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ヤンデレ殺人鬼と警察官
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • サイコパス
公開日2021年07月24日 14:55 更新日2021年07月24日 14:50
文字数
2224文字(約 7分25秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
貴方のせいで狂った殺人鬼
視聴者役柄
若い警察官
場所
路地
あらすじ
とうとう殺人鬼を追い詰めた警察官のあなた。
あなたを前に殺人鬼は自分をあなたのものにして欲しいと要求する。
本編
「おーっと、警官くーん。
待ってたよ。

相変わらず君は冷たいなあ、アタシが何か悪いことをしたみたいじゃないか。
……あ、そっか。人を殺すのって犯罪なんだっけ?
ごめんごめん、アタシ、本当に悪いことしてたね。

それで、今日も警官くんはアタシを捕まえに来たの?
毎度毎度、ご苦労様だね。
でも、君の思うようには捕まってあげないよ。
だって、君はアタシの要求を受け入れてくれないんだもん。

言ったよね? アタシは警官くんが娶ってくれなきゃ捕まってあげないって。
それも、冷たい監獄なんて御免だから、警官くんの家に囚われてあげるって。

ふざけるな? ふふふ、かわいいこと言うのね。
好きだよ、そういうところ。
でも、アタシとしてはふざけてるつもりはないんだよね。

ほら、アタシってさ、警官くんも知っての通りの殺人鬼でしょ?
このままのさばらせておけば、次々と犠牲者が生まれていく。
もしかしたら、警官くんの大切な人が明日は死体になるかもね。

あ、でもアタシはたった一つの条件を除いて無差別だから。
ここで逃がしたら100%君の大切な人を殺すって言ってるわけじゃないよ?
でも、警官くんたち警察は善良な一般市民だって平等に守る義務があると思うけどね?

え? その条件は何だ? 仕方ないなあ、特別に警官くんにだけ教えてあげる。
それは、君じゃないってこと。
つまり、君を殺すのは私の意志に反するってこと。

ねえ、これで安心した?
アタシ、確かに武器になる物は持ってるけど、殺意は君に向けてないんだよ?
このことは、一生変わらないかな。

だから、君の家に閉じ込めておけば解決するんだよ。
拘置所とかだと脱走しちゃうけど、警官くんの家なら、手錠を掛けなくたって逃げないもん。
自主的に君の家の中に閉じ込められてあげる。
そうしたら誰も殺さない。もちろん君も殺さない。
ほら、平和でしょ?

ダメ? 警察官としてできない?
うーん、意外とお堅いんだね。
確かに、警官くんの一存でどうにでもできる事態ではないとは思うけど、今なら、黙ってればバレないと思うよ?

この前の事件を最後にパタリと犯行はおしまい、目撃証言も出ない。
君のところの上司たちも不思議には思うだろうけど、大体死んだとか、海外にでも逃げたとでも思うんじゃない?
天地がひっくり返ってもそこに君の名前は上がらないよ。

それでも、君の正義は群れの中で平穏かつ画一的な振る舞いをするというしょうもないものなのかな?
そうだったら、アタシ、悲しいかも。

アタシ、君の優しさに惚れたんだよ?
多分、何のことを言ってるかわからないだろうけど、アタシは今も覚えてるよ。

いつの日かの登校中、急に猛烈な頭痛に襲われて道端でうずくまってた私の前を通りかかった君。
一度は通り過ぎて角を曲がっていったのに、戻って来て、おんぶで病院まで連れて行ってくれたよね。

あの時、通り過ぎてそのままだとしても、他人だった君を恨んだりしないし、誰も咎めることはないと思う。
それに、そんなことしてたら遅刻するもん。

それでも、自分の犠牲を厭わず困っている人を助けてくれる強い優しさを、私は見知らぬ君の背中で感じてた。

その時には既に、私は君という人を好きになっていたんだと思う。
そのあとで、お礼がしたくて君のことを探ろうとしたけど、名前も、通っている学校も知らない君のことはわからないまま。
お互い、あの道を登校中に通るはずなのに、あれ以来一度も会わないまま。

私は君が、“警察官になって、正義で人を助けられる男になりたい”って言っていたのを微かに覚えていたの。

もう、感謝の気持ち以上に私のことを意識してほしくなっていた私は、どうしたら君が私のことを考えてくれるか考えた。

それが、今のアタシの答え。
大正解だったね。
今、面と向かって話してるんだもん。
アタシに憎悪を抱いてるってことは残念だけど、こんな殺人鬼になっちゃったんだもん、仕方ないよ。

警官くん。アタシをどうしたい?
君の家に閉じ込めてくれるなら、ちゃんと更生する。ただの君が好きな女になる。
逮捕するならするで、それが君の判断だって一旦受け入れてあげる。
もちろん、脱獄するかは別の話でね。

あー、もうほら、君とグダグダしてたら応援の警察官がいっぱい来ちゃった。
ちょっと、ごめんね。

おい、警察官ども!
こいつの首に当てられてるナイフが見えないのか!
一歩たりとも近寄るんじゃねえぞ、その瞬間にお前らの仲間の首が転がり落ちるぜ。
アタシはこの仲間と一緒に逃走させてもらおう。
そうだな、それを許してくれれば、これ以上の犯行はしないと約束しよう。

まずは、武器を捨ててもらおうか。
お前ら似非者の正義は信用ならねえんだよ、ポケットも、服の中も、何にも忍ばせてないことを証明しろ。
こいつの命を守りたければな。

よし、これで全員丸腰だな。
安心しろ似非正義団体団員ども、これがアタシの最後の犯行になる。
お前らがアタシの姿を見るのはこれが最後になるだろう。
しっかりと目に焼き付けるがいい。

では、さら……」

(銃声)

「んぐぁっ!?
ま、まさか……君に撃たれるとは、油断していた……
ははは……嬉しいよ。
君が、アタシのことを考えてしてくれたことが、それなんだもんね。

……近寄るな警察官ども……もう、アタシはお終いだ。
死体になったら、好きに、すればいい……
アタシは、こいつの前で死にたいんだよ……

……ねえ、もっと、君の顔を……見せてくれないか?
……愛してる。君が愛してくれなくても、愛してる。
……はあっ、はあっ、君に、殺してもらえる、なんて、アタシはなんて、幸せ、なん、だろう、な……」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
ヤンデレ殺人鬼と警察官
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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