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闇路ランデヴー
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • クール
  • ドライブ
  • 誘拐
公開日2024年05月31日 18:59 更新日2024年05月31日 18:59
文字数
2482文字(約 8分17秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
女友達
視聴者役柄
指定なし
場所
車内
あらすじ
偶然帰り道で遭遇し、「車で家まで送るよ」とあなたを誘ってきた女友達。
しかし気付けば車は家から遠い場所を走っていた。
あなたを騙した彼女は思いつきだと言うけれど、その本当の目的は……

():読み方に関する指示・役の動作(効果音の発生するもの)
[]:場面指定・変更

[@車内]
本編
 (SE:走行音、終始)

どう?
この辺りまで来ると、いよいよ遠くに行くんだなーって感じ、しない?
引き返すなら、今のうちだけど。

なーんてね。
帰してあげない。

そういえば、最初君には家に送るって言って車、乗せたんだっけ。
ごめんね。流石に気付いてると思うけど、嘘なんだ。

なんかさ、君のことたまたま見かけたらさ、なんか、一緒に遠くまで行きたいなーって思っちゃって。
よくわかんないけど。

それでさ、まあ正直に言ったって君が誘いに乗るとは思えなくてね。
悪いことしたとは思ってるよ。

たまにはこんなのもいいだろう?
毎日同じことの繰り返しなんてつまらないものだよ。

私さ、ちょっと、時々こんな感じで滅茶苦茶なことするんだ。
いつもはあんまり人を巻き込まないし、大したことないことばっかなんだけど、今回ばかりはきまぐれゆえ、ね。
運が悪かったとでも思ってもらって。

こんなのに惚れられたところから、なんてさ。
いや、なんでもない。

それよりさ、楽しい話をしようか。
君の前でどうしようもない自虐したって面白くないし。

なんて、そんなことより君はこれからこの車がどこへ向かうのか……つまり、私たちの未来を知りたい、と。

嬉しいことを言ってくれるじゃないか。

あ、今否定したな!?
そんなつもりでは言ってないって。

そりゃ、そんなんじゃないことぐらいはわかってるけども、わざわざ否定しなくたっていいじゃないか。
せっかくの気分に水を差さないでくれ。

あー、はいはい、答えればいいんでしょ答えれば。

うーん……

わからないなぁ。

違う、意地悪とかじゃない。
本当に私も考えてないんだよ。

君を見て一緒に遠くに行きたいって思ったって言ったよね?
そのまんま「遠く」としか頭の中になくてさ。
選択肢とかすらない。

あー、今君、じゃあ帰ろうかってなるの、期待したな?
残念なお知らせをするとね、それだけはありえないんだ。

だって一番面白くないし。
ここまで来たら、私にとっても後には引き返せないし。

……ねえ君さ、私のこと、好きかな?

らしくないとか言わずに。
知りたい。

ふーん。
その好きって、友達として?

なかなかお人好しなんじゃない?
こんな身勝手に振り回されても好きなんて言ってくれるの、そうそういないと思う。

嘘でも嬉しいよ。
今、そんなことないよって言おうとしてくれてるところまで。

いいよ、君の本心と言葉の答え合わせはしたくない。
興味ないな。

ねえ、やっぱ私、君から見たらいつもと変かな。

変か。
知ってた。

じゃあさ、なんで、だと思う?

私が君のこと、好きだから?

まあ、それは、そうだね。
でも、それはずっと前からそうだったんだよ。

関係なくはないんだけど、好きだから変っていうのは、私の中じゃあまりにも単純すぎるかな。

あと鈍感って言ってあげた方がいい?
んはっ。

それは君が悪いって言うものじゃないよな。
気持ちが伝わってほしいなら、はっきりと伝えるべきだと、私は思う。

何もしないなんて、後悔しかないし。

やっぱ私変だ。
君の前で平静を保てない。

何がしたいんだろうね、私。
いや本当、何がしたいんだろう。

そもそもこういう感情に慣れていないっていうか、落ち着けないっていうか。

忘れてって言ったらさ、今日私に会ってからの全部、忘れてくれたりする?

間があったね。
やっぱもう、戻れないんだ私たち。

ここまで来たら、いっそ全部ぶちまけた方がいい、よな。

あのさ、私……私たちのこと、誰も追いかけてこないところまで行きたいんだよね。

だから君を乗せて走ってるんだけど、思いつきが過ぎたかな、なんて。

行ったきり、もう戻れない場所があるなら、そこで君とずっと。

なんかさ、駆け落ちみたいだと思わない?

うん、本気。
ずっと考えてた。
どうすれば、君と生きていけるかなって。

だって、まともに告白したって断られる気がしたし。
上手くいったところで、君が離れていく理由なんて数えたくないくらいある。

考えれば考えるほど、こんな滅茶苦茶なことするしかないなって。

私、こんな人間じゃなかった。

君は罪な人だね。
恋は時に人の本当の心を解き放つらしい。

私は、好きなものに溺れて生きていきたいんだ。
邪魔するものは全部必要ない。
現実なんて向き合いたくない。
常識なんていらない。
幸せだけを感じて生きていたい。
たったひとつ、大切で揺るがないよりどころが欲しい。

私、君のことだけを考えて生きていたい。

告白もしてない相手に浴びせていい感情じゃないな。

それを言い出したら、私のやってること全部そうなんだが。

まあいい、言ってしまった通りだ。
君とどうか、結ばれたいと願ってやまないばかりに心が滅茶苦茶になってしまったのが今の私というわけ。
否定も肯定も好きにすればいい。

けれど、君はもうこの車に乗ってしまったんだ。
それを君の肯定と捉え、どこまでも私に付き合ってもらうおうか。

なんて、滅茶苦茶なルールだろ?

まあ、何でもよかったんだよ。
どんな手段でも、君というものが確かに手に入るというのなら。

私が卑怯だと言われようと、たったひとつ、私のもとに君がいるかいないかだけが、私には全てだからさ。

ねえ、ここまで滅茶苦茶なことを言われても、私のこと好きなんて、言える?

そう。
でも、それならそれでいいんだ。

今の君はさ、本当の君って感じがする。
友人として、優しさで心を隠してた君より、もっと好きかもしれないな。

まあ、スタートラインとしては妥当なところだろうか。
ここから、時間をかけて私の気持ちを浴びせ続けたら、本当の君の好きが聞ける。
そう思えるだけで今の私にはもう至福。

私が君のことだけを考えて生きていきたいように、君にも思ってもらえたら、もう何もいらないかな。

なんかもう、君のことばかり考えているからか自然と顔がにやけてしまう。
こんなだらしないところ、見せたって恥ずかしいだけなんだが。

まあいいや。
遅かれ早かれ、お互い全てを知ることになるはず。

知りたいよ、君のこと。
ふたりきり、知らない場所で生きていくとしたら君は、私を大切だと思ってくれるだろうか。
私のことしか考えられなくなったとしたら君は、どんな気持ちをぶつけてくれるのだろうか。

私たちの未来、か……

ねえ、私たち、どこへ行こうか。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
闇路ランデヴー
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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