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包容力のある雪男との出会い
written by 松平蒼太郎
  • 人外 / モンスター
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1398文字(約 4分40秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
お、目が覚めたようじゃな。大丈夫か?痛むところとかないか?

開口一番、人のことをデカイって言えるなら上等じゃな。

あぁ、ここは山小屋の中じゃ。お前さん、雪の中でぶっ倒れてたからのう。

放っておくと凍え死んでおったから、わしがここまで運んできたというわけじゃ。

ん?わしか?わしはこの辺に住む妖怪じゃ。人間からは雪男と呼ばれとるがのう。

ははは、そげに警戒せんでもよかろう。すべての妖怪が人間に危害を加えるわけじゃあない。これでも自分では善良な妖怪じゃと思うておる。

ま、そんなことよりほれ、スープでも飲まんか?大丈夫じゃ、ゲテモノじゃありゃせん。ちゃんと人間でも食べられるように作っておる。

まだ手がかじかんでるからアーンしてくれ、とな。わかった、ほれ、口を開けい。

どうじゃ?美味いか?……よしよし、それならよかった。この場で吐き出されたらどうしようかと思うた。

それよりお主、なんであんなところで行き倒れとったんじゃ?

なるほどのう。山登りしていたら急に天候が変わって、視界も悪くなって、ついには道に迷うてしもうたと。

そりゃあ災難じゃったのう。ま、吹雪が止むまでここでゆっくりしていくとええ。

ん?どうした?……お主を助けた理由か?いや、別にこれといった理由はないが。

妖怪は人間を食べるものだと思っていたのか。そりゃ偏見というやつじゃ。

さっきも言ったであろう。すべての妖怪が人間に危害を加えるわけではないと。

わしはここで静かに暮らしとるだけじゃ。こがいなとこに人間なんて滅多に来やせんからのう。ちょっと物珍しさもあって助けたのは否定せん。

そろそろ自分で食べられるか?よし、じゃあほれ、お前さんの分の飯じゃ。おかわりもたくさんある。遠慮せずに食うとええ。


おう、お粗末様じゃ。……眠くなってきたか?そこに横になるとええ。それともわしの膝を貸してやろうか?

お、おう…冗談のつもりだったんじゃが、ええんか?

そかそか。たしかに人間からしたら、雪男の膝枕なんてそうそう体験できるもんじゃないからの。

ほれ、ここが空いとるぞ。硬くて寝にくかったら、普通の枕か座布団を貸してやるけえ。

大丈夫そうじゃな。よし、ついでに頭も撫でてやろう。よしよし……

はは、さすがに子守唄は無理じゃ。すまんのう。…なんじゃ、冗談か。人間の小娘が妖怪をからかうものではない。まったく…

もう眠いか?あぁ、遠慮せずに眠るとええ。

わしはこのままでも大丈夫じゃ。基本寝るのは昼間じゃし、座ったまま眠ることも日常茶飯事じゃからな。

うむ、おやすみ。良い夢をみれるとええな…


おはよう。よく眠れたか?……そうか、そいつは重畳。朝飯もついでに食っていけ。

お粗末様じゃ。…いや、片付けはこっちでやっとくから大丈夫じゃ。それよりお前さんは早よ下山した方がええ。

今は天気もええし、下山するには絶好の気候じゃ。途中まで送ってやるけえ。

いまさら遠慮することもなかろう。それにここがどの辺かも把握しとらんじゃろ?道案内はあった方がええと思うんじゃが。

わかればよし。それじゃ、わしは先に外に出とるから、準備ができたら出てきてくれ。


おし、ここからなら帰り道もわかるじゃろう。もう人里が見えるじゃろ?

うむ、ここでお別れじゃ。……なんじゃ、そげな寂しそうな顔するな。(頭わしゃわしゃ)

はは、すまんすまん。それじゃあの。……そうじゃな、生きてたらまた会えるじゃろ。

だからといって、わざと遭難はするなよ。……うむ、わかっとるならええ。達者でな。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
包容力のある雪男との出会い
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎
ライター情報
マツダイラソウタロウ
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