体育倉庫に閉じ込められた男女二人。
彼女はおそらくあなたを狙っている。

（ドアを叩く音）
「あのー、誰かいますかー！　誰かー！　助けてください！

……うーん、反応なさそうだね。
どうする？　私達、完全に閉じ込められちゃったみたいなんだけど。

ここから出る方法って、この倉庫、外付けの南京錠で施錠してるから、中の私達にはどうしようもないし、他に出られそうな場所と言えば、あの天井近くにあるほっそい窓ぐらいだけど、そこまで届きそうもなければ、人の身体があそこを通れるとも思えないんだよね。

これは、明日の朝鍵が開けられるのを待つしかなさそうね。
はーあ、こんなところで一泊だなんて、最悪ね。
体育倉庫だからマットで寝られるだけ少しは救いになるけど、閉じ込められてるってやっぱり、嫌なものだね。

そして、マットは枚数はあるんだけど、置ける場所が今置いてある場所ぐらいだから、必然的に添い寝になるけど……仕方ないよね？

え？　嬉しそう？　そんな、君と二人きりだからって嬉しいなんてことはないよー。
あと、絶対今君は疑ってると思うけど、この事態に私は関わってないからね？

ここ、外付けの南京錠なんだから、内側から鍵を掛けるのは不可能なの。
よく言う密室トリックだなんて、私ができるほど頭がよくないのはわかるでしょ？

……うう、自分で言ったけど、それで納得されたくなかった。
でも、濡れ衣を着せられるよりかはいいけどさ。

それで、どうやって夜を過ごそっか？
寝てれば朝にはなるけど、やっぱり、こんなシチュエーションってないでしょ？
閉じ込められたことを楽しめること、したいよね。

エロい目で見るなって、普通そういうのは男の役割だと思うんだけど。
いやいや、こんなことになったら、男側が興奮して、「ここなら、誰にも見られないから、いいよな？（イケヴォ）」って言って、押し倒すのが常識でしょ!?　私漫画で見たよ！

ほら、私はウェルカムだよっ！
……ほら！

……そうか、君は最近流行りの草食系男子だったんだね。
またの名を、ヘタレ。

え？　普通襲わない？
でも、ここなら誰にも見られないよ？
私、誰にも言わないよ？
君になら、何されてもいいよ？

ふーん、つまんない。
いいじゃん、たった一夜なんだから、楽しもうよ。

……君にその気がないのなら、私から襲うまで。
えいっ！

どう？　女に押し倒される気分は。
きつい？　ごめんね。そればっかりはどうしようもないや。
だって、力緩めたら君は抜け出せちゃうでしょ？
私は君を逃がす気なんか、ないもんね。
こうやって押し倒したからには、最後までさせてもらうからね。

うーん、こういう時って、何から始めるのかわかんないんだよね。
取り敢えず、君が可愛く吐息を漏らしてるその口を塞いであげよっか。

はむっ」

（キス）

「ふふふ、わかりやすい反応だね。
顔、真っ赤だよ。
まあ、君みたいなウブな男にはこうやって密着されるだけでも赤面ものだよね。
落ち着けないでしょ。

目の前にこんな君がいるだなんて、興奮止まらないや……」

（耳に息を吹きかける）

「ふふふっ、気持ちいいでしょ？
さてと、そろそろ、始めよっか。

君と私、男と女の長い夜。
二人だけの秘密の関係。
絡み合うように繋がってしまおうか」

・台本（ゆるボイ！）
密室の誘惑ガールと草食ボーイ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩