- 告白
- 切ない
- 幼なじみ
- タイムカプセル
公開日2025年09月28日 02:41
更新日2025年10月04日 10:58
文字数
3526文字(約 11分46秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
田舎に住んでいる、今は離れ離れの幼馴染
視聴者役柄
大学生くらいの、上京した青年
場所
故郷
あらすじ
十年経ったから掘り出しに行こう。
幼馴染からそう言われるまで、タイムカプセルなんてものを埋めたことはすっかり記憶の箪笥の深いところで埃をかぶっていたのだが、いざ思い出してみると埋めた場所どころかあのステンレスの缶の中に入れた手紙の内容まで脳裏に再現できてしまうから不思議なものだ。
……そうか、もう十年が経ったのか。
「ね。どうかな。私の夢、叶うかな」
こっちの台詞だよ。
そんな皮肉を飲み込んで、今、2人の時計が動き出す。
幼馴染からそう言われるまで、タイムカプセルなんてものを埋めたことはすっかり記憶の箪笥の深いところで埃をかぶっていたのだが、いざ思い出してみると埋めた場所どころかあのステンレスの缶の中に入れた手紙の内容まで脳裏に再現できてしまうから不思議なものだ。
……そうか、もう十年が経ったのか。
「ね。どうかな。私の夢、叶うかな」
こっちの台詞だよ。
そんな皮肉を飲み込んで、今、2人の時計が動き出す。
本編
(ベルを鳴らして、鍵のかかっていない引き戸を開けて玄関に入る)
(幼馴染が奥から顔を出して)
お、来た来た。
時間ぴったり。
相変わらずだね。
それじゃ、さっそくで悪いけど出かけるとしようか。
十年前の夢を迎えに行こう。
(2人、並んで歩く、田舎道)
(何も変わらない、故郷の道)
それにしても、早いものだねぇ。
あのタイムカプセルを埋めた頃は、十年後なんて想像もできないくらいの遠い未来だと思ってたし、掘り出す時にはすっかり立派な大人になってるものだと信じてたのに。
過ぎてしまえば、呆気ないし、素っ気ない。
1分前も十年前も過去は過去だし、私はいまだに、私を大人だなんて言えっこない。
何にも変わってないような気がしちゃうよ。
私は私のまま、あなたもあなたのまま。この町もこの町のまま……全部、全部そのまんま、それでも、十年が経った。
いいことなのか悪いことなのかはわからないし、そんなの私が決めることじゃないとも思うけど……今は、よかったね、って言いたい気分かも。
(川沿いの交差点に差し掛かる)
あ、ここを右だよ。
……なんて、あなたが道を忘れてるとも思えないけど、一応ね。
(なおも続く、2人きりの散歩道)
……そのまんま、ってさっきは言ったけれど。
よくよく考えるまでもなく、この十年で変わったことがないわけはないよね。
お互い背が伸びて、顔つきが大人っぽくなって、言葉遣いもある程度覚えて……私はおっぱいが大きくなったし、あなたは声が低くなった。
私は大学には行かずこの町に残って家の仕事を手伝う道を選んだけれど……あなたは、今じゃすっかり、都会の人。
……あははっ。
そんなことない、って言いたそうな顔してる。
でも、あるんだよ。
ひとつひとつは小さな……何気ない仕草とか言い回しとかに、「ああ、この人は普段、私と違う場所で過ごしてる人なんだな」って思う瞬間がさ。
あなたがこっちに帰ってくるたび、少しずつ、少しずつ、それは確実に増えていってる。
……ああ、もちろん、嫌だって言ってるわけじゃないんだよ?
そういうものなんだなぁ、ってだけ。
大事なことは何も変わってなくても……変えられてなくても、私たち自身も気づかない間に、一歩、また一歩、思い出の姿からは遠ざかっていく。
……だからこそ、嬉しいな。
今日、こうして、一緒の道を歩いていられるるのが、本当に嬉しい。
……なんて、言葉にしちゃうとわざとらしくて、白々しく聞こえちゃうかな?
(小さな川を渡って、風の通り道をなぞって)
(かつて毎日通った道を、今一度)
よーし、見えてきた!
……ふふっ、学校の裏山なんて、いつ以来だろ?
昔は毎日のようにあそこで遊んでたのに、今はもう、何の用もないからわざわざ近づかない場所になっちゃったなぁ。
……ああ、そういえば、聞いた?
この学校、今いる子たちが卒業したら廃校になるんだって。
あと2年、って言ってたかなぁ。
建物はそのまま保存して何かしらで利用するつもりらしいけど、まだ具体的にどうするのかは決まってないみたい。
公民館みたいなものになるか、どこかの会社に払い下げてその後を任せるか……いずれにせよ、私たちの母校は、アルバムの中にしか残らない。
すごく寂しいことのはずなのに、心のどこかで仕方ないなって思ってるのは……私も少しは、成長してるってことなのかもね。
……え?
……うん、そうだね。
間に合って、よかった。
(校庭を大回りに迂回して、学び舎の裏へ)
(記憶のままの裏山に入る)
え〜〜っと……。
百葉箱の裏からまっすぐ登って……あ、これが兎のお墓だから、そこから右に行って……。
……あった!
ここだよ、ここ!
ほら、この杭だよ、間違いない!
針金で作ったお花の目印、ちゃんと残ってたよ!
……懐かしいなぁ……先生に教えてもらいながら、2人で3日くらいかけて作ったよね。
そっか、そっか……ずっと、守っててくれてたんだ……。
……よーし!
すぐにも掘り出そう……と、言いたいとこだけど。
ごめん、スコップ借りてくるから、ちょっと待ってて?
先生、今日は学校にいるはずだし、すぐ戻ってくるから。
(片手持ちのスコップを二つ持った彼女が戻ってくるまで、しばし待つ)
(杭を引き抜いて、土を掘り始める)
……ふふつ……。
(手を動かしながら、彼女が目を細める)
覚えてる?
これを埋めた、あの頃のこと。
タイムカプセルなんてくだらない、どうせ忘れてほったらかしになるのがオチだ……って最初はツンケンしてたのに、じゃあ私が1人でやるって拗ねた途端、やらないとは言ってない、とか慌てて訂正してさ。
教室で中に入れる手紙を書いている時も、図工室で針金相手に四苦八苦してた時も、穴を掘るのに疲れて半ベソかいてた時も……あなたはずっと、そっぽ向きながら隣にいてくれて。
……ほーんと、素直じゃなかったよねぇ?
……ふふっ、あはは!
そんなにバツが悪そうにしなくたっていいじゃない。
昔話の、笑い話だよ。
今さら気にしたってしょうがないよ?
……それにさ。
当時のあなたがそういう人だったから、私は……。
(カツン、とスコップの先に金属が当たる音がして、言葉が途切れる)
あっ!
(急いで掘り起こす)
よかったぁ……ちゃんと無事だ……。
いやまあ、もちろんそうだろうとは信じてたけど、やっぱりこの目で見るまでは不安だったからさ……。
うんうん、土で汚れてはいるけれど、ひどく腐食してる様子もないし、雨水とかが中に入ってるって感じもしない。
これなら、中の手紙も大丈夫だね。
……え?
……え〜〜?
いいの?
私が開けちゃっても。
なんか緊張するなぁ……でも、そっか。そもそもこのタイムカプセルは私が言い出したことだもの、そりゃあ、責任持って私が開けないといけないか。
……じゃあ……。
いい?
開けるよ?
(ステンレスの缶の封が解かれ)
(中に眠っていたのは、二通の手紙)
(青い封筒と、赤い封筒)
(それぞれに、それぞれの名前が記された、ありし日の夢の軌跡)
……あは。
あははっ!
すごい、あの頃の私の字だ!
もう会うこともないと思ってたのに!
……こんにちは、十年前の私。
お手紙、ありがとう。
早速だけど、読ませてもらうね。
(自分の名前が書かれた封筒を手に取って)
(ゆっくり、大事に、封を切る)
(中に入っていた、拙い字が踊る便箋に、一文字一文字目を通す)
ふふふ……。
ふふっ、くふふ、あはははは!
(薄っすら涙を浮かべながら、彼女は笑う)
なんて……。
なんて正直なの、私!
ねえ見てよ、「十年後の私は、素敵なお嫁さんになれていますか」だって!
ふふっ……そう、そうだ、そうだった!
あの頃の私は……ううん、あの頃から私は、ずっと同じ夢を見てきたのに。
いつからかその夢を恥ずかしいって思うようになって、見て見ぬふりばっかり上手くなっちゃったけど……やれやれ、自分相手じゃ、誤魔化しなんて効くはずないか。
こんなにも純粋に……お相手さんの名前までハッキリ書いて夢を語られたら、知らんぷりなんてできるわけないじゃん。
……あ、こら!
今、目を逸らしたでしょ!
……ちゃんと見て。
ここに。
この手紙に。
この夢に。
誰の名前が書いてあるのか。
わからないなんて、言わせないよ。
(念を押されるまでもない)
(その名前を一番よく知っているのは、自分自身に他ならないのだから)
ね。
どうかな。
私の夢、叶うかな。
……ううん。
違うね。
叶うかな、じゃないよね。
……一緒に、叶えてくれますか?
(答えなんて、とっくに決まっている)
(もしかしたら、タイムカプセルを埋める、ずっと前から)
……ふふ、ふふふっ……!
ああ……すごく、ほっとした……。
その答えを聞くために、私、十年も待ったんだもの。
あるいは、十年も踏み出せなかった、とも言えるかもしれないけど……でも、その時間は私にとって、長くもあり、短くもあり、苦しくもあって、心地よくもあって……。
ん〜〜……!
なんか、上手く言えない!
とにかく、だよ!
……ありがとう。
私と、同じ夢を見てくれて。
もっとも、だからっていきなり明日にも書類取りに行こう、ってわけにはいかないし、しばらくはその一歩手前の時間を楽しむことになるんだろうけど……ふふっ、十分。ただの幼馴染じゃなくなっただけで、私は満足だよ。
(清々しい顔で深呼吸をして)
……さて!
それじゃ、帰ろっか!
手を繋いで。
できればちょっとだけ、遠回りして。
来た時と戻る時の景色がはたしてまったく同じに見えるのか、一緒に確かめようよ。
(立ち上がって、土を払って、手を繋いで)
……あ、家に帰る前にスコップ返さないと……っていうか、そうだ、あなたの手紙に何て書いてあったのか、私、教えてもらってないや。
……え〜?
いいじゃん、減るもんでもないんだし。
私ばっかり打ち明けるんじゃ不公平じゃん。
……ちょ、ちょっと!?
そんな露骨にはぐらかさないでよ!
ねえってば〜!
(いつも通り、明るく、騒がしく)
(だけど昨日までとは少しだけ違う気持ちで)
(次の十年へ、歩き出す)
(幼馴染が奥から顔を出して)
お、来た来た。
時間ぴったり。
相変わらずだね。
それじゃ、さっそくで悪いけど出かけるとしようか。
十年前の夢を迎えに行こう。
(2人、並んで歩く、田舎道)
(何も変わらない、故郷の道)
それにしても、早いものだねぇ。
あのタイムカプセルを埋めた頃は、十年後なんて想像もできないくらいの遠い未来だと思ってたし、掘り出す時にはすっかり立派な大人になってるものだと信じてたのに。
過ぎてしまえば、呆気ないし、素っ気ない。
1分前も十年前も過去は過去だし、私はいまだに、私を大人だなんて言えっこない。
何にも変わってないような気がしちゃうよ。
私は私のまま、あなたもあなたのまま。この町もこの町のまま……全部、全部そのまんま、それでも、十年が経った。
いいことなのか悪いことなのかはわからないし、そんなの私が決めることじゃないとも思うけど……今は、よかったね、って言いたい気分かも。
(川沿いの交差点に差し掛かる)
あ、ここを右だよ。
……なんて、あなたが道を忘れてるとも思えないけど、一応ね。
(なおも続く、2人きりの散歩道)
……そのまんま、ってさっきは言ったけれど。
よくよく考えるまでもなく、この十年で変わったことがないわけはないよね。
お互い背が伸びて、顔つきが大人っぽくなって、言葉遣いもある程度覚えて……私はおっぱいが大きくなったし、あなたは声が低くなった。
私は大学には行かずこの町に残って家の仕事を手伝う道を選んだけれど……あなたは、今じゃすっかり、都会の人。
……あははっ。
そんなことない、って言いたそうな顔してる。
でも、あるんだよ。
ひとつひとつは小さな……何気ない仕草とか言い回しとかに、「ああ、この人は普段、私と違う場所で過ごしてる人なんだな」って思う瞬間がさ。
あなたがこっちに帰ってくるたび、少しずつ、少しずつ、それは確実に増えていってる。
……ああ、もちろん、嫌だって言ってるわけじゃないんだよ?
そういうものなんだなぁ、ってだけ。
大事なことは何も変わってなくても……変えられてなくても、私たち自身も気づかない間に、一歩、また一歩、思い出の姿からは遠ざかっていく。
……だからこそ、嬉しいな。
今日、こうして、一緒の道を歩いていられるるのが、本当に嬉しい。
……なんて、言葉にしちゃうとわざとらしくて、白々しく聞こえちゃうかな?
(小さな川を渡って、風の通り道をなぞって)
(かつて毎日通った道を、今一度)
よーし、見えてきた!
……ふふっ、学校の裏山なんて、いつ以来だろ?
昔は毎日のようにあそこで遊んでたのに、今はもう、何の用もないからわざわざ近づかない場所になっちゃったなぁ。
……ああ、そういえば、聞いた?
この学校、今いる子たちが卒業したら廃校になるんだって。
あと2年、って言ってたかなぁ。
建物はそのまま保存して何かしらで利用するつもりらしいけど、まだ具体的にどうするのかは決まってないみたい。
公民館みたいなものになるか、どこかの会社に払い下げてその後を任せるか……いずれにせよ、私たちの母校は、アルバムの中にしか残らない。
すごく寂しいことのはずなのに、心のどこかで仕方ないなって思ってるのは……私も少しは、成長してるってことなのかもね。
……え?
……うん、そうだね。
間に合って、よかった。
(校庭を大回りに迂回して、学び舎の裏へ)
(記憶のままの裏山に入る)
え〜〜っと……。
百葉箱の裏からまっすぐ登って……あ、これが兎のお墓だから、そこから右に行って……。
……あった!
ここだよ、ここ!
ほら、この杭だよ、間違いない!
針金で作ったお花の目印、ちゃんと残ってたよ!
……懐かしいなぁ……先生に教えてもらいながら、2人で3日くらいかけて作ったよね。
そっか、そっか……ずっと、守っててくれてたんだ……。
……よーし!
すぐにも掘り出そう……と、言いたいとこだけど。
ごめん、スコップ借りてくるから、ちょっと待ってて?
先生、今日は学校にいるはずだし、すぐ戻ってくるから。
(片手持ちのスコップを二つ持った彼女が戻ってくるまで、しばし待つ)
(杭を引き抜いて、土を掘り始める)
……ふふつ……。
(手を動かしながら、彼女が目を細める)
覚えてる?
これを埋めた、あの頃のこと。
タイムカプセルなんてくだらない、どうせ忘れてほったらかしになるのがオチだ……って最初はツンケンしてたのに、じゃあ私が1人でやるって拗ねた途端、やらないとは言ってない、とか慌てて訂正してさ。
教室で中に入れる手紙を書いている時も、図工室で針金相手に四苦八苦してた時も、穴を掘るのに疲れて半ベソかいてた時も……あなたはずっと、そっぽ向きながら隣にいてくれて。
……ほーんと、素直じゃなかったよねぇ?
……ふふっ、あはは!
そんなにバツが悪そうにしなくたっていいじゃない。
昔話の、笑い話だよ。
今さら気にしたってしょうがないよ?
……それにさ。
当時のあなたがそういう人だったから、私は……。
(カツン、とスコップの先に金属が当たる音がして、言葉が途切れる)
あっ!
(急いで掘り起こす)
よかったぁ……ちゃんと無事だ……。
いやまあ、もちろんそうだろうとは信じてたけど、やっぱりこの目で見るまでは不安だったからさ……。
うんうん、土で汚れてはいるけれど、ひどく腐食してる様子もないし、雨水とかが中に入ってるって感じもしない。
これなら、中の手紙も大丈夫だね。
……え?
……え〜〜?
いいの?
私が開けちゃっても。
なんか緊張するなぁ……でも、そっか。そもそもこのタイムカプセルは私が言い出したことだもの、そりゃあ、責任持って私が開けないといけないか。
……じゃあ……。
いい?
開けるよ?
(ステンレスの缶の封が解かれ)
(中に眠っていたのは、二通の手紙)
(青い封筒と、赤い封筒)
(それぞれに、それぞれの名前が記された、ありし日の夢の軌跡)
……あは。
あははっ!
すごい、あの頃の私の字だ!
もう会うこともないと思ってたのに!
……こんにちは、十年前の私。
お手紙、ありがとう。
早速だけど、読ませてもらうね。
(自分の名前が書かれた封筒を手に取って)
(ゆっくり、大事に、封を切る)
(中に入っていた、拙い字が踊る便箋に、一文字一文字目を通す)
ふふふ……。
ふふっ、くふふ、あはははは!
(薄っすら涙を浮かべながら、彼女は笑う)
なんて……。
なんて正直なの、私!
ねえ見てよ、「十年後の私は、素敵なお嫁さんになれていますか」だって!
ふふっ……そう、そうだ、そうだった!
あの頃の私は……ううん、あの頃から私は、ずっと同じ夢を見てきたのに。
いつからかその夢を恥ずかしいって思うようになって、見て見ぬふりばっかり上手くなっちゃったけど……やれやれ、自分相手じゃ、誤魔化しなんて効くはずないか。
こんなにも純粋に……お相手さんの名前までハッキリ書いて夢を語られたら、知らんぷりなんてできるわけないじゃん。
……あ、こら!
今、目を逸らしたでしょ!
……ちゃんと見て。
ここに。
この手紙に。
この夢に。
誰の名前が書いてあるのか。
わからないなんて、言わせないよ。
(念を押されるまでもない)
(その名前を一番よく知っているのは、自分自身に他ならないのだから)
ね。
どうかな。
私の夢、叶うかな。
……ううん。
違うね。
叶うかな、じゃないよね。
……一緒に、叶えてくれますか?
(答えなんて、とっくに決まっている)
(もしかしたら、タイムカプセルを埋める、ずっと前から)
……ふふ、ふふふっ……!
ああ……すごく、ほっとした……。
その答えを聞くために、私、十年も待ったんだもの。
あるいは、十年も踏み出せなかった、とも言えるかもしれないけど……でも、その時間は私にとって、長くもあり、短くもあり、苦しくもあって、心地よくもあって……。
ん〜〜……!
なんか、上手く言えない!
とにかく、だよ!
……ありがとう。
私と、同じ夢を見てくれて。
もっとも、だからっていきなり明日にも書類取りに行こう、ってわけにはいかないし、しばらくはその一歩手前の時間を楽しむことになるんだろうけど……ふふっ、十分。ただの幼馴染じゃなくなっただけで、私は満足だよ。
(清々しい顔で深呼吸をして)
……さて!
それじゃ、帰ろっか!
手を繋いで。
できればちょっとだけ、遠回りして。
来た時と戻る時の景色がはたしてまったく同じに見えるのか、一緒に確かめようよ。
(立ち上がって、土を払って、手を繋いで)
……あ、家に帰る前にスコップ返さないと……っていうか、そうだ、あなたの手紙に何て書いてあったのか、私、教えてもらってないや。
……え〜?
いいじゃん、減るもんでもないんだし。
私ばっかり打ち明けるんじゃ不公平じゃん。
……ちょ、ちょっと!?
そんな露骨にはぐらかさないでよ!
ねえってば〜!
(いつも通り、明るく、騒がしく)
(だけど昨日までとは少しだけ違う気持ちで)
(次の十年へ、歩き出す)
クレジット
ライター情報
シチュエーション台本やASMR台本を主に書いています
シチュボというかボイスドラマというか、リアリティラインは微妙な塩梅ですが、楽しんでいただけると嬉しいです
シチュボというかボイスドラマというか、リアリティラインは微妙な塩梅ですが、楽しんでいただけると嬉しいです
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