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あなたに恋するVtuber
written by 惹尾くろん
  • 告白
  • ラブラブ
  • 甘々
  • 純愛
  • 少女
公開日2021年06月25日 19:18 更新日2021年06月25日 19:18
文字数
2113文字(約 7分3秒)
推奨音声形式
ステレオ
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
Vtuber
視聴者役柄
リスナー
場所
画面越し
あらすじ
あなたが活動初期から応援してきたVtuberの登録者達成記念配信後、なかなか切れない配信画面を不思議に思っていると、彼女は自分に向かって話し出した。思い出を語る彼女は、自分に恋をしていると言いだして……
本編
 はぁい、それじゃあ今日の配信はここまでにしておこうと思います。
 今日も見てくれてありがとう!
 登録者達成の記念配信、楽しすぎて長引いちゃった。
 コメントも沢山くれて、嬉しかったよ。
 それじゃあ、また明日の配信で会いましょう! バイバーイ。

 ……なんで配信切れないんだろう、って思ってる?
 ふふ、だってそんな顔してるもの。
 あなたに話しかけてるのよ。あ・な・た。
 画面の前でぽかんとしてるの、見えてるよ?
 何で、って、そりゃあ私、バーチャル世界の住人だし。
 画面越しにリスナーの顔を見るくらい、頑張ればできちゃうんだよ。
 慌てなくて大丈夫だよ?
 配信外で覗いてたことはないから。
 それに、この会話だって他の人には聞かれてないし。
 今は二人っきりの秘密の配信だよ。

 緊張してるの? さっきから固まっちゃって。
 それとも、びっくりしちゃった?
 そうだよね、突然だもんね、仕方ないよ。
 ……うーん、どうしようかな……いつも通りでいいかな?
 私がお話するから、少し聞いてもらえる?

 そうだなぁ、どこから話そうかな。
 まずは、私たちの出会いから? って、もう知ってるか。
 まだ全然配信に人が来てくれなくて、がむしゃらに一人で頑張ってた頃。
 たくさんの輝く星の中で、輝く前の石ころだったあの日。
 アンチコメントが来て泣きそうだった所に、声をかけてくれたよね。
 あの時の「大丈夫だよ」の一言でね、すごく、すっごく救われたんだ。

 それから時々配信に来てくれるようになって、いろんなお話をしたね。
 最初はまばらだった人も段々と増えてきて、沢山のリスナーからコメントを貰えるようになって。
 すごい速さで流れていくコメント欄の中でも、何故かあなたの文字だけはよく目についてね。
 つい贔屓して読んじゃうこともあったっけ。ふふ、まだまだ未熟だったなぁ。
 コメント読みに偏りがあるって言われて、はじめて気づいたの。
 もしかしたら、この気持ちはリスナーと配信者のそれじゃないのかもしれないって。

 それでね、いけない事だって解ってはいたけど……
 配信が終わる間際、画面越しに覗いてみたの。
 楽しかった、ありがとうってコメントを打ちながら、すごく優しく笑ってた。
 一目惚れ、って言うのかな。すごく顔が熱くなって、胸がキュンとして。
 それから配信がますます楽しみになって、コメントを打ってもらう度、何度も読み返してにやにやして。
 今日は機嫌がいいね、って言われた時は、あなたのお陰だよ! って言いそうになって、慌てて口をふさいだんだよ。

 それでもね、他のリスナーとの差を付けちゃいけないって、長い事我慢してきたの。
 この気持ちは打ち明けちゃいけないんだって。
 そもそも、私はバーチャルの世界に生きていて、二人の住む場所は次元すら違う。そんな状況で好意を打ち明けられても、困るでしょう?

 だから、何度も悲しくなったし、何度も涙を流した。
 せめて、繋がっていられる配信の時間だけは楽しい瞬間を刻みたくて、今日はどんな話をしよう、どんなゲームや歌を紡ごう、って沢山悩んだ。
 そうして最高の配信をしようと頑張るほど、活動も評価されていって。

 沢山の人に好きを伝えてもらって、私もみんなの事が大好きで。
 でもね、やっぱり一番は、唯一は、あなただったんだ。

 昨日さ、最初の頃から目標に掲げてた登録者数を超えたでしょう?
 今日の記念配信では、一緒に頑張って来た友達や、ママや、リスナーのみんなにお祝いしてもらったよね。
 もう、天にも昇る気持ちだった!
 おめでとうって言われるたび、心から嬉しくて。
 つい何時間もお話しちゃったんだけどね、少しだけ黙っていた瞬間があったでしょう?

 実はね、あの時、ママからプレゼントが届いていたんだ。
 みんなには絶対秘密、って約束だったから、言えなかったんだけど。
 私ね、三次元の体を貰ったの。
 だから、もう画面越しじゃなくても、あなたに会いに行けるの!

 驚いた? 驚いたよね!
 一緒だよ、私もすっごく驚いた。ママは天才だと前々から思ってたけど、本当に天才だったんだなって!
 何度か三次元に行けたらなぁって話はしていたんだけど、それを叶えちゃうなんて!
 ……それでね、ママに許可を取って、一人だけその事を伝えたい人がいるって言ったの。
 これまでの事や、はじめて恋をした事を話したらね、当たって砕けろ~って、後押ししてくれた。

 だからこうして、二人で話せる時間を作ったんだけど。
 もし、もし嫌じゃなかったら……私とデート、してくれませんか?
 三次元に行くのは初めてだし、あまり物知りな訳でもないから、もしかしたら迷惑をかけちゃうかもしれないけど。
 次元を超えて最初に会う人は、誰よりも大好きなあなたがいい。

 ……好き、です。
 ……だめ、かな?
 ……本当? 嘘じゃない? 気が変わったりしない?
 (泣きそうな声で)うれ、しいっ。
 ……ふぅ、大丈夫、泣かない。嬉しすぎて、目が潤んじゃった。
 明日はお休みの日だったよね? 会いに行っても、いいかな。

 ふふ、はじめてのデートだぁ!
 ドキドキで、今日は眠れなさそう。
 本当にありがとう、これから今までの感謝や好き、沢山伝えていくからね。
 大好き!
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
あなたに恋するVtuber
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
惹尾くろん
ライター情報
 個人Vtuberをしながら台本やシナリオを執筆しています、くろんです。
 得意ジャンルはヤンデレ、退廃、インモラル。
 流行りものも書きます。
 お役に立ちましたら幸いです。
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