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ネガティブ司書さんの告白
written by シガ爺
  • お姉さん
公開日2021年06月05日 18:00 更新日2021年06月05日 18:00
文字数
1823文字(約 6分5秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
司書
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
本編
(全体的にオドオドした感じで)
あの、ご予約されてた本が届いていますよ。
今日借りられますか?
はい、分かりました。手続きをするので、少しお待ちください。

お待たせしました。こちらが予約されていた本です。
それで、あの、今日この後お時間よろしいですか?
私、今日早上がりなので良ければ少しお話ししませんか?

ほ、本当ですか!?ありがとうございます!
それじゃああと少ししたら終わりますから、表の喫茶店で待っていてください。

お待たせしてすいません。
あ、それさっき借りられた本……ですよね。
えへへ、読んだらまた感想聞かせてください。私、あなたの本の感想を聞くの大好きなので。
それで、ですね。

お話なんですけど……その、私…あなたの事が好き……なんです。
あの、突然こんな事言ってごめんなさい。
でも、もう我慢できなくなってしまって。
どうしても、伝えなきゃ明日から生きていける気がしなくて。

なんで俺のことを好きになったのか?ですか。
ええっと、それは。
あなたの選んだ本、今まで読んできた本覚えてますか?
あれ、全部私の大好きな本なんです。
でも、誰に勧めても「面白くない」って言われちゃって。
それなのにあなたは自分であの子達を手にしてくれた。
それも、毎回面白い、ここが良かったって感想まで言ってくれた。
私はそれを聞いて、私は独りぼっちじゃなかったんだって、私の好きって気持ちは間違ってなかったって思えたんです。

そんなふうに考えてたら、気づいたときにはあなたの事ばかり考えるようになってて。
初めは本が好きって気持ちだけだったはずなのに、いつの間にかあなたの事が好きって気持ちで心がいっぱいになってたんです。

あ、あの、すいません。
私なんかに告白されても困りますよね。
いえ、その、分かってます。分かってますから。
私、昔から本の虫で。
人とおしゃべりするのも苦手で。
今だって急にあなたに告白して困らせて。
ほんとに自分がダメなやつだって分かってるんです。
あの、困らせてしまってごめんなさい。
わたしは気持ちを伝えられただけで満足ですから。
あなたの事が好きで、あなたに救われた馬鹿な女がいたって事が伝えられただけで充分すぎますから。
それだけで良いんです。
えっと、今日はお時間取らせてしまってすいませんでした。
こ、ここのお支払いは私がしておくので、さっきの本、ゆっくり読んでてください。

本当にありがとうございました。
あなたを好きになれて、幸せでした。
まるで小説のヒロインになったみたいで、幸せな夢を見れました。
それじゃあ、さようなら。
これからもいっぱい素敵な本を読んでくださいね。

えっ……え?あの、その。
手、離してください。
だめです。だめなんです。
今離れなきゃわたし、本当にあなたの事が好きになっちゃう。
本当にあなたの事が好きになって、諦められなくなっちゃうじゃないですか。
そばで見ているだけの片思いじゃ満足できなくなっちゃいます。
だから、この手を離してください。
一時の情けで私みたいなのに関わったらだめです。
お願いです。希望を……持たせないで。
初めから諦めるなら耐えられますから。
でも希望を、あなたの温もりを知ってしまったらもう戻れなくなる。
一度握られた手を離されるのは……とても苦しいんですよ?
今ならまだ、無かったことに出来ますから。

嫌だ…?自分が沢山本を読むようになったのは私に好かれたかったから???
う……嘘ですよぉ…そんなわけないでしょう。
私が哀れに思えたからそうやって優しい言葉をかけてるんですよね。
違う??私の好きそうな本を探して、話しかけていたのがその証拠?
え、でも、だって。そんなの分かるわけ……!
……それ、昔私の作ったパンフレット?
まさかそこに書いてある本全部読むつもりだったんですか!?
そのパンフ、ひゃ、100冊も選んだから上司に怒られたんですよ!?
それを、全部!?

ふ、ふふっ。ふふふっ‼︎
あ、あなたって変な人なんですね。
す……すいません!
いえ、あの。馬鹿にしているんじゃなくて。
私みたいな読書馬鹿に付き合ってくれる人がこの世にいるなんて思っていなかったので…。嬉しくなってしまったんです。

……ほんとに私のことが好き、なんですよね?
そう、ですか。
私も、あなたが大好きです。
今まで読んだ本のどんな主人公よりも、どんな王子様よりもあなたが好き。
私も、あなたに釣り合うような素敵な女性になれるように。
あなたの心が、どんな女の子を見ても揺らがないように。
可愛くなって、あなたを虜にして見せますから。
それまでずっと、一緒にいてくださいね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ネガティブ司書さんの告白
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シガ爺
ライター情報
 シガ爺と申します。
 ゆるゆるとフリー台本を書いている、しがない物書きです。
 ヤンデレ、人外娘、いちゃらぶ、年上ものが好きでよく書きますが、最近は他にも書けるように色々試してみてます〜。
 ご縁のあった方はお楽しみくださいませ。
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