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ヤンデレと絶海の孤島
written by 夜木嵩
  • お嬢様
  • ヤンデレ
公開日2021年07月20日 16:45 更新日2021年07月20日 16:32
文字数
2204文字(約 7分21秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
お金持ちの娘(非お嬢様口調)
視聴者役柄
普通の青年
場所
彼女の所有する島
あらすじ
彼女の誘いで彼女の持つ島へ。
そこにあったものは、絶景と孤立だった。
本編
(汽笛)
「あ、あれだよ。
あれがこの船の向かっている私の島。
広い海の中でただ一つぽつんと浮かんでる。
いいよね、この景色も。

あの子たちも来ればよかったのに、急に都合がつかなくなったって、残念だね。
私は君と二人っていうのもいいけど、君はちょっと気まずそうだもんね。
いや、来ても全員女性だし、余計に気まずくなるだけだったかな。

よし、そろそろ着くけど、降りる準備できてる? 荷物持った?
この船、ちょっと他で用があるみたいで降りたら違うところに行くから、忘れ物しても取りに行けないからね。
大丈夫? 準備万端? オッケー。

ついに、島に降り立つ時が来たよ。
長旅ご苦労様―。何時間船の中にいたんだろう。

早速だけど、お父さんからおすすめの場所があるって聞いたし、そこから景色を楽しもうか。
こっち、ついてきて。

……着くよ。ここを上れば、そろそろ景色が見えてくるはず。

わあーっ! 見渡す限りの青い海!
コンクリートの都会では決して見ることのない美しき地球のありのままの姿、もはや違う世界にやって来たって感じだよ!

風も気持ちいいし、何よりもこの自然の音しか聞こえない心地よさ!
私たちの生きている街というものがどれほどの喧騒に包まれていたかを感じて嫌になるくらいだよ。
しかも、夕方になればここに夕日が沈んで夕焼けも見られるし、夜は邪魔する光もないから見えない星はないとばかりの星空を眺められそうだね。
ほんっと、自然っていいよね!

君も、そう思う?
旅行とかは行ったことあっても、観光地じゃなくて誰もいない自然の中っていうのは初めてだって言ってたよね。

ふふーん、この島を褒められると、私が褒められた気分だよ。
なんせ、この島はお父さんから誕生日祝いに貰った島なんですもの。

ちょっと冗談で自分だけの島が欲しいって言っただけなのに、お父さんったらこんな島を買ってきちゃって、俺は父としてこういうことしか出来ないんだ、だなんて言われちゃったから、断れずに貰ったけど、こうして来てみればこんなに素晴らしい場所だとは思わなかったな。

え、それなら私じゃなくて、私のお父さんを褒める?
……それは、そうだね。
この島を選んだのもお父さんだし、私は島が欲しいって言っただけか。

でも、君がここに来れてるのは私が誘ったからだよ?
ううん、感謝してとは言わないよ。
私だって、君と来たかったから誘ったんだもん。

なんとなく、誰かとこの自然の中でたくさんの感動と経験をするのなら君とがいいなって思ったんだ。
それは、神のお告げか私の直感かはわからないけど、君のことが好きっていうのは確かかな。

ん? どうしたの?
……騙された?
あ、ごめんね、君には私の友人も連れて何人かで行くって言って誘ったのに、ここにいるのは私と君の二人だもんね。

仕組んじゃった。
君と二人きりで特別な経験をすることで、君との距離が縮められるんじゃないかなって思って。
船の操縦士さんには船と一緒に帰ってもらって、完全に2人きりにしてもらったの。

つまり、この島には私たち以外誰もいないの。
……誰にも見られてなければ大胆なことできるかなって思ったんだけど二人きりって変に意識しちゃって、難しいね。
心の距離を気にしちゃって、なかなか行動がしづらいんだよね。
そもそも心の距離を縮めようとしてこんなこと謀ったっていうのに、それを気にしてたら無意味だよね。

……もう一歩、君の方に寄っていいかな?
肩、触れちゃうと思うけど、気にしないでくれると嬉しいな。

……気付いたら、太陽が海の中に沈もうとしてる。
毎日、こんなにも美しいものを見られるチャンスがあるのに、街では誰も気にしない。
今と比べて何もなかった遥か昔、詩人も歌詠みも、あるいは農民も、自然の美しさに心を打たれ、それを言葉に落とし込もうとした。

その美しい自然は今も変わらずこの地球にあるんだって。
目を向ければ誰だって気付けるんだって。
私達はそれを忘れてはいけないんだと思う。

仕事、会社に行かなくて済むんなら、この島に住んじゃおうかな。
君もそう思うんだ。
じゃあ、一緒に住んじゃおっか。

……手? 今気付いたの?
さっき近付いた時にそっと繋いでみたんだけど、何も言わないからずっと握ってた。
もう君が何と言おうと離してあげないから。

それで、どうかな? 自然の中で暮らすって、ストレスフリーで心地いいと思うよ?

あ、これって、告白になるのかな……
一緒にこの島で暮らそうって、言ってるのと同じだもんね。

……そっか、断るんだ。
でも、断ったところでどうにかなるとは思わないけどね。

……意味が分からない?
簡単な話だよ。
ここは周りに海しかない孤島。
帰りの船が来なかったら、私たちはここから出られるのかなぁ?

そうだね。君の察してる通り、“帰りの船”なんてものは来ないよ。
私たち、出られないね。

それにこの島、お父さんが買い取った時は何にもない無人島だったから、建物は買った時に建てられた別荘のみ。
君だって寝る場所や食べるものがないと困るはず。
さあ、君は一体どうしようか。

近くの島まで100キロはあるから、泳いで何日かかるだろうね。
そもそも生きて陸へとたどり着けるかな。

この島にいれば、お父さんに頼んでおいたから食べ物には困らない。
衣食住すべて揃った生活は保障する。
君の欲しいものも言ってくれれば用意しよう。

これに君は何の不満があるのかな。
ずっと、ここで私といっしょ。
それで、いいよね。

もうすぐ夜になるけど、星、眺める? それとも、もうあの家に帰る?」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレと絶海の孤島
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

Twitterアカウントは@yorugi_suu以外一切関与しておりませんのでご了承ください。
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