんて簡単に離れてくし。

いや、だから見せんなって、不安になるって、俺がこういうもんだってわかってて一緒になったんじゃないのかよ！？

どうせ独占する分なんか出せないのにさ、身の丈に合わない望み描いてんじゃねぇよ。
いいだろ、俺だってちゃんとここに帰ってきてんだから。

あー、もう、つべこべうっさいなぁ！

（SE:男、女を押し倒す）

（囁き）お前は俺のモノなんだからさ、俺に文句言ってんじゃねぇよ。

他の女だとか一番だとか言ってっけど、俺のモノなのはお前ただ一人だけなんだからな？
それ以外は全員客ってだけ。

あー、あれか？
むしろ、俺の他の女に対する彼氏ヅラのフリが上手すぎたってわけ？
悪いな、嫉妬させちゃう振る舞いなんかして。

でもなぁ、俺だって、お前に言いたいこと、あるんだよ。

お前だって他の男と仲良くしてんだろ。

俺にばっか不誠実みたいに言うけど、ちゃんとわかってんだよ。
冷たいとか言って、当て付けのつもりだか知らねぇけど、そしたら同罪、だよな？

お前を俺の一番にしてやる代わりに、お前にとって俺が唯一でいてくれって、最初に言ったの、忘れたのか？
お前の気持ちは、忘れる程度のものだったのか？

ホントさぁ、いい加減にしろよ。

（囁き）従えよ、お前は俺のモノなんだから。

まあ、いい。
ここからは所有物専用サービス。
不満ばっかでうるさいくせして、約束を破った所有物ちゃんには相応のお仕置きを。
他の女には決してやってやんねぇコト、やってやんよ。

これが嬉しいんだろ？
お仕置きだって言ってんのに、求めまくって喜ぶとか、マジ意味わかんねぇけど。

なあ、何で黙って俺のこと、じぃーっと見つめてんだよ。
気持ち悪いんだけど。

何？
待ってんの？

いや、もう何度目だよ。
これからどうなるか、わかってんならさぁ、何すればいいか、わかるよな？

脱げよ。

うわ、躊躇いとかないのかよ。
素直なヤツめ。

あぁー、明日もあるってのに、俺も簡単にお前の挑発に乗せられて。
始めちまったもんはしょうがねぇ、俺も、なんだかんだその気にさせられてるわけだ。

（囁き）お前のせいだからな？

あー、所有物ごときに気を惑わせられるとは、俺もまだまだなのか、教育がまだまだなのか……

とにかく、俺に逆らえないようにしてやらないとな。
二度と、口答えなんて出来ないような従順な俺の女にしてやるよ。

もう、謝っても、止めねぇから。

・台本（ゆるボイ！）
恋とは心なき混色の破滅・黒
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩